2026年03月06日

FT書房作品オンリーコンベンション・レポート

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FT書房作品オンリーコンベンション・レポート

けいねむ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

こんにちは、モンスター!モンスター!TRPGファンのけいねむです。
去る9月28日(日)に名古屋市中村区で開催された「FT書房作品オンリーコンベンション」(以下、FTコン)の主催者兼 GM を務めました。本稿では当日の流れを振り返りつつ、その内容と今後の予定を皆様に共有したいと思います。また、次回の開催予定等についても本稿末にてお知らせしたいと思います。

■FTコン開催までの経緯
本コンベンションはもともと、6月1日に開催された「モンスター!モンスター!TRPGオンリーコンベンション」(以下M!M!コン)の第二回として企画いたしました。実は第一回M!M!コン開催直後から第二回の企画自体はできあがっており、M!M!コン終了直後に杉本=ヨハネさんにゲスト参加を打診、中山将平さんをゲストに加え第2回M!M!コンとして企画が始動しました。コンベンションで『ローグライクハーフ』も取り扱おうと検討を行って各所に相談をさせていただいておりましたが、そのうちの一人、天狗ろむさんにコンベンション運営にご参加いただけることとなり、名前を「FT書房作品オンリーコンベンション」と改めて開催することとなりました。

■コンベンション概要
開催日程:2025年9月28日(日)
会場:愛知県名古屋市中村区 椿町 19-7 チサンマンション椿町 901号室
開催時間:10時00分〜17時00分予定
プレイヤー定員:16名 予約制
参加費:2000円
主催:トロール洞(代表:けいねむ)

・会場タイムスケジュール予定
  10:00 開場・ルール講習会/10:30 開会式/11:00 セッション開始/12:00 −12:45 昼食&物販/16:00 GM&ゲストトーク

■卓紹介
A卓 M!M!TRPG 定員4名 GМ:けいねむ卓
シナリオ: 『Battele With Lamasthu』
ある日、邪神ラマシュトゥの領域近くへ哨戒任務に出ていたテン=メアが赤ちゃんを拾ってきた!その赤ちゃんがエヂプトランドとラマシュトゥの戦争のきっかけになるとは誰も予想していなかった……。猫の女神セクメトの傭兵として、一癖も二癖もあるセクメト軍の重臣たちと共に、城塞都市エレゴンティスを邪神ラマシュトゥの手から防衛する戦略シナリオです。

B卓 M!M!TRPG 定員4名 GM:K-SAN卓
シナリオ:『VS(バーサス) 魔法帝国カザン』
「私の名はレロトラーの娘オリガ。ズィムララは狙われている」
ポータルから飛び出してきた女性を助けた君たちに告げられたのは異世界ドラゴン大陸からの侵略。追手ならびにオリガが持ち込んだ魔法の品物を使い、知恵と勇気、カオスファクターを武器に立ち向かえ!

C卓 M!M!TRPG 定員4名 GM:ホーリーえっくす卓
シナリオ:『雪原の白氷城』
一年に一度、冬至の日だけに雪原に現れる白氷城。なぜか冬至の日を過ぎても消えぬ城を舞台に、若き竜が、神の血をひく巨人が、満たされぬ不死者が、力を欲する悪魔が、集う。強力な種族での冒険になります。ハンドアウト有り。

D卓 RLH 定員2名 GM:水波流卓
シナリオ:『フーウェイキャンペーン』
蛮族都市フーウェイを舞台にした水波流のシナリオ『常闇の伴侶』→『名付けられるべきではないもの』→『汝、獣となれ人となれ』(新作)を、時間の許す限り連続でプレイします。フーウェイ独自のキャラクターを作成して、ロールプレイを楽しみましょう!

E卓 RLH 定員2名 GM:天狗ろむ卓
シナリオ:『天駆ける狗のディナーは■ミの鍋』
GM自身がコンベンション初参加のため、ほぼほぼ見学卓です。
PLさんは女性のみとさせていただき(GMも女性です)、諸事情で開場時間に間に合わない方も、11時〜16時までの間で自由にご参加いただけます。
(途中参加、途中離脱も可能です。GMは最後までいます)。
GMの自作シナリオを持っていきます。もしPLさんが遊びたい・気になるシナリオがありましたら、そちらをそれぞれ1人プレイで一緒に遊んでみる試みをする予定です。
コンベンション、気になるけど勇気が……という方、一緒に「冒険」してみませんか!

■来場者への配布物:(作者敬称略)
M!M!TRPG関連
・Steve.S.Crompton著/岡和田晃訳『First Meeting』 ・モンスター!モンスター!TRPGルールサマリー・プレイヤー種族カタログ・キャラクターシート・冒険点記録シート・エヂプトステッカー
・ソロアドベンチャー『双界の守り人―エーテル・ドラゴンを撃退せよ―』(天狗ろむ作)

―今回、けいねむ卓『Battle With Lamasthu』の卓資料としてシナリオ付属の小説『First Meeting』を翻訳・配布の許可を西村彰平ことさくべたのちちさんと共にスティーブ・クロンプトンさんに取った際に「せっかくだから来場者全員に配ってシナリオのプロモーションとしては?」というお話になりまして、杉本=ヨハネさん、岡和田晃さんに確認したところ、私の翻訳を下訳として岡和田晃さんに上訳をいただけることとなり来場者の方全員に配布となりました。また、この際スティーブ・クロンプトンさんより日本のM!M!TRPGファンへの原作者からのメッセージをいただき、会場にて読み上げさせていただきました。

ローグライフハーフ関連
・ルールサマリー(成田砂男作)・公式・ファンメイドシナリオ一覧
・FTコン参加証・ルーズリーフ三種一枚ずつ
・FTコン書き下ろしd33シナリオ『双界の守り人―裂界龍を撃退せよ―』

