2026年03月06日
『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.28
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『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.28
岡和田晃
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前面の虎に後門の狼ではないが、魔狩人をはじめ、異形のクリーチャー群に狙われ続けるのは、なかなかにしんどい。
うまく魔女の術を用いて、追跡されずには済んだのだが、やはり、後援者が必要だ。ナルンのベッカーリン街112には、鼠人間に関する膨大な資料が収められているという。
そして、そこを管理するのは……。名探偵シェリーことシーアリア・ソーンコッブル。またの名をスケイヴン狩人。
――魔女レジーナが書き遺した手記「ありえざる遭遇」の章より
在外研究で長期渡航しているアルゼンチンの中華街にほど近いショップで、『ウォーハンマーRPG』のサプリメントを見つけました! 〈内なる敵〉の第5巻『Empire in Ruins』のスペイン語版です。価格こそ140000アルゼンチンペソ(約17000円)と、なかなか高価ではありましたが、隣に並んでいるのは、フリーリーグのボックスRPG『Dragonbane』や『パスファインダーRPG』第2版に『Starfinder』(いずれも未訳)といった“わかっている”ラインナップ。現地のゲーマーの謦咳に接した気持ちになり、嬉しくなりました。
さて、2025年8月に発売された『血と茨』に続き、新たなPDFサプリメントが日本語でも続々刊行されています。今回紹介する『オールド・ワールドのパトロンたち』は、4人の強力でカリスマ性のあるパトロンNPCを紹介するサプリメントです。パトロンNPCとは何か、というと、冒険者たちの冒険の支援をするだけの力を有したキャラクターのことを指すのですが、単に善意や正義感から応援してくれる、というのではなく、一癖も二癖もある奴ばかり。腹の底では、うまくPCたちを使い倒してやろう、と目論んでいるのかもしれません。
パトロンNPCの大きな特徴として、データ的に抜きん出ている、ということが挙げられます。それこそ100%を超える技能を保持していることも、珍しいものではありません。冒険者たちがピンチのときに駆けつけてくれるかもしれませんし、反対に、裏で陰謀をめぐらせている首魁として、登場させても違和感はないでしょう。
また、パトロンNPCには特別な「冒険外活動」が用意されているのも、大きな特徴です。『オールド・ワールドのパトロンたち』には1と2がありますが、今回紹介するのは1冊目。以下、4体のパトロンNPCが紹介されています。
●シーアリア“シェリー”ソーンコッブル:スケイヴン狩人。オールド・ワールドの根幹を脅かすラットマンどもの脅威を世に訴えようと躍起になっている探偵。
シーアリアはハーフリングの貴族にして探偵、そしてスケイヴン狩人という“設定盛り盛り”なキャラクターですが、一貫性はあります。調査の途中で、鼠人間の脅威に気づいてしまったから、なんですね。なにぶん、彼女が暮らしているのはナルンのベッカーリン街(シュトラーセ)112。世界一有名な諮問探偵の住所、ベーカー街221Bを思わせるではありませんか!
●ファーフォリアン・ホワイトショア:ハイ・エルフの諸王国を代表するサーフェリィの大使。エンパイアで最も長くエルフの外交官を務めたが、外交に飽き飽きしているという噂もある。
ファーフォリアンは、なんと“すべてを知るもの”テクリスから直々に薫陶を受け、レイライン(魔力の風が流れる龍脈のような経路)を管理する術を学んだ実力者。“敬虔帝”マグナスとも面識があり、テクリスがマグナスに協力して魔法諸学府を設立したとき、新設されたアルトドルフ大使館の駐在大使を任じられたほど。こうした華々しい経歴が霞むような秘密を、ファーフォリアンは抱えています……。
●ナヤダリン“白骨商人”フロストウィールド:ウッド・エルフの闇商人。盗まれた古代エルフのアーティファクトを取り戻そうとしている。その過程で犯罪帝国を築き上げた。
ある意味でファーフォリアンと対照的なパトロンNPCです。一族と因縁が深いアーティファクトを探し出すためには手段を選ばず、構築されたネットワークはかなりのもの。他のエルフたちにどう思われるか頓着せず、本音で語るナヤダリンは人間以上に人間らしい存在かもしれません。付属する「エルフの宝具」の追加ルールも必見です。
●グートラ・モルビンシュニッツ:才能溢れる女優であり、剣術の達人。オールド・ワールド最大の富豪ヤーン・ファン・デ・コイパースの代理戦士にして密偵である。彼らはその目的を達成するために助けを必要としている。また、豊富な知識と有益な情報を持つパトロンたちは、君のパーティーにとってかけがえのない存在となるかもしれない。
代理戦士といえば、熊のようにいかつい大男ばかりと思われがちですが、そうした通念を裏切り、社交界の花、芸能スター、決闘者、代理戦士といういくつも顔を使い分けるパトロンNPCが、グートラなのです。八面六臂の活躍には、彼女の生い立ちが深く関わってきてきます。鍵になるのは、オールド・ワールド最大の富豪とも噂されるヤーン・ファン・デ・コイパース理事。彼女と接触すれば、必然的に、彼との因縁へ巻き込まれることになるでしょう。
これらのNPCは、エンパイアのどこを舞台にした冒険にも登場させることができ、シナリオ・フックも多数、用意されています。個性豊かな存在ばかりなので、『ウォーハンマーRPG』のみならず、他のRPGや創作のための参考にもなるでしょう。が、やはり、読んでいると、どうにかしてキャンペーンに関わらせたくなると思います。
翻訳は見田航介さんが担当。翻訳協力は岡和田晃、阿利浜秀明、待兼音二郎、田井陽平という面々になります。パトロンNPCの卓越した技能の数々を、是非あなたの目でご確認あれ!
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『ウォーハンマーRPG オールド・ワールドのパトロンたち』
ウォーハンマーRPGの冒険を彩る強力な後援者NPC
発売日:2025年11月
価格:700円(+税) *PDF版ダウンロード販売のみ
・コノス
https://conos.jp/product/wh_old-world-patrons_pdf/?__cf_chl_rt_tk=57x187xkIAF0UQ1dV79gbxz7coIaLT3WVBZpMY7C2EQ-1771418371-1.0.1.1-7xp7XaONXXLSBKsv1n5_YWvK1aYQfaVnbN3nkMEkvgk
・DLsite
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『ウォーハンマーRPG』ホビージャパン公式サイト
https://hobbyjapan.co.jp/whrpg/
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初出:「FT新聞」No.4775(2026年2月18日)


