蔵原大

※当ブログAnalog Game Studies(AGS)は『エクリプス・フェイズ』公式サイト(Homepage | Eclipse Phase)で承認されているファンサイト(Fan Websites)の一つです( http://eclipsephase.com/resources )。※
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SFゲーム『エクリプス・フェイズ』( http://analoggamestudies.seesaa.net/article/183475700.html )は未来の太陽系社会を扱った作品ですが、その中で描かれているテクノロジーや社会情勢が今のわたし達を原点としているのは言うまでもありません。サイエンス・フィクションをさらに理解し、さらに楽しみたいのだとしたら、まず現実のサイエンスをさらに理解し、さらに楽しむという所から入るのも一つの手法ではないでしょうか。
そこで今後は"『エクリプス・フェイズ』ゼロ年"という連載コラムを通じ、未来技術に関連しそうな研究成果・講演・セミナー等を随時ご紹介していきます。コラムで扱う内容は特定の分野に留まることなく、惑星科学、生命科学、海洋探査、歴史学を始めとする複数の領域での先端研究を幅広く追っていく予定です。
※このあたりの話は5月3日の「SFセミナー2011」での『エクリプス・フェイズ』紹介パネル」でお伝えしました通りです:http://analoggamestudies.seesaa.net/article/199514106.html
『エクリプス・フェイズ』ゼロ年の第一回では、東京大学での動きをご紹介します。
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【@.5月17日(火)の「第1回深宇宙探査学シンポジウム」のこと】
東京大学では5月17日(火)に参加無料、登録不要の「第1回深宇宙探査学シンポジウム」が予定されています。場所は東大柏キャンパスの図書館メディアホール( http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam03_04_04_j.html )です。
詳細は公式サイトをごらんください:http://www.k.u-tokyo.ac.jp/news/20110428dspace.html

東大大学院の「新領域創成科学研究科」( http://www.k.u-tokyo.ac.jp/ )が主催するこのシンポジウムでは月や火星への探査の状況が解説される他、「太陽系における生命生存可能性」の探査、また「我が国の宇宙開発の現状と課題」の紹介が予定されています( http://www.k.u-tokyo.ac.jp/news/news-image/20110428dspace/poster517.pdf )。
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【A.6月4日(土)の「第11回東京大学生命科学シンポジウム」のこと】
東京大学では6月4日(土)に参加無料、登録不要の「第11回東京大学生命科学シンポジウム」が予定されています。場所は東大本郷キャンパスの安田講堂( http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_01_j.html )です。一般の方々を含めて学内外の幅広い層から聴衆のお出でを求めていますので、覗いてみるだけでもいかがでしょう。
詳細は公式サイトをごらんください:http://www.todaibio.info
このシンポジウムでは、生命科学に関する最新の研究動向が紹介されるほか、東大生命科学ネットワークの紹介ブースが設置され、パンフレットや各種資料の展示も予定されています。また若手研究者による「ポスター発表の演題」を募集しているのも特徴で、連絡先は公式サイトに記載されていますが、そちらの登録の締切は5月13日(金)となっております。
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【B.東京大学大気海洋研究所の「リサーチハイライト」のこと】
忙しくてシンポジウムに行けません(泣)という方、諦める必要はありません。東京大学の「大気海洋研究所」( http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/ )はそんな皆さまの味方です。同研究所はご自宅とか職場に居ながらにして最新科学を楽しめる情報化社会のウリを積極的に活用しています。
「リサーチハイライト」:http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/report/j/index.html

大気海洋研究所は、学術研究船を駆使してえた最新の成果を「リサーチハイライト」として連載紹介しています。海底の下を流れる「鉄」や「水素」の「大河」を追跡し、未知の生命体を発見し、謎に満ちていたウナギの産卵場を探求する同研究所の活動はこれからも期待できるものばかりです。
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【C.朝鮮史研究会での「大会パネルの公募」の「延長」のこと】
東京大学を拠点の一つとして活動されている「朝鮮史研究会」( http://wwwsoc.nii.ac.jp/chosenshi/index.html )では、2011年10月に予定されている「第48回大会」での「パネル(分科会)」で発表される研究者を求めています。締め切りは「5月末日」に延長されましたので、皆さまも思い切って挑戦してみてはいかがでしょう。
詳細は公式サイトをごらんください:http://wwwsoc.nii.ac.jp/chosenshi/taikai/48/panel2011kobo.htm
なお朝鮮史研究会では研究会のほか、会報や論文集を発行しています( http://wwwsoc.nii.ac.jp/chosenshi/katsudo/katsudo.html )。
歴史学はあまりサイエンス・フィクションとは関係ないのでは、とお考えの方もいるかもしれません。しかし科学というものが文化や時代環境によって揺さぶられてきた過去、例えばナチスドイツによる忌むべき「優生学」思想、例えばソ連時代の「ルイセンコ主義」を思い返す時、人類が歩んできた筋道を改めて問い直すことは未来に目を凝らす上で決して無意味ではないはずです。隣邦の歴史を通じて見えてくるかもしれない今後のわたし達、それはどんな姿なのでしょうか。
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【終わりに】
ナポレオン・ボナパルト曰く「狂人は未来を語り、賢人は現在を語る」とか。そういう意味では先端科学は部外者にとって「狂人」的領域なのかもしれません。何しろ巨額の投資を飲み込んで前進する先端研究には、ファンタジー小説そこのけの奇談が満ち溢れているのかもしれないのです。しかし今日のファンタジーが翌日には科学的事実になる可能性のある現代、アインシュタインの「相対性理論」やトーマス・クーンの「パラダイム・シフト」概念がそうだったように、本当に真摯な科学はその成果が時に奇怪に見えるからこそ、楽しく刺激的なのかもしれません。
それでは次回にまたお会いしたく思います。
http://analoggamestudies.seesaa.net/article/198693657.html

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