■各卓のプレイの様子(セッション終了後のGMトーク&来場者アンケートより要約)
・けいねむ卓
GMより:このシナリオはセクメト側、ラマシュトゥ側両方でプレイ出来て、既にトロール洞のオンラインセッションでラマシュトゥ側をプレイしていましたが、今回はセクメト側で、完全勝利とはいきませんでしたがPLの皆様から非常に独創的なアイデア(ソロバン投げてボス倒したり…)が出ていい感じな結末になったと思います。
PLより:事前の情報共有やPC作成相談が丁寧で、安心してプレイに集中できました。一方で決断や相談に時間を要し、反省点も残りました。シナリオは内容が濃く時間配分が難しかったものの、緊張感のある展開を楽しめました。発想力で不利を覆すM!M!らしい魅力を体験でき、古典的な動的プレイにも挑戦してみたくなりました。NPCの設定がもう少し明らかであれば、より工夫の余地があったと感じますが、全体として非常に充実した卓でした。

・K-SAN卓
GMより:今回のシナリオのコンセプトとして、人間のPCとは半歩ずれた「PCがモンスターでのプレイとは?」というところを体験してほしい所がありました。シナリオの意図を汲んでいただいたプレイヤーさんに「今回はいつもと違って楽しかった」とのお言葉をいただいて感無量でした。
PLより:開催ありがとうございました。Kさんの巧みなマスタリングと、プレイヤー同士が協力して解決へ導かれる構成が印象的でした。久しぶりにオフラインでM!M!を遊べたことも嬉しく、GMの配慮や自由度の高い進行で安心して楽しめました。知力の高いキャラクターによる情報戦や、作戦が成功したときの一体感も魅力的で、単なる力比べに終わらない多彩な戦闘を満喫できました。全体を通して非常に満足度の高い卓で、参加して本当に良かったです。

・ホーリーえっくす卓
GMより:今回は「ちょっと強力なモンスターを使ってみよう」という意図を込めたシナリオで、最序盤にMR500のモンスター二匹と戦闘になって驚かれましたが、無事それらが1ターンで消滅させられました。もう少しでダメージ2000点も見えましたが、それには届かず、そこだけが心残りでした。PCの個性も非常に強く、大変満足いくセッションが出来ました。
PLより:ホーリーえっくすGMの迅速で丁寧なマスタリングにより、自由にのびのびとプレイできました。個性豊かなモンスターたち―優しい巨人、ネイル命のギャルドラゴン、腹に一物あるアンデッド、そして行動の先陣を切るデーモン―による多彩な掛け合いが印象的で、強化魔法による2000点超えの大ダメージなど迫力ある戦闘も楽しめました。対立要素を含む展開や普段触れない種族での体験も新鮮で、最終的に全員が円満に目的を果たせたことが嬉しかったです。細かな反省もありつつ、笑いと熱気に満ちた満足度の高いセッションでした。

・水波流卓
GMより:せっかくの複数人プレイですので、あえてキャラクターの設定や出来事などをランダムで決めて、その結果をPLとGMで話し合ってそれから冒険に出る形を取りました。すごく楽しかったです。当初、ローグライクハーフなのであっという間に終わってしまうと心配していましたが、キャラクター創作に時間をたっぷり取ったこともあり、d66シナリオの途中で時間切れとなりました。キャンペーンのシナリオはPLに全てお渡ししておりましたので、続きは一人で、という形になりました。ローグライクハーフの新しい遊び方を私自身知ったな、と思い大変良かったです。
PLより:ローグライクハーフを複数人で遊ぶのは初めてで、ソロとは異なるテンポや時間配分の難しさを実感しつつも、その経験が良い学びになりました。ランダム作成による意外性のあるキャラ設定も新鮮で、自分では思いつかない展開を楽しめました。さらに、憧れの作品の作者本人がGMを務めるという夢のような企画で、作品に込められた意図を直接感じ、作者から話を聞けたことが何よりの喜びでした。ファンとしてもプレイヤーとしても大満足のセッションでした。

・天狗ろむ卓
GMより:初GMで心配もありましたが、当日はPLのお二人のお陰で楽しくGMする事が出来ました。「せーの!」で3人同時に振ったダイスが全員クリティカル(出目6)だった時がかなり盛り上がりました!オフでセッションする醍醐味を沢山感じさせて頂きました。ありがとうございました!
PLより:女性限定卓という安心できる環境の中で、自然体で楽しくプレイできました。事前に知っている方もいて和やかな雰囲気が生まれ、天狗ろむさんの丁寧で練り込まれた準備と的確な進行により、最後まで心地よい時間を過ごせました。時間の都合で完走はできなかったものの、温かく充実した素晴らしいセッションでした。

■当日の四方山話
・ゲストトークの際の参加者の質問により「竜鍵諸島」の読みを(りゅうけん)派と(りゅうかぎ)派と読む派閥に分かれることが明らかになりました。
・後述する会場の広さの問題により、杉本=ヨハネさんの座席がFT書房物販ブース裏の押し入れ内になってしまいました。しかし、杉本さんご自身はまんざら悪くもなかったご様子でした……?

■良かった点(アンケートより抜粋)
・初の ローグライクハーフの多人数プレイを出来た。
・駅から近くアクセス良好だった。
・時間配分がちょうどよかった。
・なかなか手に入らないFT書房作品を購入出来た。
・お土産が豪華だった。

■課題点・次回での改善策
 今回の課題点として、参加者の方の多くからご指摘を頂いた課題点が二つあります。

▽会場が狭く、トイレが一つしかなかった。
実は、本会場はプレイヤー募集開始前日に急遽変更を行った結果の会場でして、この課題点はある程度覚悟をしていました。本来予約した会場の下見に行った際、内部の構造上、椅子のみでないと最大収容人数の24名が入らないことが判明し、主催者であるけいねむの一存により急遽会場を変更しました。また、ほとんどの名古屋駅周辺の貸し会議室は下見に実費が発生し、複数回下見を行うことはさらに参加費・主催者自己負担を増大させることになり、下見が行えませんでした。次回以降、来場者&スタッフ&ゲストの合計人数の1.5倍の収容人数を目安に会場を選定、またトイレ等周辺設備も必ず吟味を行って会場を決めたいと思います。

