蔵原大

※当ブログAnalog Game Studies(AGS)は『エクリプス・フェイズ』公式サイト(Homepage | Eclipse Phase)で承認されているファンサイト(Fan Websites)の一つです( http://eclipsephase.com/resources )。※
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SFゲーム『エクリプス・フェイズ』(Eclipse Phase, http://analoggamestudies.seesaa.net/article/183475700.html )は未来の太陽系社会を扱った作品ですが、その中で描かれているテクノロジーや社会情勢が今のわたし達を原点としているのは言うまでもありません。サイエンス・フィクションをさらに理解し、さらに楽しみたいのだとしたら、まず現実のサイエンスをさらに理解し、さらに楽しむという所から入るのも一つの手法ではないでしょうか。
そこで今後は"『エクリプス・フェイズ』ゼロ年"という連載コラムを通じ、未来技術に関連しそうな研究成果・講演・セミナー等を随時ご紹介していきます。コラムで扱う内容は特定の分野に留まることなく、惑星科学、生命科学、歴史学、シリアスゲーム研究を始めとする複数の領域での先端研究を幅広く追っていく予定です。
※このあたりの話は5月3日の「SFセミナー2011」での『エクリプス・フェイズ』紹介パネル」でお伝えしました通りです:http://analoggamestudies.seesaa.net/article/199514106.html
『エクリプス・フェイズ』ゼロ年の第二回では現役研究者のブログ、サイトをご紹介します。なお第一回「東京大学の場合」( http://analoggamestudies.seesaa.net/article/198290624.html )を併せてご参照くださると、ありがたい次第です。
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【@.惑星科学のこと】
●The Great Magnet, the Earth
http://www.phy6.org/earthmag/demagint.htm (English Page)
●大いなる磁石、地球
http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/stern-j/demagint_j.htm (Japanese Page)

なぜ地球は磁気を発するのか、誰がその原理を解明したのか、地磁気はいつごろから利用され始めたのか、スターン博士による一連の解説記事はたいへん啓発させられます。
○『磁石論』http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/stern-j/DMGRev2_j.htm
○「地磁気の起源 : 地球核内の自励ダイナモ」http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/stern-j/dynamos2_j.htm
○「ギルバート以前に、磁石や方位磁針について知られていたこと」http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/stern-j/upto1600_j.htm
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●Sasaki Takanori Online | Just another WordPress site
http://sasakitakanori.com/en/ (English Page)
●Sasaki Takanori Online | 惑星科学者@東工大
http://sasakitakanori.com/ (Japanese Page)
地球惑星科学者の佐々木貴教氏のブログです。研究の一環として惑星の誕生・進化の研究動向をご紹介されているのが、なかなか参考になります( http://sasakitakanori.com/research )。

なお、佐々木氏のブログでは明確にこう宣言されています。曰く「本サイトの内容、特に惑星科学に関する内容については、常に新しい情報・解釈が出てくる性格のものであるため、その信憑性については保証いたしません。昨日までの「常識」が今日から「非常識」になってしまうことも多々ある世界ですので、特定のサイトの情報を鵜呑みにすることは非常に危険です。これは本サイトのみならず、全てのサイトの内容に関して言えることです。」( http://sasakitakanori.com/policy )
まことにごもっともです。
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【A.生命科学のこと】
●脳の世界:中部学院大学 三上章允
http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/index.html
医学博士の三上章允氏が、ヒトをヒトたらしめる生体コンピュータ「脳」の機能をご紹介されています。ここでは研究や論文紹介もさりながら
○「霊長類の脳の外観」http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/01/index-01.html
○「神経細胞はいくつ」http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/10/index-10.html
○「脳の変化を体験する」http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/70/index-70.html
といったコラムの充実ぶりが(画像を含めて)秀逸です。

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【B.歴史学のこと】
●源清流清 ―瀬畑源ブログ―
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/
天皇制研究から始まって、御本人曰く「深入りしてしまった」公文書管理問題までを扱う歴史学者のブログです。日本政府の文書の何が公開され、何が非公開のままなのか、そしてそれをどう見極め、どう調査したらいのか、現行法の動向をおさえながらご説明されています。情報化時代と言われながら逆に情報の真偽が分かりにくい時代にこそ、大きな意義のある内容です。
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●イギリス情報部の歴史
http://britintel.exblog.jp/
インテリジェンス研究者として知られる奥田泰広氏の成果をはじめ、日本では知られていない諜報機関の歴史を扱った専門書、学術研究を紹介しています。架空の人物「ジェームズ・ボンド」で有名なイギリス(と時々は他国)の情報機関について史学的見地から分析しているのが魅力的です。
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【C.シリアスゲーム研究のこと】
●A Japanese View on Games and Learning
http://anotherway.jp/enblog/ (English Page)
●Another Way - 教育・学習、シリアスゲーム、留学生活のブログ
http://anotherway.jp/index.html (Japanese Page)
シリアスゲーム研究者の藤本徹氏が運営されているブログです。慶応義塾大学、東京工芸大学で教鞭をとる藤本氏は、ゲームと教育との関連について御自分の体験を踏まえて論考されています。
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●Play The Past
http://www.playthepast.org/ (English Page)
2010年10月に開設されたこのサイトは、複数のゲーム研究者が集う一種のウェブ機関誌です。最新のデジタル、アナログゲーム事情に加えてゲームの史学研究についても多数紹介されているのが面白く仕上がっています。

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【終わりに】
SF作家のアーサー・C・クラーク(Arthur C. Clarke)曰く「高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」とか。新しい科学を「魔法」と称するなら、現代の例えば「仙人」「マーリン」「ガンダルフ」は人跡未踏の地にではなく大学の研究室の奥深くに棲んでいるのかもしれません。
さてさて魔法使いにご興味のある方々、どうして映画や三文小説でご満足されるのですか。本当に生きている魔術師はあなたのすぐそば、大学で、図書館で、研究機関で暮らしているとは思わないのですか。彼らは皆、入門希望者が来るのを待っています。さあ、コンピュータ時代の妖術使いを探しにいきましょう!
それでは次回にまたお会いしたく思います。
http://analoggamestudies.seesaa.net/article/201383672.html

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