12月30日配信の「FT新聞」No.3263で、『トンネルズ&トロールズ』小説リプレイ「ベア・カルト幽閉記〜レベル1、浅層〜」が配信されました。多人数用シナリオ「ベア・カルトの地下墓地 レベル1」(拙訳、『ベア・ダンジョン』所収)のロング・リプレイとなります。
『トンネルズ&トロールズ』小説リプレイ「ベア・カルト幽閉記〜レベル1、浅層〜」 FT新聞 No.3263
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『トンネルズ&トロールズ』小説リプレイ
「ベア・カルト幽閉記〜レベル1、浅層〜」
岡和田晃
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●はじめに
本作は『トンネルズ&トロールズ』(T&T)の多人数用シナリオ「ベア・カルトの地下墓地 レベル1」のリプレイ小説です。同シナリオの核心に触れておりますので、未読の方・プレイ予定の方はご注意ください。うっかり読んでしまった方は、ぜひGMにチャレンジしてみてください。
T&Tのルールについては、T&Tアドベンチャー・シリーズやT&T完全版の基本ルールブックをご参照いただけましたら幸いです。
同作は原書が1981年に出版、日本語版は2019年に発売されました(『ベア・ダンジョン+ベア・カルトの地下墓地+運命の審判』所収、書苑新社)。僭越ながら、翻訳は私が担当しております。同作を私はたびたびGMし、その模様は中山将平さんのリプレイ・コミック「はじめてのベア・カルト」(「TtTマガジン」Vol.5、2017年)でも読むことができるのですが、今回ご紹介するリプレイ小説は、私が初めて「ベア・カルトの地下墓地」をプレイした時の記録になります(2003年2月22日)。若書きのため文章が拙く恐縮ですが、ご笑覧いただければ幸いです。40年前のシナリオを、18年前に運用した計算になりますが、その思い入れ深いシナリオを翻訳できるとは感慨もひとしおでした。
「ベア・カルトの地下墓地」の作者は、"熊の"J・ピーターズ。ブラック・ユーモアに満ちた悪名高きデス・ダンジョン「ベア・ダンジョン」のデザイナーで、「ベア・カルトの地下墓地」はそれに続く第2作(ただし、シナリオとしては独立しており、単体でプレイできます)。
原書ではレベル1しか出版されませんでしたが、レベル2は杉本=ヨハネさんと私が日本語版オリジナルとしてデザインを手掛けています(前掲『ベア・ダンジョン+ベア・カルトの地下墓地+運命の審判』所収)。話し合いながら分担執筆を進めたものなので、誰がどのパートを担当したのか想像してもらっても楽しいと思いますが、共通するのはレベル1、そしてT&Tへのリスペクトがベースにあることです!
リプレイ小説としての採録にあたって訳語を現行の「ベア・カルトの地下墓地」にあわせて修正を加え、ルールまわりの表記はT&T完全版対応としました。運用にあたって、シナリオの一部を独自にアレンジしていることをお断りします。
地下墓地のどのあたりになるのか、地点名も加えましたので、本をお持ちの方はあわせて参照していただけると、いっそう楽しめるでしょう。
●登場キャラクター
ジルベール・カミングス:(戦士2レベル、男、人間、体力度20、知性度9、幸運度6、器用度13、耐久度14、魅力度18)貧民街で育ったジゴロ。暇さえあれば異性を口説いている。
スピピ:(戦士1レベル、男、フェアリー、体力度6、知性度12、幸運度18、器用度17、耐久度3、魅力度12)フェアリーのオヤジ。かつてはジャイアントを手下にしていた。
ティッカー・タクホーツ:(魔術師1レベル、男、エルフ、体力度17、知性度18、幸運度11、器用度10、耐久度18、魅力度16)通称チクタク。堅実な性格の魔術師だが、獲物はアフリカ投げ刃。
"熊殺しの"ウィリー:(戦士2レベル、男、ホブ、体力度10、知性度6、幸運度14、器用度28、耐久度14、魅力度8)口下手なホブ。熊殺しと自称するが、実はアナグマしか仕留めたことがない。
ユディット:(魔術師3レベル、女、エルフ、能力値不詳)エルフなのに魅力度が10しかないが、その反面、世知に長け計算高い。
"死の女神"レロトラー:カザン帝国の女帝。ウルク(オーク)とエルフの「混血」らしい。
ジェローム・ダズ:ゴブリンどものリーダー。
アレクサンドラ:美しい女エルフにして7レベル魔術師。だが、興奮すると……。
ラムファード:囚われの商人。
ガラドリエル:囚われのエルフの王女。アレクサンドラとは対立する氏族の出身らしい。
"大いなる熊(オソ・グランデ)"アリ:〈熊神の教団〉のNo.2。策略が趣味。
"熊の中の熊(オソ・メドヴェージェ)"ビヨルニ:〈熊神の教団〉のNo.1。法外な賞金がかけられている。
〈偉大なる熊神(ベア・ゴッド)〉:〈熊神の教団〉の生けるご本尊。まさしく怪獣。
●不意打ち!
"死の女神"レロトラーが恐怖政治を敷いているカザン帝国。首都カザンと、商業都市コーストとを繋ぐ道、〈グレート・ロード〉。
古来よりカザンとコーストの間に広がり、カザン街道とも言われるこの道は、長年、カザン帝国における交通の動脈として機能していた。
我らが迷宮探検家一行は、商隊の護衛として、その通商路を旅していたのだった。
突然、彼らは不意打ちを受けた。この辺りに最近出没すると言われている狂信的なカルト、〈熊神の教団〉の仕業だ! とっさのことに臨戦態勢もままならず、狂信者どもの手によって、交易品は持ち去られ、迷宮探検家たちは生け捕りにされてしまった。
〈熊神の教団〉は、その正式名称を〈偉大なる熊神の教団(ザ・カルト・オブ・ザ・グレート・ベア)〉という。団員は皆、洞窟熊(ケイブ・ベア)の熱烈な信奉者なのだ。彼らは非常に攻撃的な性格をしており、コーストの北にある森に覆われた丘陵を掃討し、商隊(キャラバン)を根こそぎ壊滅させてしまったのである。救助の者が駆けつけたとき、眼にしたのは辺り一面に広がる血痕だけだったらしい。ちなみに、教団の首領は"熊の中の熊(オソ・メドヴェージェ)"ビヨルニという名の男である。
"死の女神"レロトラーは、度重なる〈熊神の教団〉の所行に業を煮やし、ビヨルニをはじめ、団員たちに法外な賞金をかけた。
規定の報奨に加え、ビヨルニの首を持ち帰った者には、有名な「カザンの闘技場」を丸一日貸し切って見物できるという、最高の栄誉が与えられる。さらに、彼はレロトラーその人と、共に過ごすことさえできるのだ! それだけではない。「死の女神」は、副賞として金貨5000枚と、〈竜の口(ドラゴンズ・マウス)〉海岸にある別荘を与えてくれる。加えて、そのキャラクターは三つの特別な贈り物の中から一つを受け取ることもできる。
・使用者に全能力値の合計に等しい値のモンスターレート(モンスターの強さを一つの値で表現したもの、通称MR)を持つ熊に変身できる特殊能力を付与する指輪。
・あらゆる呪文が記された呪文書。
・14点までのダメージを吸収し、着用者に蓄えられたダメージを(まるで戦闘によって与えられたかのように)無生物(ドアや、壁、彫像など)へと転化させる魔法がかけられたプレート・アーマー。
かような並はずれた報酬からも、〈熊神の教団〉がいかに危険な存在であるかが知れるだろう。
●恐怖の谷
捕虜となった迷宮探検家たちは、目隠しをされ、見知らぬ谷へと連行された。そして、戦士は武器を奪われ、魔術師は呪文を使えないよう猿轡をされた。彼らはそのまま檻の中に放り込まれ、〈熊神の教団〉の団員たちは手近にあった機械らしきものを操作した。すると、何たることだろう! 檻そのものが突然動きだし、滑車と巻き上げ機の作用で、崖の下へ下へと降りていくではないか。
檻が谷底に到着すると、檻の蓋が音もなく開いた。ほっと嘆息する一行。だが、そこはまさしく「恐怖の谷」だった。目の前に、全長10メートルを超える金色の熊が立っていたのだ。
そう、この熊こそ、〈熊神の教団〉のご本尊〈偉大なる熊神(ベア・ゴッド)だったのである!
ベア・ゴッドのモンスターレートは、なんと5000だ!!!(蛇足を承知でいえば、モンスターレート5000のモンスターの攻撃力は、サイコロ501個+2500)
神の熊の威光にたじろいだ一行は、お約束のごとく逃げ回る。〈熊神〉がまずターゲットにしたのは、女魔術師ユディットだった。《炎の嵐》の呪文で攻撃し、相手を刺激させてしまったためである。ウィリーが泣きながら石をぶつけて気をそらそうとするも、焼け石に水である。必死で逃げまどうユディット。だが、徐々に追い詰められてくる。絶体絶命の危機に、意を決した彼女は思いっきり息を吸い、次の瞬間、谷底を流れる雪解け水の小川に飛び込んだ。そうとは知らないウィリーは、ユディットが死んだものと勘違いしてパーティに呼びかけ、とにかく身を隠せそうなところに入り込むことを提案した。
●洞窟へ
パーティは熊から逃れ、南の崖にぽっかり空いた洞窟へと身を潜めたのであるが、案の定、その先の道は三本に分かれていた。向かって西側の道を進んだ一行は、奥にエレメンタル(モンスターレート125)がうごめいているのを見て【部屋C】、すぐさま引き返した。
今度は東を行くが、その先にはなんと狼が待ちかまえている【部屋B】。意を決した一行は、無駄な戦いを避けるために、南へ直進することに決めたのだった。
そこにもやはり敵が! どこもかしこも敵だらけということか【部屋D】。相手は、迷宮探検家たちの好敵手、ゴブリンである。そのうちの一匹は、手に鎖のようなものを持っている。そして、その鎖は地面から飛び出た鉄の輪に結びつけられているようだ。そう、ゴブリンどもは迷宮探検家たちを挑発しておびき寄せ、鎖を引っ張ることで、洞窟の床に仕掛けられた罠を発動させようとしていたのだ。だが、所詮は浅知恵。程度はたかが知れている。たくらみを見抜いたパーティによって飛び道具の総攻撃を喰らい、瞬く間にゴブリンたちは蹂躙されてしまったのだった。
だが、ゴブリンたちのリーダー、ジェローム・ダズはひと味違った。仲間たちが次々と射倒されているのを見て、形勢不利を悟り逃げ出したのである。向かう先は、ねぐらと反対方向、洞窟の北側の通路である。しかし、彼はあと一歩のところで詰めを誤った。慌てて逃げ出したために、仕掛けられていた罠を見落としてしまったのである。そのため、彼は哀れにも天井から落ちてきた巨大な石の下敷きとなってしまった。
辺りに響き渡った落石の轟音を聴いて、探検家たちはいぶかしんだ。そして、ゴブリンどもをぶち倒し、ねぐらから武器をいくつか(マドゥ、ショートソード、チャクラム、手裏剣、アフリカ投げ刃)頂戴してくると、ただちに音をした方向へ向かった。目の前を塞いだ巨大な岩に不審なものを感じた彼らは、賢明に行動し、あちこちに仕掛けられていた罠を次々と解除していったのだった。
●美しき女エルフ
落石の洞窟を抜けて奥へと進んでいくと、彼らは洞窟の中に一人の美しき女エルフが佇んでいるのを発見した【部屋F】。非常に美しく、雪のように白い髪と、真夏の陽光のような若々しさとを兼ね備えている。その瞳は明るく輝き、話す言葉は聴く者をとても楽しい気分にさせる。
殺風景なダンジョンの奥深くに、こんな女性がいることに探検家たちは驚くが、歴戦のジゴロであるジルベールはひるまず、彼女をなんとか口説こうと試み、彼女(名前はアレクサンドラ)もまた〈熊神〉の生け贄にされそうになったところを辛うじて逃げ出したことを聴き出す。しかし、このような危険な洞窟で単身生き延びているとは、ただものではあるまい。案の定、彼女の口から漏れた、「身を守るために洞窟のあちこちに落石の罠をしかけた」との言葉に打ちのめされたジルベールに、さらなる追い打ちがかけられた。なんと、彼女は「興奮すると熊に変わってしまう」という特異体質だというのである! しかも、熊に変わらずとも、生身の彼女は、なんと7レベルの魔術師らしい! さすがのジルベールもたじろぐが、結局は愛が勝った。パーティはアレクサンドラを仲間に加え、さらに洞窟の奥を調べていくことにしたのだった。
●その頃ユディットは……。
一方で、〈熊神〉から逃れて川に飛び込んだユディットは激流に呑まれた末、気付くと、洞窟らしき場所の一室に放り出されていた。ひどく腰が痛む。どうやら、川を流れていく途中で、水の中から放り出されてしまったようだ。ユディットが辺りを見回すと、なんということだろう……ここは檻の中で、隣に洞窟熊(ケイブ・ベア)が眠っているではないか!【檻Q】 しかし、彼女は怯えることもなく、《開け》の呪文で檻の扉を開き、外に脱出することができた。
檻を抜け出したユディットは、ゴブリンの衛兵をうまくやりすごし、あれこれ通路を歩いていった。そこは、〈熊神の教団〉の団員たちの宿舎だった【部屋T】。ユディットは、眠っている団員たちの目を盗んで、ベッドの下に隠れ、うまく英気を養うことができた。そして、目覚めた団員たちが出勤していくと、その隙をぬって戸棚から〈熊神の教団〉の制服を取り出して着替え、まんまとカルトの一員になりすましたのだった。