▽主催者自己負担の肥大化
主催の「トロール洞」ではポリシーとして営利活動を禁止しており、今回のFTコンもある程度は赤字になるよう想定して計画を致しました。しかし、トロール洞にて収支の公表を行った結果、あまりにも主催者の持ち出しが多すぎ、継続的なイベント続行が不可能ではないか?とのご指摘をいくつか受けました。
今回は上記事情もあり、必要以上に会場費やその他費用もかかってしまった印象があるので、次回以降、費用削減を優先目的にしたいと思っています。

■おわりに
FT書房作品オンリーコンベンションはアンケート回答率100%、そして大変ありがたいことにアンケートにて9割以上の方に「また是非参加したい」と仰っていただけました。総評すると、FTコンは会場・会場設備などの不満点を多々残しましたが、それを上回る満足度を来場者に提供することが出来て、概ね成功した、と私は結論付けたいです。また不満点の全ては会場選定・予算配分に依るもので、主催者である私けいねむが責を負うものです。他の運営スタッフ、GM、ゲストの皆様には素晴らしいコンテンツ、素晴らしい仕事を提供していただけたと感じています。

■次回日程とおしらせ
第二回「FT書房作品オンリーコンベンション」の開催やその日程についてはゲストトークの際に中山将平さんより質問がありました、当日は「年末年始を目標に開催したい」と(クリティカルな誘導により?)お答えしたものの、杉本=ヨハネさんと改めて時期を検討した結果、2026年4月以降、初夏の辺りに行うのが良いのではないか?というお話になりました。開催都市については現行の名古屋の他、京都で行う案もあり、来年以降お知らせができるかと思います。今回の課題点をクリアできるよう慎重に計画を立案したいと思っています。


●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●

初出:「FT新聞」No.4671(2025年11月6日)
posted by AGS at 09:53| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月20日

モンスター!モンスター!TRPGオンリーコンベンション・レポート


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
モンスター!モンスター!TRPGオンリーコンベンション・レポート

けいねむ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

こんにちは、モンスター!モンスター!TRPGファンのけいねむです。去る6月1日(日)に名古屋市中区で開催された「モンスター!モンスター!TRPGオンリーコンベンション」(以下、M!M!オンリーコン)の運営スタッフ兼 GM を務めました。
本稿では当日の流れを振り返りつつ、その内容と今後の予定を皆様に共有したいと思います。また、大変好評に終わったコンベンションですので、記事最後に告知を致しますが今年9月ごろ第二回を開催したいと思っています。

■M!M!オンリーコン開催までの経緯
岐阜県を中心にTRPG会を主催しているK-SANと学生時代に共に活動していた私、けいねむが昨年末に24年ぶりに再会して「モンスター!モンスター!TRPG」を遊んだ際にK-SANより「次は伏見さんを呼んでコンベンションを開こう!」と発案があり、お互い過去にそれぞれのグループでコンベンションを主催していたこともあり開催に至りました。

■コンベンション概要
開催日程:2025/6/1(日)
会場:愛知県名古屋市中区新栄2丁目1−4 アソルティ新栄2階
開催時間:9時30分〜16時30分予定
プレイヤー定員:15名 予約制
参加費:500円
主催:K-SAN(@KarueK) 協力:トロール洞

・会場タイムスケジュール予定
09:30 開場・ルール講習会/10:00 開会式/11:00 キャラ作成&昼食/12:00 セッション開始/16:30 GMトーク・閉会式

■卓紹介
- 伏見健二 卓『ドウィンドレッドメン〜坑道に潜む恐怖』〈ラヴクラフト・ヴァリアント2nd〉
1925年、英国の田舎町を調査に行った女性記者が消息を断った。彼女を探しに行った一行は、狂気にとらわれた街へ足を踏み入れる。「最も古いクトゥルフ神話RPG」ラヴクラフト・ヴァリアントの最新版を体験しましょう。ルールは簡単で、ゲームを進めながら説明いたします。

- けいねむ 卓『The Gauntlet of Doom』〈ケン・セント・アンドレ作品〉
障害物競争と書いて「デストラップ・ダンジョン」とルビを振るT&T系ゲーム伝統ともいえるダンジョンシナリオを軽量化したものです。猫の女神の観戦の元、ガクサーン市の支配者の座を賞品に毎年行われるこの競技にスラム街で兄弟同然に育ってきた君たちは自分たちと弟/妹分を救う為に参加する形でゲームは始まります。

- K-SAN 卓『エヂプト冥界行』〈オリジナルシナリオ〉
世話になった恩ある女神さまが戦の女神に斬られてしまった!女神様の魂を救うため君たちはエヂプトの地獄、冥界ドゥアトへと旅に出る、神話的冒険譚。モンスター!モンスター!TRPGの楽しみ易く豪快なルールと神様が息づく世界を感じられるシナリオです。

■来場者への配布物:
・Thomas H. Pugh著/岡和田晃訳『名古屋を覆う影』・M!M!TRPGルールサマリー・ラヴクラフト・ヴァリアント2ndルールサマリー・冒険点記録シート

- 今回、M!M!オンリーコンを行う旨をFacebook上の海外M!M!TRPGファングループに投稿した際、ラヴクラフト・ヴァリアント2ndの作者であるThomas H. Pughさんより「私にも何か協力させて貰えるだろうか?」とのお声がけを頂き、ラヴクラフト・ヴァリアントとM!M!の小サプリメントとなる『名古屋を覆う影』を作成頂き、岡和田晃さんの翻訳とDON-CHANGさんのイラストにより日本語版にて配布することが出来ました。
Thomas H. Pughさんとその作品については、下記にコンベンションで配布したものと同じ紹介資料を用意しましたので、ぜひご一読下さい。

https://ftbooks.xyz/ftnews/article/Thomas_H._Pugh.pdf

■各卓のプレイの様子(セッション終了後のGMトーク&来場者アンケートより要約)
・伏見健二卓
GMより:どのPCもキャラクターが濃くて、笑いながらもスリル満点で、GMとしては結構、一人くらいは死傷者出るつもりで臨みましたが、皆さんバリバリDARO出してしまって、無事にハッピーエンドになりました。
PLより:コミカルでパルプフィクション的で、でもちゃんとしたホラーなセッションでした。探索し甲斐のあるストーリーが良かったです。

