2021年5月21日配信の「FT新聞」No.3035で、Peaks of Phantasyシナリオ『人形たちの意思』(作:角霧きのこ、監修:岡和田晃/水波流)が配信されました。ソロアドベンチャーとしてプレイした後は、1 on 1 のシナリオとしてGMしましょう。ルールブック未所持でも問題なし!
序文等で体裁を整えて、伏線の機能性を強化しましたが、文章をほぼ、そのままで使えたのは、学生優秀作では初めてのことでした。マルチエンディングであることが意識されている作品です。
伏見健二さん曰く、「ピークスオブファンタジーはまさにゲームマーケットの黎明期、グランペールブランドのローンチタイトルの一つとしてリリースされました。世界に300セットしか存在しないボックスTRPG。」
グランペールが、尖ったコンセプトで少部数の実験作を(しかも商業作品として)出す、という試みは、遊戯史的にも非常に画期的で、今見ると完全に時代を先取り、正しかったですね。『ピークス・オブ・ファンタジー』はご許可を頂き講義内で長く使ったので、GM経験した学生も多いタイトルになりました。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
Peaks of Phantasyシナリオ 『人形たちの意思』
作:角霧きのこ
監修:岡和田晃/水波流
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
【本シナリオは岡和田晃が東海大学文芸創作学科で2019年度秋学期に開講したゲームデザイン講義で提出された課題レポート(創作)の優秀作を、ほぼそのままの形で「FT新聞」で配信するものです。講義内でプレイした『Peaks of Phantasy(ピークス・オブ・ファンタジー)』のシステムを使用しています。】
○はじめに(岡和田晃)
あなたは『Peaks of Phantasy(ピークス・オブ・ファンタジー)』をご存知ですか?
2003年にグランペールから発売されたボックス型のRPGで、デザイナーはFuyuki(伏見健二)。
このシステムが特徴的なのは、なんといっても、2人専用のRPGだということ。クラシックD&Dの『Blade of Vengence』(ジム・バンブラ作、1984年)のように、1 on 1 でデザインされたRPGの先例はありますが、国産では嚆矢と言うことができます。
シンプル&スピーディーなシステムで、RPG未経験者への紹介にも適しています。私は隠れた傑作だと断言します。
世界観はダークファンタジー。雰囲気が近いのは〈コナン〉、〈エルリック・サーガ〉、〈ファイティング・ファンタジー〉などのオールドスクール・ファンタジーでしょうか。
本作のシステムは、オープンソースRPG『2DR』の元になりました。
『モンスターメーカーRPG リザレクション』(エンターブレイン、2002年)のシステムを簡易化したもので、『ブルーフォレスト物語 リバイバル・エディション』(グランペール、2008年)の付属CDとして掲載され、ウェブでも以下のリンク先で自由に閲覧することができます。
http://gg99.web.fc2.com/2drbasic001.txt https://w.atwiki.jp/etersia/pages/24.html 事実、エテルシアワークショップのRPGの多くは、「2DR」のカスタマイズとしてデザインされています。
本シナリオは『ピークス・オブ・ファンタジー』をお持ちの方はそちらで、未所持の方は『2DR』のルールを用いてキャラクターを作成し、まずはソロアドベンチャーとしてプレイしてみて下さい。それが終われば、1 on 1のシナリオとして、あなたがGMとなり本作をマスタリングしていただければと思います。
なお、「2DR」を用いる場合、すべての能力初期値を「5」ではなく「6」にしてください。シナリオ中で登場するモンスターは、上記リンク先の「2DR」のルールに記載があるので、参照してください。また、EP(エフェクトポイント)を記録するほか、敵の攻撃のダイス目で6を振った数をDP(デスシャドウポイント)として記録しておいてください。DPはEPと同様、溜まれば敵を強化するために使用することができます(「ソロプレイで敵を強化すると不利になる」って? そんなことはありません。適宜、DPを消費したほうがいいこともあるのですよ)。
作者の角霧きのこ氏は劇団プロットプラネット所属で、劇団員が演じるマーダーミステリー『月陰村の人狼』(
https://www.youtube.com/watch?v=fGJVpvsDUUU)の動画配信なども行っています。
――それでは、1へ進んでください。
↓続きはこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/TheWillofTheDolls.pdf