変装を終えたユディットは、次に、先ほど自分を脅かした洞窟熊に復讐を遂げようと、檻のところまで戻っていき、外から《これでもくらえ!》を連発して洞窟熊を半死半生の身にしたあげく、「仲間になるなら命だけはとらん」と言いくるめ、《操り人形》の魔法をかけて、自らの手下に仕立て上げた。
洞窟熊の檻の隣には、囚人たちが入れられている牢屋があった【部屋P】。教団によって捕らえられ、身代金をせしめるために、辛うじて生かされている哀れな囚人たちである。熊には厳しいユディットだが、さすがに同胞に対する同情の面はぬぐえず、再び《開け》の魔法で牢の鍵を開け、無事、囚人たちを解放したのだった。
囚人のうち、男の名はラムファードといった。女の名はガラドリエル。2人はひどく痩せており、今にも死んでしまいそうなほど衰弱している。ユディットは2人を〈熊神の教団〉の兵舎へと連れていき、備え付けられていたキッチンに置いてあった食べ物を分け与えたのだった。
●死の矢、酸の池
ユディットはラムファードとガラドリエルから何か情報を聞き出そうかと粘ったが、彼らも街道で捕まって洞窟に連れてこられたとしか憶えておらず、話にならない。だが、熊一匹連れて歩くのでは何かと心細いので、囚人たちを連れてパーティを結成し、出口を探すことにする。
兵舎とは反対の方向へと向かう通路を歩いていく。途中の十字路を直進すると、巨大なホールに出た【部屋K】。ホールの南側には、巨大な扉が据え付けられていたが、開きそうにない。仕方がないので北側に向かうと、通路が繋がっていた【部屋L】。奥へ進むと階段があり、先には真っ赤な色の池が見える【部屋M】。あまりの怪しさにたじろいだユディットは、先に進むのをためらい、ホールに戻った。
……と、先ほどは気が付かなかったが、ホールからちょっとした小道が延びている! 意を決して、ユディットらはその道を行くことにした。
しかし、その道は文字通り「死の通路」だった。進んでいくうちに、壁の銃眼から矢が発射された【罠d】。ユディットらはなんとか回避したものの、それをまともに受けた洞窟熊は、叫び声を上げる間もなく即死してしまった。
●壁が迫ってくる!
ユディット以外の面々はアレクサンドラを仲間に加え、洞窟を急いだ。話しているうちに、アレクサンドラが熊に変身してしまう原因が、彼女が手にしている奇妙な宝石の力によるものだということもわかってきた。
しばらく進むと、探検家たちの目の前には地下水脈が広がり、通行を阻んだ。一人ずつ、意を決して川を飛び越えて行くが、器用度の低いチクタクが、途中で落ちてしまった! 必死で手を伸ばして拾い上げようとするものの、間に合わない。ジルベールは川に飛び込み、チクタクの救助に向かった。その様子を見て、残りの面々も覚悟し、2人の後を追った。アレクサンドラは《翼》の魔法で難を逃れ、危険を冒さずに一行の後に続くことができたのだったが……。
探検家たちは川を下る途中、激流から放り出された。そして気が付くと、とある牢のような場所にいたのだった。そう、つい先ほどまで、ユディットが熊を嬲りものにしていた場所である。濁流のなかで武器を無くした者も何人かいたが、パーティの面々はとりあえず皆、無事だった。とりあえず鍵が開いていた檻を抜けて歩いていくと、一行は無事、ユディットたちと合流することができたのだった。
大所帯となったパーティは、とりあえず先ほどの広いホールの辺りを探ってみることにした。罠が仕掛けられていた通路は使わず、別な通りに入って先を進んでいく。すると、奇妙な階段があった。周りには同じく、不思議な祭壇のようなものが見える。警戒した探検家たちは手をつけず、辺りを入念に探ってみた。するとどうだろう、隠し扉が見つかったのだ! パーティは意を決し、その中に足を踏み入れた。
中には、再び長い階段があった。恐る恐るのぼっていくと、部屋が見えた。全員が入り終わると、低い声が響き渡ると同時に、壁が迫ってきた【部屋O】。
「そなたらは我が墓を冒涜した。さあ、死ぬがよい!」
迷宮探検家たちは慌てて逃げ出した。
数名が危うくトマトピューレになりかけたものの、辛うじて全員が、死の罠から逃れることができた。もうこんな危険な場所はこりごりだと、パーティは後戻りすることに決めた。ホールの前の十字路まで戻り、南の通路を進んでいく。
その細い道の先には、部屋があった。「いっち、にの、さん!」で蹴破ると、そこはなんと〈熊神の教団〉のナンバー2、アリ・オソ・グランデの私室だった【部屋S】。豪華な調度品が部屋を彩っている。
アリの護衛二人はグレートソードをかまえ、とっさに防衛体制を取った。それを見たパーティは、もはや戦う他はないと判断し、一気に躍りかかった。
アリは突撃を防ごうと、背後の壁にかけてあった巨大な熊の毛皮を放り投げた。するとどうだろう、毛皮はみるみるうちに、ポーラー・ベア(MR400)へと変化したではないか!
以下、戦闘の模様を解説するが、T&Tのシステムでは、「戦闘時の行動は、敵味方とも同時」だとして処理されることをご注意されたい。
・第1戦闘ターン目
【パーティ側の行動】
ジルベールがバーサーク。ウィリーもバーサーク。
ラムファードとガラドリエルは乱戦に参加。
スピピはチャクラムを護衛の片方に投げつける。命中。
チクタクはジルベールの武器に《凶眼》をかける。
ユディットは、《これでもくらえ!》の3倍掛けでポーラー・ベアを狙う。
アレクサンドラは《これでもくらえ!》を3倍掛けでアリにぶつける。105ダメージを受け、アリは死亡。
【〈熊神の教団〉側の行動】
護衛2人はワーベアで、熊に変身し、猛攻を仕掛けてくる。探検家側に押し勝つ。
・第2戦闘ターン目
(パーティ側の行動)
ジルベールとウィリーはバーサーク中。
ラムファードとガラドリエルが攻撃に参加。
スピピはチャクラムをワーベアの1人に投げつける。外れ。
チクタクは《いだてん》をジルベールにかける。
アレクサンドラは《凶眼》をウィリーにかける。
ユディットは再び《これでもくらえ!》を3倍でポーラー・ベアに唱え、魔力不足で気絶。
【〈熊神の教団〉側の行動】
教団側の畳み掛けるように熾烈な攻撃。
ジルベール、ウィリー、ガラドリエルはそれぞれ28、28、29ダメージを受ける。
結果、ジルベール、ガラドリエルが死亡。
・第3戦闘ターン目
状況の不利を悟ったアレクサンドラは、熊(MR189)に変身。
熊は、依然バーサーク状態のウィリーとともに苦闘。
ラムファードとチクタクがサポートで攻撃に入るが、ラムファードが死亡。
・第4戦闘ターン目
教団側が、パーティに少し(2、3点)ダメージを与える。
だが、スピピの手裏剣が当たり、ワーベアの1人が死亡する。
・第5戦闘ターン目
パーティの苦闘により、ワーベアのもう1人が死亡。
残るは傷ついたポーラー・ベアだけ。
悪意ダメージは油断できないが、ひとまずパーティの勝利が確定。
●勝利の余韻
8人パーティのうち3人までもが死亡してしまうほど、激しい戦闘だった。しかし、悲劇はそこで終わらなかった。なんと、バーサーク状態で暴れているウィリーを慰撫しようとして逆に斬りかかられ、避けきれなかったチクタクは真っ二つにされてしまったのだ。
しかし、悲しいことばかりではない。部屋を探ると、なんと、1レベルから11レベルまでのすべての呪文が記された巻物と、〈熊神の教団〉の所行ならびに、メンバーの素性が記された本とが見つかったのだ。巻物は非常に貴重なものだし、本のほうはカザンに持ち帰ってレロトラーに渡せば、最低でも金貨10000枚を越える価値を持つことだろう。
迷宮探検家たちはその後、血にまみれた部屋をさらに入念に探索し、"大いなる熊(オソ・グランデ)"アリがこっそり作っていた抜け穴を発見し、無事地上に戻ることができたのだった。
前途に見えるのは苦難だらけだ。けれども、彼らの旅はまだまだ続く。
生きていかねばならないからだ。
●ちょっとした裏話
実は、今回パーティが探索したのは、洞窟全体のおよそ3分の2ほどでしかない。未踏破の部分には、謎のメカニカル・ベアなど、色々と面白いイベントが用意されていた。
また、アリは必ずしも倒すべき敵ではなく、「熊の教団」のトップであるビヨルニをやっかんで、彼を暗殺するようパーティに依頼してくることもあるのだが、今回は戦う流れとなった。
正直、アリと戦うことになったときパーティは全滅するかもしれないと思ったが、そうはならなかっただけでも、探検家は敢闘したと言ってよいだろう。NPC、特にアレクサンドラの使い方がうまかったからと思われる。