・けいねむ卓
GMより:今回はM!M!TRPGはT&Tより続く「現役のオールド・スクールRPG」という点を重点的に体験して頂こうとこのシナリオを選びました。が、プレイヤーの皆様が古強者すぎて上手く行き過ぎました。時間が前倒ししたことも相まって、予定時間より大幅に早く終わってしまいました。
PLより:一つ間違うと死んでしまう緊張感がありながらも、GMのマスタリングと同卓頂いたPLの想像力やプレイングの巧みさも相まってベストに近い結果になったと思います。

・K-SAN卓
GMより:神話というジャンルの相似点を利用して、エジプト神話と日本神話をミックスして、PLさん達に予想を立てやすくするようなシナリオにしました。皆さんさくさく進めて頂けて、満足いただけたと思います。
PLより:初めてなのに既視感のある流れによって、ストーリーのテンポがとても良く、戦闘のバランスも非常に優れていて非常に良かったです。

■当日の四方山話
・本コンベンション運営スタッフは共にDiscordサーバー「トロール洞」のメンバーでしたので、コンベンション当日に開場30分前に配布物作成と開場設営準備の有志ボランティアをDiscordで募った結果、ほぼ全員が開場30分前に来てしまって、それ以外の来場者の方も早めに来て頂けた結果、スケジュールの全ての予定を30分繰り上げとなる形になりました。

・M!M!TRPGのみを行うコンベンションはまだ前例が少なく、ルールに不慣れな方の為にルール講習会の時間を取ったものの、半分近くは社会思想社T&Tの時代からプレイしていて今現在も「モンスター!モンスター!TRPG」の情報を集めておられる方が参加、講習会後には「必要あった?」との冗談も飛びましたがそれぞれの卓でベテランプレイヤーが不慣れな方をサポートされる光景が見られました。

■良かった点(アンケートより抜粋)
・初の M!M! 実プレイを体験できた。
・共通システムのオンリーイベントで認識齟齬が少なかった。
・伏見氏の GM 技量と最新ラヴクラフト・ヴァリアントを堪能。
・全卓立卓で笑顔のまま終了。
・シナリオや配布小冊子がとても良かった。

■課題点・次回での改善策(アンケートより抜粋)
1. 会場案内不足
- 入口掲示が小さく、迷う参加者が発生 → 事前案内メールのみでは不十分。次回は会場入り口にチラシを貼り付け掲示したい
2. 卓間の音漏れ
- 隣卓の歓声で聞き取りづらい場面があった → 次回は卓間の距離を充分にとり配置したい。
3. 参加者横断の交流機会が少ない
- 卓固定で終日進行したため、卓を超えた交流が不足。次回はフリートークなど卓外でも交流要素のある時間を作りたい。

■おわりに
M!M! オンリーコンは全卓立卓・全卓完走・トラブルゼロという成果を収め、終了後の参加者アンケートでも 提出頂けた方全員が「また参加したい/参加を検討したい」と回答して頂きました。来場された方全てに満足頂き成功した手応えがあります。とはいえ会場導線や卓間環境など運営面の磨き込み余地はまだまだ大きいと感じました。
次回の開催では、本稿で挙げた改善策を実装し、「遊びやすさ」と「交流の深さ」を両立させたいと思います。ご協力・ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。また秋に皆様と卓を囲める日を楽しみにしています!

■次回日程とおしらせ
第二回「モンスター!モンスター!TRPGオンリーコンベンション」(仮)は会場を変更し9月28日(日)に開催致します。ゲストとして杉本=ヨハネさん、中山将平さんのお二人をお招きして開催を予定しております。現在企画と準備を進めておりますので近日中に詳細な告知を行えると思います。

また本記事はどうしても運営スタッフ目線からしか書けませんでしたので、今回M!M!オンリーコンに参加された方のご感想などを短文でも結構ですので下記のFT新聞へのお便りや、あるいは記事を投稿頂いて参加者側から見たコンベンションの様子を共有頂けると非常に助かります。
https://ftbooks.xyz/ftshinbun/report

最後に、この記事でも頻出した『モンスター!モンスター!TRPG』と『トンネルズ&トロールズ』の話題を専門に扱うDiscordコミュニティ「トロール洞」では常時メンバーを募集しております!
もしご興味ある方がおられましたら、主宰である私けいねむにXで(ID:keinem1979)DMを送って頂くか、既にDiscordを使われている方はユーザー名:Keinem1979までフレンド申請とメッセージを送ってください。ポリシーの説明をさせて頂いてご承諾頂けたのちに、招待リンクを送らせて頂きます。

(初出:「FT新聞」No.4559、2025年7月17日)
posted by AGS at 00:05| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月17日

M!M!オフラインセッション・レポート


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
M!M!オフラインセッション・レポート

 けいねむ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

はじめまして。モンスター!モンスター!TRPGファンのけいねむです。
先日9月21日、地元の図書館で『モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)』のオフラインセッションを開催し、GMを行いました。
楽しいセッションをさせて頂きましたが、今回はそのセッションの反省点を共有して、私の考える改善点をご紹介し、今後モンスター!モンスター!TRPGのセッションGMを行われる方への参考となれば幸いと思い投稿致しました。内容の都合上一部ネガティブな表現もありますので、そういった表現が苦手な方はご注意頂きたく思います。

■レギュレーションとパーティ構成
今回のセッションのレギュレーションとしては
・ベースは『猫の女神の冒険』簡易ルール
・能力値係数など一部はM!M!2.7e(未訳)準拠。
・追加特殊能力、魔法などハウスルールあり。
という条件でごく短いダンジョン探索シナリオを行いました
プレイヤーキャラクターはジャングル・トロール、ズィム、ドウォン、人間の魔法使いの4名というパーティでした。
GMの私も含めて『モンスター!モンスター!TRPG』は未経験で、TRPG経験も比較的浅い方が中心の卓でした。

■何が良くなかったか。
端的に言えば、バランスが悪く、活躍機会の少ないPCを出してしまったことがGMとして良くない点でした。
『モンスター!モンスター!TRPG」は種族によってキャラクター作成時の能力値に修正が入り、また能力値によりキャラクターレベルが決定されるシステムです。
つまり、キャラクター作成時のキャラクターレベルは種族によって差があります。
今回はこの差が大きく、セッション中に活躍機会の少ないキャラクターを出してしまったことがGMとしての反省点となります。

具体的には、人間の魔法使いの方は次のような形になりました。
レベルは1、覚えている魔法は最も初級の物を3つのみ、武器は無く素手のみ。
対してズィムとジャングル・トロールの方はレベル9以上、個人修正100近く、トロール用棍棒で武装しています。ドウォンの方はレベル4、知性度と器用度と幸運度が人間の方より高く、弓矢で武装しています。
キャラクターシートの内容だけを見れば、人間の魔法使いの方は戦闘では殆ど効果的な行動が出来ず、探索でもドウォンの方に劣る、と言った状況が予想されました。
また、このゲームでは「カオスファクター」というルールがあり、魔法を使えないキャラクターは1通常ターンに一度のみ、キャラクターレベルの数字の分だけダイスロールの出目の合計を上下させることができます。汎用性が高く、かなり有用な要素ですが魔法を使えるキャラクターにはこれもありません。

あまりにも他PCに比べて行動の材料が少なく、カオスファクターによるロールの修正も出来ず、キャラクター作成時点で詰み、と言っても過言では無いほどの差がありました。戦闘や探索ではどうしても充分な活躍が出来ず、プレイヤーの方曰く「戦闘では完全に居ないも同然(なんなら倒されたら困るお荷物)」だったと自PCを評しておられました。
その一方で、単身で包囲網から脱出する(他の人は助ける側)という盛り上がるパートなどもあり、戦闘シーンだけが活躍の場ではないというTRPGの楽しみ方を感じて頂けたようです。
結果的にはプレイヤーの方の巧みなロールプレイにより、要所要所で適切な行動を行って頂き、シナリオ進行への貢献もされてパーティメンバーの役割としては充分に果たされたように思えます。

総じてGMが平等にプレイヤーに活躍機会を与えきれなかった部分をロールプレイでカバーを頂き、シナリオは成功、セッションも楽しく行えたという結果を頂けたと深く感謝していますし、同時に強く悔いも残りました。
キャラクターデータ・シナリオデータだけが活躍出来るか出来ないかの基準ではないことを改めて教えて頂けたように感じました。

■GM側の改善案&注意事項
いずれも、TRPG経験の浅い方が卓におられる場合、特に気を付けたいポイントです。

・使用ルールの吟味を行う。
今回のセッションでは簡易ルールをベースに一部、未訳のM!M!2.7eの要素を入れましたが、これは悪手でした。シナリオ的には簡易ルールのみで充分間に合い、特にカオスファクターと二者択一の魔法の要素を入れたことが結果的にプレイの幅を狭めてしまうことになりました。
特に現段階では未訳の魔法要素をハウスルールとして入れてしまうことは少なくともM!M!のプレイ経験の無いメンバーしかいない今回は不適切であったといえますし、お勧めしません。和訳ルールブックを待ちたいところです。

・カオスファクターの調整を行う。
カオスファクターは大変強力な要素で、特にセービングロールに使用した際には殆どの場合成功させることが出来ると言っても過言ではないくらい有用でした。
場合によっては1セッション辺りに使える回数を制限するなどの要素を入れても良いかもしれません。

・キャラクターレベルの差を考慮する。
キャラクターレベルの差はそのままカオスファクターで動かせる値の差ですし、戦闘では能力値の高いキャラクターの方が活躍するので、あまりにも差があり過ぎると「もう戦闘あいつだけでいいんじゃないか?」というような状態になりかねません。今回実際にそうなりました。もし3レベル以上の開きが出るようならば、低い方のキャラクターに冒険点を渡すなどし、全員が平等に活躍できるための措置はあっても良いかもしれません。

・場面の描写を詳細に行う。
『モンスター!モンスター!TRPG』の戦闘は抽象戦闘ですので、戦闘場面の描写は多少おざなりになるかもしれませんが、実際にはダイスの振りあい以外に出来る事は沢山あり、むしろ描写の重要性は高いと思っています。序盤の戦闘ではこの辺りが弱かったので、キャラクターの動かし方を掴みにくかったかもしれません。

■プレイヤーの方への提案
キャラクターを作ってセッションに参加したけれども、思ったように活躍できず手詰まりを感じた経験をされたことのある方はおられると思います。私自身今まで何度も経験しています。そういった時にプレイヤー側として、もしかしたら打開策になるかもしれない方法をひとつ、紹介したいと思います。

「ルールやキャラクターシートの内容を頭から一旦外して、場面のみを想像し、自分がキャラクターにさせたいことを見つけてGMに相談する」という方法です。
GMに「〇〇って出来ますか?」と質問する事じたいは別にルールやデータに沿っている必要はないですし、そもそもルールに沿っているかどうかのジャッジはGMの仕事です。
相談した内容が行動決定のヒントになりますから、なんでも思いついたことを口に出しておくに越したことはありませんし、多分この『モンスター!モンスター!TRPG』ではそういった思いつきが実際に通りやすいゲームだと思っています。
(とは言え、通るかどうかはあくまでGMの裁定次第。参加者全員が平等に楽しむというゲームの遊び方を逸脱しないようには心がけたいものです)

■おわりに
私個人としては今回のセッションでは不本意な結果になってしまいましたが、それならそれで何かこの経験を最大限、『モンスター!モンスター!TRPG』を遊ぶ方の役に立たせられないだろうか?と考えた結果、本記事を投稿致しました。
GMを行う際の参考として頂けたのならば、大変嬉しく思います。

(初出:「FT新聞」No.4272、2024年10月4日)
posted by AGS at 11:01| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月19日

【2014年4月7日記事復元】「視覚不要! RPG 〜この町を救え〜」レポート

※キャッシュは、
https://web.archive.org/web/20180816215945/http://analoggamestudies.com/?m=201404

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「視覚不要! RPG 〜この町を救え〜」レポート

 草場純 (協力:岡和田晃、齋藤路恵、田島淳)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 2013年の10月5日土曜日13時〜16時、高田馬場の日本点字図書館3階会議室にて、おそらく日本初、世界でもあまり例のないと思われる、視覚障碍者対象の会話型RPG(テーブルトークロールプレイングゲーム、TRPG)が行われました。参加予定の視覚障碍者は、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人でしたが、AさんとCさんが仕事の都合で、Eさんが体調不良で不参加になったのが少々残念でした。特にAさんとCさんは、事前のテストプレーに参加してくださり(そういう意味では今回は「日本で2回目」だったとも言えますが)、本日の本番を楽しみにされていただけに残念でした。
 晴眼者(支援者)の参加者は6人、ゲームマスターを務めてくださった齋藤路恵さん、視覚障碍者用のゲームをいろいろ開発されているGさん、奥様が視覚障碍で私とはゲームを通じた30年来の付き合いのある私の二番弟子(笑)のHさん、それから点字図書館の職員の奥様と娘さんの、Iさんと、Jちゃん(9歳)、そして私こと、ここで30年間ゲーム会のお世話をしています、草場です。

 初めにごく簡単に自己紹介をし、それから齋藤さんから、RPGとは何ぞやという説明が、要領よくありました。ここで繰り返すこともないと思いますが、要するに「みんなでお話を創っていくゲーム」ということでした。言い換えれば「即興演劇遊び」で、「みんなはそれぞれ役割を考え、自分でその役割を演じていく」ということでした。
 ここで、Bさんから意見があり、「説明だけではイメージがつかみにくいので、やっているところを録音した資料があるといい」ということでた。なるほど。今後視覚障碍者向けRPGの普及を考えるならば、これは課題ですね。残念ながらこのセッション自体の録音も、手が回りませんでした。

 次に齋藤さんから舞台の提示がありました。
「ここは、1990年代の日本です。」
 しかし、予想外だったのですが、たまたま9歳の女の子がいたので、これはあまりよくなかったかもしれませんね。何せ生まれる15年も前のことは、私もなかなかイメージがつかめません。
 ともあれそうした背景を元に、各自自分の役割づくりをしました。普通はシートなどを使い、イラストを入れたりして仕上げるのですが、ここは全て言葉だけです。
 齋藤さんは、
「例えば、『私は料理の得意な売れない作家の伊藤です。』というように、役割(職業)を明確にして、名前はだれだか分からなくならないように本名をちょっとひねるとわかりやすいです。」
 という意味のことを言いました。これは今回特有の工夫だと思います。本来のRPGだと、思い切り本人から離れた方が良いのでしょうが、今回は耳だけで状況を捉えなければなりません。つかず離れずが大事なのだなあと思いました。
 さて、その結果は以下の様になりました。座り順です。

草場→自称発明家の関場
Bさん→政治評論家の坂東
Hさん→はやらない医者の林
Gさん→数学者の群馬
Iさん→看護師の相澤(途中参加)
Jちゃん→女子高生のじゅん(途中参加)
Dさん→町の小母さん堂本

 そこで齋藤さんから課題が出ます。
「今はみんなバラバラなところに居ますが、一人4発言、つまり4周発言が回って、合計20発言で全員どこかへ集まりましょう。」
(開始時点でIさんとJちゃん親子は居なかったので、5人プレー。)
 すったもんだの末 (妙な噂で株価が上がったり、はやらない林医院に突然患者が溢れたり)に、数学者一人を除いて何とか放送局に集まりました。
 たったこれだけのことですが、進め方や話し方がなんとか了解できました。易しいような難しいような…手でもこんな風に、何の条件もなく、チームがそれとなく作れるというのは面白いですね。
 偶然ですが、9歳の子も最初から参加より、先に見てからの参加はむしろ良かったかも。

 そこで、いよいよ本番の課題です。これは今の物語の後をうまく受けたものです。
 次に齋藤さんから3つの課題が出されます。基本は21発言(3周)でどこかに集まります。
 ミッションは、
1.謎の病気の原因を探る
2.病人を助ける
3.町の悪評を消す
 です。なかなかの難題ですね。
 何せ前の話の最後で、町は謎の病気の蔓延で封鎖されそうという大事になっています。

 初めは、右往左往ですが、やがて看護師と医者の活躍で患者の血(清?)中に微生物のようなものが発見され、女子高生の修学旅行で行ったタイ旅行に原因がありそうという話になり、数学者が祖父から貰ったお茶が病気に効きそうだと話になり、政治評論家の伝手でみんなでタイまで探査旅行に出かけることになったのでした。
 タイでもなかなか手がかりが見つからないのですが、やがてパパイヤマンゴーを食べて起こる風土病らしいということになり、またそれに効くお茶も同地でみつかり、日本に帰ることになりました。このお茶の成分の薬効で、謎の病気は一掃され、却ってそのことでこの町は国中の評判になったのでした。めでたしめでたし。

 こうして無事、町は救われました。要所、要所でダイスを振っての判定も適確で、でたらめのようででたらめでなく、予定調和のようで予定調和でないスリリングな展開になりました。小さい子も混じっての難しいセッションだったと思うのですが、みなんでゆっくり9歳の子の発言を待ちました。また、隣のお母さんの支えもあって、いろいろな活躍ができました。Jちゃんにとっては得難い体験になったことでしょう。看護師だけでなく、噂を集める町の小母さんも、病原菌を見つける一助となる発明家も、結果としてみんな所を得た活躍ができ、無事町に平和が戻ってよかったと思います。

 話し言葉以外に、ほとんど何も使えないような条件でゲームマスターを務めてくださった齋藤さん、ありがとうございました。この日はほぼ全員が初めての体験であったのに加えて、年齢層もまちまちであり、IさんJちゃん親子は少しあとから入られましたし、Hさんは所用で途中で帰られなくてはならなかったりと、いろいろ悪条件であったにもかかわらず、私を含めて全員が楽しい体験をすることができました。この方面の発展の、可能性を感じた3時間でした。
 参加された皆さんにも、厚く感謝をしたいと思います。

(※)個人情報保護の観点から、個人名をそれぞれ仮名処理させていただいております。ご理解いただけましたら幸いです。
posted by AGS at 23:42| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【2014年3月22日記事復元】市立小樽文学館企画展「テレビゲームと文学展」レポート

※キャッシュは、https://web.archive.org/web/20190203125317/http://analoggamestudies.com/?p=595

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

市立小樽文学館企画展「テレビゲームと文学展」レポート

  岡和田晃 (協力:玉川薫(市立小樽文学館)、八重樫尚史、高橋志行)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 2012年8月11日から9月23日まで、北海道の小樽市にある市立小樽文学館において、「テレビゲームと文学展」という企画展が開催されました。
 日本各地には様々な文学館が存在していますが、なかでも「テレビゲーム」と「文学」の関わりをテーマとして大々的に打ち出すというのは、きわめて珍しい試みです。

 文学館というと古臭くて堅苦しいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。けれども、そうしたイメージを払拭すべく、文学館の側も革新的な試みを打ち出すようになってきています。
 同じく北海道にある札幌の北海道立文学館では2014年2月8日か〜3月23日まで、日本におけるスペキュレイティヴ・フィクション(思弁小説としてのSF)の第一人者であり、北海道におけるSFファンダムの始祖的な存在である作家・荒巻義雄をテーマに据えた「「荒巻義雄の世界」展」が開催されました。同展では、スペースオペラや伝奇ロマン、あるいは脳科学や精神医学、コンピュータ・サイエンスへの関心を全面に押し出され、著名なSF作家やSF評論家を交えたシンポジウムなども執り行われました。

 小樽市は小林多喜二や伊藤整を輩出した古き良き文学の街でもありますが、加えて、荒巻義雄や川又千秋といった、スペキュレイティヴ・フィクションの代表的な作家と縁が深い街でもあります。
 その市立小樽文学館での「テレビゲームと文学展」は、会期中に1335人の来場者を集め、盛況だった模様です。2014年4月4日〜6月8日の期間には、「ゲームと文学」シリーズ第二弾としまして、「ボードゲームと文学展」も開催される予定となっています。そこで第一弾にあたる「テレビゲームと文学展」の模様を、簡単にご紹介してみたいと思います。

 展示は、大きく第一部「テレビゲーム史」、第二部「ゲームを生んだ文学、文学を生んだゲーム」、第三部「テレビゲームと文学の身体性・双方向性」に分けられます。
 第一部の冒頭に掲げられたコンセプトは、下記のようなものです。このコンセプトに加えて、黎明期から家庭のエンターテインメントとして定着するまでの「テレビゲーム史」が、1952年のコンピュータと対戦する三目並べ『OXO』の登場にまで遡る形で解説されます。

 テレビゲームは、1950年代に生まれ、80年代の家庭用ゲーム機の爆発的普及で、日本、さらに国際的にも世代を超えた遊びになりました。
 テレビゲームは、それよりはるかに長い歴史をもつ「書物による文学」と密接な関係があります。
 またテレビゲームの双方向性(遊び手によって物語自体が変化していく)と体感性は、従来の読書における作者と読者の関係にも変化をもたらしています。
 そしてテレビゲームで定着した複数の遊び手の同時参加により物語が変化するおもしろさは、ネット小説を生み出す原動力になり、文学の未来をも予感させます。
 この企画展は、テレビゲームと、その下地となったパーソナルコンピュータ技術、そして伝統的な文学の歴史を紹介し、相互の影響を考察しながら、テレビゲームを「文学的視点」で見直すものです。
 本展にあたり、多大なご協力をいただいた方々に、心より御礼申し上げます。

 第二部では、まず「世界の神話・民話・伝承・古典」と題して、『ギルガメッシュ叙事詩』、『ラーマーヤナ』、『聖書』、『古事記』、『イーリアス』、『アーサー王伝説』、北欧神話や御伽草紙が、「そのほとんどが作者不明で口承(こうしょう)で伝えられました。あらゆる物語の母胎(ぼたい)であり、ファンタジー文学の原郷(げんきょう)であり、おおくのテレビゲームの主人公が活躍(かつやく)する世界でもあります。」と紹介されました(年若い参加者でも理解できるように、適宜ルビがふられています)。
 続いて、「文学とテレビゲームをつなぐカギ、それが「テーブルトークRPG」」と題して、アナログゲームそれも会話型RPG(テーブルトークRPG、TRPG)の役割が、次のように強調されました。

 「テレビゲームと文学展」で、もっともたいせつなカギになるこの「TRPG(テーブルトークアールピージー)」について、うんとかんたんに説明しましょう。
 テレビゲームがすきな人はもちろん、やったことのない人、きょうみのない人でも「ドラクエ」は知っているでしょう。
 そのゲームは「勇者(ゆうしゃ)」が主人公であり、それはゲームをするあなたです。「勇者」はひと
りで旅をはじめますが、とちゅうで出あった戦士(せんし) 、魔法(まほう)つかい、商人(しょうにん)、あそび人(にん)が仲間になります。たたかった敵がともだちになり仲間(なかま)にくわわることさえあります。
 旅にはいろいろな困難(こんなん)がまちうけています。大嵐(おおあらし)や火山(かざん)、まよいこんだら出るのがむずかしい洞窟(どうくつ)。そしておそいかかってくる敵。
 とくいな力、欠点もある仲間とたすけあいながら困難をのりこえ、そのたびに「勇者」も仲間たちも成長していき、智恵(ちえ)も力もおおきくなっていきます。
 またその力にふさわしい「聖(せい)なる剣(けん)」なども手にすることができるようになります。
 そして最後にまちかまえている最大最強(さいきょう)のとりでと敵。それをのりこえ、たおさなけれ
ば「勇者」は「ほんとうの勇者」になることはできません。
 このようなゲームは、何かににていると思いませんか? 映画「ロード・オブ・ザ・リング」、その原作「指輪物語(ゆびわものがたり)」。そして「ナルニア国ものがたり」「ゲド戦記(せんき)」。「ネバー・エンディング・ストーリー(はてしない物語)」「モモ」。映画の「スターウォーズ」さえ、そのながい物語はまるで「ドラクエ」のようです。
 これらの物語は、世界じゅうに古(ふる)くからつたわる神話や伝説におおくのヒントをえています。だから国や年にかんけいなく、たくさんの人たちの心をとらえ、感動させます。
 これらの物語をどだいにして、それをみんなであそぶゲームにしたのが「テーブルトークRPG」です。ゲームに参加する人たちが、それぞれ「戦士」になり、「魔法つかい」や「妖精」になり「商人」や「あそび人」になったりする。みんなはこの国におおきな災難があることをしって、それを解決するために、つれだって旅にでます。そしていろいろな困難にであい、そのつど力をあわせてのりこえていきます。
 この「テーブルトークRPG」こそ、「ドラクエ」「ゼルダ」「ファイナルファンタジー」など、みんながだいすきなテレビゲームのもとになった遊びであり、「文学とテレビゲーム」をつなぐもっともたいせつなカギなのです。

 それにあわせて、何も知らない人でも理解できるように「TRPGとは?」といった解説、「ミニチュアを使用した戦争(ウォー)ゲーム」の古典であるH・G・ウェルズがデザインした“Little Wars”に、同作をルーツに持つ(『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の前身)でもある戦争ゲーム“Chainmail”の解説を含んだ「TRPGの誕生と発展」、さらにはゲームブックやリプレイの説明なども盛り込んだ「日本のTRPG」といった解説パネルが掲示され、実際に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版の「赤箱」、『ルーンクエスト』といったRPGのボックスが展示されました。

 とりわけ面白いのはプレイバイメール(郵便を使って遊ぶRPG)風の企画「ヲタブンQuest 往きて還りし物語」が実際にプレイされたことでしょう。「往きて還りし物語」とは物語の基本的な構造で、現在映画化されて大変な好評を博しているJ・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』でも採用されています。この企画は北海道大学RPG研究会が協力し、20人もの参加者を集め、好評を博したということです(北海道大学RPG研究会のほかにも、今回の「テレビゲームと文学展」には、藤井昌樹さま・宮崎佳奈さまが、パネルの文章執筆やゲームデザイン等、さまざまな協力を行っておられます)。

 第三部では、「身体性」および「双方向性」という、ゲームを考えるにおいて欠かせない視点から、アクションゲーム、格闘ゲーム、体感推理ゲーム、ノベルゲーム、といった試みと「文学」の関係が模索されました。
 「身体性」が主軸となるアクションゲームを分析するにあたっては、「距離」や「間合い」といった視点が不可欠だとの指摘がなされ、ハードウェアやインターフェースの性能向上とともに、3D-CGのような三次元の感覚、あるいは体感型コントローラーの導入などが行なわれてきたと説明されます。面白いのは、直木三十五の剣豪小説『討入』と対比することで、そこにも「文学」とリンクする可能性が存在していることが、きちんと明示されていることでしょう。

 それは、「体感型推理ゲーム」の紹介にあたっても同様で、証拠品が袋にとじこんであり、ゲームブックの嚆矢として語られることもある『マイアミ沖殺人事件』(デニス・ホイートリー)との対比で、名詞と動詞の入力で行われる初期のアドベンチャーゲームから、コマンド選択式のアドベンチャーゲームなど、ゲームシステムの違いをわかりやすくヴィジュアルで紹介しています。
3-2-a3-2-b3-2-c
【ゲームシステムの変化が一目瞭然】

 その他、太宰治の『走れメロス』を横スクロール型のアクションゲームにしたらどうなるのかがシミュレーションされたり(『ベストセラー本ゲーム化会議』を彷彿させます)、あるいは小樽文学館の「色内広場」を舞台のオンラインゲームが構想されたりと、既成の枠組みにとらわれず、遊び心いっぱいに文学館という「場」を活かしながら、改めて「文学」のあり方が再考されているのが興味深く感じました。

 むろんここで紹介したのは、「テレビゲームと文学展」の一部にすぎません。ほかにも、展示に合わせてさまざまな参加型の企画が行われました。
 地域の文化を守り育てるために文学館が果たしている役割は、予想外に大きなものです。
 文学館に所蔵された資料のなかには、そこでしかアクセスできない貴重なものがありますし、学芸員の方々による工夫をこらした展示によって、文学を「そこにある、生のもの」として感じ取ることが可能です。
 それは、一人で本を読む経験とは、また学校で習う国語学習とは異なる展望を、私たちにもたらしてくれると確信します。
 「身体性」と「双方向性」に着目した「テレビゲームと文学展」は、知識の修得と実際の参加をうまく両立させた、意欲的な試みであることは間違いないでしょう。
 展示にあたっては著作権侵害などの恐れが生じないように工夫を凝らしつつ、企画展開催中は、会場の撮影やインターネット上での公開を積極的に推奨することで、広く浸透をはかったのことですが、そのような”開かれた”アプローチも興味深いところです。
 今年4月から開催される「ボードゲームと文学」展が、ますます楽しみになりました。

 快く資料の提供と公開許可をいただきました、市立小樽文学館の玉川薫副館長に改めて御礼申し上げます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

企画展「ボードゲームと文学」

企画展「テレビゲームと文学」に続く、「ゲームと文学」シリーズ第2弾。
世界各地で根強い人気があるボードゲーム。その内部に組み込まれた「物語」に着目し、文学との接点を探ります。また、ゲームの盤面デザインやパッケージイラストなどアート的側面も紹介します。親子で楽しめる展覧会です。

1.魔法ゲーム「魔法のラビリンス」他
2.冒険ゲーム「小さなドラゴンナイト」他
3.おばけゲーム「3匹のおばけ」他
4.推理ゲーム「アロザ殺人事件」他
5.海賊ゲーム「海賊ブラック」他
6.動物ゲーム「やぎのベッポ」他

その他にも楽しい企画が盛りだくさんです。

会期:2014年4月4日(金)〜6月8日(日)
休館日:月曜日(5月5日を除く)、4月30日(水)、5月7日(水)〜9日(金)、13日(火)
入館料:一般300円、高校生・市内高齢者150円、中学生以下無料

※市立小樽文学館公式サイトより引用。
posted by AGS at 23:40| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする