2010年10月18日

活動趣旨

●Analog Game Studiesの活動趣旨(必ず最初にお読み下さい)13/04/23更新

 Analog Game Studies(アナログ・ゲーム・スタディーズ。以下、当会)は、紛争シミュレーション(Conflict Simulation)演習(=政軍ゲーム(Political-military Game)などの専門的ウォーゲーム(Professional Wargame)・会話型RPG(Roleplaying Game)・ボードゲーム(Board Game)・ライブRPG(Life-Action Role Play/Re-enactment)・伝統ゲーム(Traditional Game)・アドベンチャーゲームブック(Adventure Game Book/ Solo Adventure)、代替現実ゲーム(Alternative Reality Game)など各種アナログゲーム(順不同)の紹介・普及・サポート・創作活動に携わるプロフェッショナルたちと、同分野に関心を抱いて研究を進めている大学人や在野の研究者/ファンたちが互いに協力し合うことで、既存の読者/ユーザーの方々にとって知的な関心を掘り下げられるような環境を整備しながら、かつ未知の読者/ユーザーへ向けても情報発信していくことを主眼に置いた集団である。

 当会には日本のアナログ/デジタルゲーム界へ関心を抱くのみならず、諸外国のアナログ/デジタルゲーム事情、あるいは歴史学・社会学などの人文社会科学および教育分野や、文学・SF・ミステリ・映画・コミックなど各種メディア、さらには音楽や舞踊といったジャンルに至るまで、様々な関心を有した創作者/翻訳者/研究者/ファンらが籍を置いている。

 私たちが仕事を行なう領域、ならびに各々の興味関心は多様である。
 しかし全員が熱心なアナログゲームのユーザーであり、同ジャンルの活性化に寄与したいと願っていることは共通している。
 それゆえに、私たちは自分の愛するアナログゲームの可能性を掘り下げながらも、同時にそれをアナログゲームのみならず文化全般へ広げつつ、新たな支持を獲得し、まだ見ぬ果実を生み出すことを志向したい。

 私たちはゲームが第一に優れた娯楽であり、純粋に面白いものであることを心得ている。しかしながら同時にゲームが人類発祥とともに受け継がれてきた文化であること、そしてその重要性をアピールすることの意義をも同じくらい認識している。
 そのために私たちは素朴な面白さを大事にしつつも、面白さの先にあるものをも見据えることで、ゲームの、とりわけアナログゲームの文化としての価値を証し立て、広めていきたい。
 私たちは、本会を通じて自分たちのこれまでの仕事を紹介しつつ、「面白さ」を補完するための理論やTIPSを提供するのはもちろん、情報発信と実践を通じて、同時に既存のゲーム産業のみならず文化全般への連携を模索したいとも思っている。

 ピーター・P・パーラは、その浩瀚な著書『無血戦争』において、19世紀に始まった職業訓練用ウォーゲーミングを土壌として20世紀以後の市販用アナログ/デジタルゲームが勃興してきた歴史的経緯を検証した。
 『334』のトマス・M・ディッシュや『幻影都市のトポロジー』のアラン・ロブ=グリエは、作品内にゲームならではの特性を大胆に援用することで、近代文学を成立させる諸々の条件を原理的に更新させた。近年では『レストレス・ドリーム』の笙野頼子は、ゲームの相互干渉性とジェンダーについての批評意識を作品のなかでうまく融合させていたし、『虐殺器官』の伊藤計劃に至っては、戦略論におけるシミュレーションと哲学的なシミュレーションを、ゲームならではの特性をもって融合させるという離れ業を見せてくれた。
 彼ら優れた先達と同様に、私たちは自分たちの試みが、ゲームとそれ以外の社会的要素とを繋ぐ何らかの架け橋となることで、いっそう既存のゲームへ優れたフィードバックが行なわれることを期待したい。

 例えばLittle Warsを著したH・G・ウェルズの時代から、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のゲイリー・ガイギャックス/デイヴ・アーンスン、そしてEclipse Phaseのロブ・ボイルに至るまで、アナログゲームの成立・発展に多大な影響を与えてきた隣接ジャンルであるSFの根幹には文明批評の精神が根付き、それが発展の原動力となってきた。
 翻って、アナログゲームの根幹には何があり、そしていったいどのような発展の可能性を秘めているのか? 私たちはその可能性を模索していきたいと考えている。

 なお当会において、私たちは自分たち自身の責任において文章等を発表、あるいは寄稿された文章等を紹介し、より創造的な表現実践の可能性を探っていく。
 しかしながら当会はあくまでも、アナログゲームの紹介・普及・サポート・創作活動に尽力する者、あるいは研究やファン活動に携わる者たちの発表の場を提供するものであり、特定のイデオロギーを普及するための政治的あるいは宗教的な運動体ではない。
 また、既存のあらゆる個人・団体もしくは思想ないし創作物その他の誹謗中傷を目的としたものでもない。

 加えて、基本的に当会での発表は、何らかの既存の商業タイトルに関係した記事、あるいは何らかの関わりを持っている人間が書いた記事ではあっても、オフィシャルなサポートを意味するものではない(商業出版物の再掲等、オフィシャルなサポートを含む場合もある)。
 ただし本会はアナログゲームを通した産学連携の可能性を追究することを趣旨としており、商業活動と自由な言論活動の幸福なパートナーシップを志向できればと考えている。

 皆さまの暖かいご支援、ご協力をお願いいたします。

 Analog Game Studies代表 岡和田晃

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◆Analog Game Studies概要

アナログゲーム研究・実践団体
Analog Game Studies(アナログ・ゲーム・スタディーズ、AGS)


■Analog Game Studies(AGS)とは?
・2010年10月設立。アナログゲーム(会話型RPG、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、ゲームブック、伝統ゲーム、Alternative Reality Game……)の現場で活躍するクリエイター・翻訳者・学術研究者が協力し、“学びが、ゲームをより楽しくする。ゲームが、人生をもっと豊かにする。”を合言葉に、アナログゲームの社会的価値の向上を目指すプロジェクト。

■目標■
・ゲームと社会、そしてメディアの関わりについて、そのルールシステムの内と外から、さまざまな学術や芸術の方法論を通じてアプローチできるという事実・言説を育てていく。
・ゲームを“その場で生きたもの”として捉え、情報発信と実践を通してコミュニティの枠を広げながら、ゲームと人生を豊かにする。

■具体的な目標
・アナログゲームには無限の可能性があるが、さまざまな理由から社会的なインパクトを持ち得なくなっている。そうした状況を言説と実践を通じて改善する。
・英語圏を中心にデジタル・ゲームの学術的研究が盛んになっている状況を鑑み、アナログゲームに関係した創造性豊かな仕事をしている人材を発掘・コミュニケーションの機会を創り、産業・学術の双方に有益な成果を残す。

■活動実績(2013/01/23現在)
・ウェブマガジンの運営。プロのゲームデザイナー/小説家/ライター/編集者/研究者等、あるいはビッグネームファンの寄稿・協力多数。
・「Role & Roll」、「GAME LINK」、「SFマガジン」、「Webミステリーズ!」、「SF Prologue Wave」、「ボードゲームナビ」といった雑誌媒体に会員が寄稿。また時事通信といった新聞媒体に寄稿し、NHKをはじめ、会員が各種メディアの取材を受けている。日本デジタルゲーム学会・日本アーカイブズ学会・遊戯史学会などの各種学会や研究会にも会員が参加している。
・アナログゲームを通じた「ゲームの社会的利活用」(ゲーミング、モデリング&シミュレーション、シリアスゲーム、ゲーミフィケーション等さまざまな文脈で言われているものを含む)について企業でのプレゼンテーション、また市民講座「SF乱学講座」やイベント「SFセミナー」等での講演活動をしている。
・東京・明神下診療所のご協力をいただく「明神下ゲーム研究会」(広汎性発達障害(PDD)分野における臨床的応用に関する研究会、旧称:「明神下TRPG研究会」)に有志が参加し、研究・実践活動を行なっている。同研究会において、発達障害当事者との交流ゲーム会「MIコンベンション」を開催した。
・アナログゲーム専門店「Role&Roll Station」や成人発達障害当事者団体「イイトコサガシ」等と提携したイベント活動を行なっている。
・会話型RPG『エクリプス・フェイズ』や『ラビットホール・ドロップス』、『ハーンワールド/ハーンマスター』など、商業出版での創作/翻訳/サポート活動にも会員が積極的に関わっている。

代表 岡和田晃 (おかわだ あきら ・ 本名)
1981年生。早稲田大学第一文学部卒業、日本SF作家クラブ会員。著書に『アゲインスト・ジェノサイド』ほか。アナログゲーム関係の商業誌執筆経験や翻訳書多数。文芸評論家の顔も持ち、学術出版社や大手通信社、著名文芸誌等で執筆経験多数。2010年には第5回日本SF評論賞優秀賞を受賞。
顧問 草場純 (くさば じゅん ・ 本名)
1950年生、元小学校教員。日本で最も早い時期から各種アナログゲームを紹介してきた第一人者。ゲームについての研究発表や寄稿経験多数。著書に『ゲーム探検隊』(共著)ほか。現在は4000人近い参加者を集めるようになったイベント「ゲームマーケット」の元代表。日本のゲームを世界で紹介するプロジェクト「JAPON BRAND」の代表も務める。


【但し書き】
※当会へのご感想・ご意見につきましては、公式窓口analoggamestudies1★gmail.comまで(★→@)メールにて承ります(必ずお返事ができるわけではございません、申し訳ありません)。原則として、Analog Game Studiesからの公的な応答は、この窓口へ寄せられたものに限らせていただきます

※当会のウェブサイト等のコンテンツの中には工事中のものもありますし、記事のクオリティを向上させるため、掲載されている文章等についても、予告なしに加筆・修正・削除をされることがございます。なお更新された場合、記事の内容や活動趣旨の但し書き等は遡行して適用されるものとさせていただきます。

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当会のウェブサイト等に掲載されている文章の文責、ならびに著作権は、それぞれの書き手にあります。Creative Commonsライセンスが掲示された記事については、各リンクに示された二次利用のガイドライン(著作者明示/商業利用の可否/改変の可否/同CCライセンス継承等)に従えば、著作者の連絡なしに二次利用してかまいません。
 ただし、このライセンスが付記されていない記事については、通常の著作権法がそのまま適用されます(All Rights Reserved)。こうした記事の二次利用に関しましては、必ず事前に著作者へ連絡頂き、許可を申請してくださるよう、よろしくお願いいたします。
 著作者への連絡が必要な方は、analoggamestudies1★gmail.comにまでご連絡下さい(★→@)。
 Analog Game StudiesメンバーのCCについては、メンバー紹介のページに、書き手ごとの方針をに一括して記してあります(ただし、個別の記事では異なる場合もあり、その際には個別の記事の方針が優先されます)。


※当会のウェブサイト等に掲載されている情報は、各々の書き手の経験・調査等に則った正確な記述を心がけていますが、情報の正確性を完全に保証するものではありません。Analog Game Studiesの情報をご利用になったことによって生じた損害・トラブル等に関しまして、Analog Game Studiesおよび寄稿者は一切賠償責任を負いかねますことをあらかじめご了承ください。自己責任のもと、ご自身で最終的な判断をした上でご利用願います。
 なお、上述のように賠償責任を免責されることと、文責そのものを放棄することとは同等ではございません。記述内容に重大な過ちがある場合はご指摘いただきましたら直ちに訂正いたします。


※当会は政治的、ないし宗教的な運動体ではありません。既存のあらゆる個人・団体もしくは思想ないし創作物その他の誹謗中傷を目的としたものでもありません。
 また政治的・宗教的・思想的な強要事項等、あるいは誹謗中傷や迷惑行為等につきましては、公式窓口でも承ることはいたしかねますので、あらかじめご了承ください。


※当会では、寄稿者さまの個人情報を、個人情報保護法に従って遵守し、公開を希望された情報を除き、Analog Game Studiesと寄稿者さまとの直接の連絡を除いて使用することはございません。
posted by AGS at 11:57| 活動趣旨 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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