2021年01月20日

『史学研究とゲーム研究の徒・蔵原大―遺稿と追悼―』(蔵原大遺稿集刊行会)が発刊


 Analog Game Studiesのメンバー・蔵原大氏は、大変遺憾ながら、2020年2月に急逝しました。このたび、その遺稿追悼文集が完成いたしました。単体の論集としての強度がある一冊になったと自負しておりますし、Analog Game Studiesからの再録も多数、盛り込んでございます。
 正直なところ、2017年5月の『世界にあけられた弾痕と、黄昏の原郷 SF・幻想文学・ゲーム論集』に続く、Analog Game Studiesメンバーが発刊した第2の論集がこういった形にならざるをえなかったことには複雑な思いもありますが(また、AGSが合流しているボードゲーム読書会@高田馬場では、〈日本現代卓上遊戯史紀聞〉シリーズを発刊していますが)、Analog Game Studies開設後の想いのようなものがわずかでも伝われば幸いです。(岡和田晃)

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《以下、BOOTHにある紹介文の転載です》

 2020年2月に急逝した、蔵原大氏の遺稿を精選・集成し、関係者30名の追悼文を添えた本文540頁の大著です。戦略学研究から出発し、ウォーゲーム史・シリアスゲームを通じた産官学の連携の研究といった分野で重要な仕事をなした故人の業績、および人柄を偲ぶよすがとして、次のリンク先にて、電子書籍版を非営利で無償頒布いたします。

【[編]石塚正英・岡和田晃、[発行]蔵原大遺稿集刊行会、2020年12月31日刊】

※なにぶん大部の本ということもあり、紙媒体で読みたい人もおられると思いますが、そうした方には、印刷・製本・発送に伴う実費のカンパをお願いしております(2021年2月末、印刷版を限定刊行予定)。詳しくはakiraokawada@gmail.comにまでご連絡下さい。

●目次

・刊行のあいさつ(石塚正英)
・『史学研究とゲーム研究の徒・蔵原大―遺稿と追悼―』解題(岡和田晃)

・第一部「単著論文」
 文民統制こそ国家生き残りのための戦略− 旧西ドイツ政軍関係の精神に学ぶ−
 二十世紀のウォーゲーミング(図上演習の方法論)に関する歴史
 戦略学「教育」の新潮流:紛争シミュレーション教育の理論・実践・政治的利用に関する考察
 近現代ウォーゲーム(兵棋演習)の概史――二百年の変遷

・第二部「共著論文」
 ネット時代における「政府広報ゲーム」の将来性:防衛省シリアスゲーム「自衛隊コレクション」はいかにして企画・制作されたか?

・第三部「翻訳」
 サクセサーズ(AH)ヒストリカルノート
 研究ノート 歴史上の紛争を表現するシミュレーション手法

・第四部「コラム・書評・レポート」
 ハウス=デバイテッド(GDW)リプレイ南北戦争
 −教訓は忘れ去られた−:戦艦大和のミッドウェー海戦
 【書評】石津朋之『リデルハートとリベラルな戦争観』
 米国立公文書館「第二次世界大戦関連デジタルアーカイブ」利用の手引き
 【書評】桃木至朗『わかる歴史・面白い歴史・役に立つ歴史』
 陸自シミュレーション演習はどこまで進んでいるのか――陸自幹部学校主催「総合安全保障セミナー」体験記――
 傷だらけの偉大な負け組に捧ぐ:「役割演技式競技」における「ヒーロー」とは何者であろうか?」
 戦略の迷走:『空の境界』と『キラーエンジェルズ』の場合
 【レビュー】秦郁彦編『太平洋戦争のif[イフ]』(2010)
 歴史学者の秦郁彦と戸高一成、ウォーゲームにて激突す!
 【レポート】DBA(De Bellis Antiquitatis):上古の戦場にようこそ!
 【レビュー】ベアトリス・ホイザー『クラウゼヴィッツ早分かり』(Beatrice Heuser, Reading Clausewitz,2002)
 【レビュー】『エクリプス・フェイズ』(Eclipse Phase)さぁ黄昏の未来世界にようこそ!
 【レビュー】ダニガン『ウォーゲームズ・ハンドブック第三版』(J. F.Dunnigan, Wargames Handbook, 2000)
 【レビュー】ジェフリー・パーカー『フェリペ二世の大戦略』(Geoffrey Parker, The Grand Strategy of Philip II, 2000)"
 【レビュー】ジョン・キーガン『戦闘の顔』(John Keegan, The Face of Battle)
 『エクリプス・フェイズ』キャラクター作成術:「軍艦」と「パズル」と「古典」
 世界史プレゼンテーション「ポストナポレオン戦争」「武器」「移民」「将棋=チェスの世界史」「科学革命」
 ゲームと政治のつきあい方――行政広報ゲーム
 ウォーゲーム研究大会・参加談―イギリスで戦略をプレイするということ
 【ちょっと戦略研究】「狂犬」マティス将軍ってどんな人? (1)
 【ちょっと戦略研究】「狂犬」マティス将軍ってどんな人? (2)
 【ちょっと戦略研究】「狂犬」マティス将軍ってどんな人? (3―まとめ)
 【ちょっと戦略研究】「狂犬」マティス将軍ってどんな人? ( 補論) &「狂犬」トランプ
 ボードゲーム読書会『Lost Battles』レジュメ2018 年1 月
 ボードゲーム読書会『Lost Battles』レジュメ2018 年2 月
 ボードゲーム読書会『Lost Battles』レジュメ2018 年3 月
 ボードゲーム読書会『Zones of Control』レジュメ
 宗教とゲーム―頸城野から電脳空間へ―

・第五部「小説・戯曲」
 衛星タイタンのある朝
 「戦うショートショート」又はボーイ・ミーツ・ガール
 「真夏の夜の夢」作戦
 前夜
 女博士イオネスコの受難 リプレイ・忍殺バージョン

・第六部「関係者追悼文」
 蔵原大氏の急逝を悼む(石塚正英)
 蔵原追悼文(市川大河)
 蔵原大さんへ(大沢武彦)
 「戦友」を亡くして(岡和田晃)
 蔵原大氏を悼む(尾ア綱賀)
 追悼文(小野憲史)
 蔵原追悼文(金澤尚子)
 畏友蔵原大君を悼む(岸田伸幸)
 蔵原大氏追悼(草場純)
 ゲームの人、蔵原さん(黒木朋興)
 さようなら、蔵原さん(齋藤路恵)
 蔵原さんとデジタルコンテンツ(佐久間健)
 友になるまえに逝ってしまった友へ(佐藤修)
 蔵原さんのこと(沢田大樹)
 分類を拒むひと(助川幸逸郎)
 追悼文(鈴木香織)
 蔵原さんのこと(瀬戸利春)
 追悼文(高橋志行)
 蔵原大先輩の思い出(谷田雄一)
 蔵原大先生を追悼いたします(張永嬌)
 蔵原さんを偲んで(通堂あゆみ)
 蔵原大さんへ(仲知喜)
 平らな勾玉(西原志保)
 蔵原大氏追悼(伏見健二)
 「遊戯」とは何かを教えてくれた人 蔵原大さん(米田祐介)
 蔵原さん..心優しき善意の人(牧野元紀)
 美女剣士“ 無鉄砲” のダン・ワン( 弾丸) のキャラクターシートをあなたの分身とみて(待兼音二郎)
 「ゲームデザイン討論会」と蔵原さんの思い出(三宅陽一郎)
 蔵原大氏追悼(茂木謙之介)
 蔵原追悼文(八重樫尚史)
 世界の起源の泉(岡和田晃)

・あとがき(岡和田晃)
・蔵原大氏・フォトギャラリー
・著者編者プロフィール

 

【著者】
蔵原 大(くらはら・だい)
1972年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科後期博士課程単位取得退学。修士(人口学)。独立行政法人国立公文書館アジア歴史資料センター、東京大学大気海洋研究所学術支援専門職員、株式会社ジェイブレイン顧問、株式会社分析広報研究所嘱託職員、東京電機大学理工学部情報システムデザイン学系非常勤講師等を歴任する。戦略学研究から出発し、ウォーゲーム史・シリアスゲームを通じた産官学の連携の研究といった分野で重要な業績を遺した。
 主論文に「近現代ウォーゲーム( 兵棋演習) の概史 : 二百年の変遷」(「遊戯史学研究」25号、2013年)、「戦略学「教育」の新潮流:紛争シミュレーション教育の理論・実践・政治的利用に関する考察」(「戦略研究」第9号、2011年)、共著に『世界史プレゼンテーション』社会評論社, 2013年)、『ゲームクリエイターが知るべき97のこと(2)』(オライリー・ジャパン、2013年)ほか、また自身の思想を小説や戯曲としても表現し、代表作に「前夜」(「SF Prologue Wave」、2017年)がある。翻訳書にウィリアムソン・マーレー&リチャード・ハート・シンレイチ『歴史と戦略の本質 歴史の英知に学ぶ軍事文化』(上下巻、共訳、原書房、2011年)など。軍事問題研究会、日本アーカイブズ学会、戦略研究学会、日本デジタルゲーム学会、Analog Game Studies、遊戯史学会、ボードゲーム読書会@高田馬場、ゲームデザイン討論会、アルテス=リベラレス開発研究所、その他に参画。2020年2月急逝。

 

【編者】
石塚 正英(いしづか・まさひで)
1949年新潟県上越市生まれ。立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学、同研究科哲学専攻論文博士(文学)。1982年より、立正大学、専修大学、明治大学、中央大学、東京電機大学(専任、2020年3月退職)歴任。東京電機大学名誉教授。2008年〜、NPO 法人頸城野郷土資料室(新潟県知事認証)理事長(現在に至る)。著書に、『革命職人ヴァイトリング――コミューンからアソシエーションへ』『地域文化の沃土――頸城野往還』『マルクスの「フェティシズム・ノート」を読む――偉大なる、聖なる人間の発見』『ヘーゲル左派という時代思潮――A・ルーゲ/ L・フォイエルバッハ/ M・シュティルナー』『学問の使命と知の行動圏域』(以上、社会評論社)、『アミルカル・カブラル―アフリカ革命のアウラ』(柘植書房新社)、J・G・フレイザー『金枝篇』(監修、既刊7巻、国書刊行会)ほか。蔵原大氏を東京電機大学非常勤講師に招聘し、アルテス=リベラレス研究所を立ち上げ、また研究生活50周年記念誌『感性文化のフィールドワーク』(社会評論社)は、蔵原大氏生前最後の文業発表の場となった。

岡和田 晃(おかわだ・あきら)
1981年北海道上富良野町生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科で修士(文学)を取得。2007年より、ゲーム作家・研究家、文芸評論家として活動。2011年より、商業媒体で歴史コラム執筆。2015年より、共愛学園前橋国際大学、法政大学経済学部、東海大学文化社会学部等の非常勤講師を務める。2019年より、商業文芸雑誌の編集長、現代詩創作の仕事も開始。「ナイトランド・クォータリー」編集長。著書に、『「世界内戦」とわずかな希望―伊藤計劃・SF・現代文学』(第5回日本SF評論賞優秀賞を含む)『世界にあけられた弾痕と、黄昏の原郷 SF・幻想文学・ゲーム論集』(以上、アトリエサード)、『反ヘイト・反新自由主義の批評精神――いま読まれるべき〈文学〉とは何か』(第50回北海道新聞文学賞佳作の改題、寿郎社)、『掠れた曙光』(茨城文学賞詩部門受賞、書苑新社)、『現代北海道文学論 来るべき「惑星思考(プラネタリティ)」に向けて』(編著、藤田印刷エクセレントブックス)、『幻想と怪奇の英文学W――変幻自在編』(共著、春風社)ほか、RPG『エクリプス・フェイズ』『トンネルズ&トロールズ』『ウォーハンマーRPG』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』等関連の翻訳・創作も多数。Analog Game Studiesを立ち上げ、蔵原大氏と共闘した。

 

装丁・製作:松島梨恵
posted by AGS at 06:57| 新作紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする