2024年10月17日

M!M!オフラインセッション・レポート


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
M!M!オフラインセッション・レポート

 けいねむ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

はじめまして。モンスター!モンスター!TRPGファンのけいねむです。
先日9月21日、地元の図書館で『モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)』のオフラインセッションを開催し、GMを行いました。
楽しいセッションをさせて頂きましたが、今回はそのセッションの反省点を共有して、私の考える改善点をご紹介し、今後モンスター!モンスター!TRPGのセッションGMを行われる方への参考となれば幸いと思い投稿致しました。内容の都合上一部ネガティブな表現もありますので、そういった表現が苦手な方はご注意頂きたく思います。

■レギュレーションとパーティ構成
今回のセッションのレギュレーションとしては
・ベースは『猫の女神の冒険』簡易ルール
・能力値係数など一部はM!M!2.7e(未訳)準拠。
・追加特殊能力、魔法などハウスルールあり。
という条件でごく短いダンジョン探索シナリオを行いました
プレイヤーキャラクターはジャングル・トロール、ズィム、ドウォン、人間の魔法使いの4名というパーティでした。
GMの私も含めて『モンスター!モンスター!TRPG』は未経験で、TRPG経験も比較的浅い方が中心の卓でした。

■何が良くなかったか。
端的に言えば、バランスが悪く、活躍機会の少ないPCを出してしまったことがGMとして良くない点でした。
『モンスター!モンスター!TRPG」は種族によってキャラクター作成時の能力値に修正が入り、また能力値によりキャラクターレベルが決定されるシステムです。
つまり、キャラクター作成時のキャラクターレベルは種族によって差があります。
今回はこの差が大きく、セッション中に活躍機会の少ないキャラクターを出してしまったことがGMとしての反省点となります。

具体的には、人間の魔法使いの方は次のような形になりました。
レベルは1、覚えている魔法は最も初級の物を3つのみ、武器は無く素手のみ。
対してズィムとジャングル・トロールの方はレベル9以上、個人修正100近く、トロール用棍棒で武装しています。ドウォンの方はレベル4、知性度と器用度と幸運度が人間の方より高く、弓矢で武装しています。
キャラクターシートの内容だけを見れば、人間の魔法使いの方は戦闘では殆ど効果的な行動が出来ず、探索でもドウォンの方に劣る、と言った状況が予想されました。
また、このゲームでは「カオスファクター」というルールがあり、魔法を使えないキャラクターは1通常ターンに一度のみ、キャラクターレベルの数字の分だけダイスロールの出目の合計を上下させることができます。汎用性が高く、かなり有用な要素ですが魔法を使えるキャラクターにはこれもありません。

あまりにも他PCに比べて行動の材料が少なく、カオスファクターによるロールの修正も出来ず、キャラクター作成時点で詰み、と言っても過言では無いほどの差がありました。戦闘や探索ではどうしても充分な活躍が出来ず、プレイヤーの方曰く「戦闘では完全に居ないも同然(なんなら倒されたら困るお荷物)」だったと自PCを評しておられました。
その一方で、単身で包囲網から脱出する(他の人は助ける側)という盛り上がるパートなどもあり、戦闘シーンだけが活躍の場ではないというTRPGの楽しみ方を感じて頂けたようです。
結果的にはプレイヤーの方の巧みなロールプレイにより、要所要所で適切な行動を行って頂き、シナリオ進行への貢献もされてパーティメンバーの役割としては充分に果たされたように思えます。

総じてGMが平等にプレイヤーに活躍機会を与えきれなかった部分をロールプレイでカバーを頂き、シナリオは成功、セッションも楽しく行えたという結果を頂けたと深く感謝していますし、同時に強く悔いも残りました。
キャラクターデータ・シナリオデータだけが活躍出来るか出来ないかの基準ではないことを改めて教えて頂けたように感じました。

■GM側の改善案&注意事項
いずれも、TRPG経験の浅い方が卓におられる場合、特に気を付けたいポイントです。

・使用ルールの吟味を行う。
今回のセッションでは簡易ルールをベースに一部、未訳のM!M!2.7eの要素を入れましたが、これは悪手でした。シナリオ的には簡易ルールのみで充分間に合い、特にカオスファクターと二者択一の魔法の要素を入れたことが結果的にプレイの幅を狭めてしまうことになりました。
特に現段階では未訳の魔法要素をハウスルールとして入れてしまうことは少なくともM!M!のプレイ経験の無いメンバーしかいない今回は不適切であったといえますし、お勧めしません。和訳ルールブックを待ちたいところです。

・カオスファクターの調整を行う。
カオスファクターは大変強力な要素で、特にセービングロールに使用した際には殆どの場合成功させることが出来ると言っても過言ではないくらい有用でした。
場合によっては1セッション辺りに使える回数を制限するなどの要素を入れても良いかもしれません。

・キャラクターレベルの差を考慮する。
キャラクターレベルの差はそのままカオスファクターで動かせる値の差ですし、戦闘では能力値の高いキャラクターの方が活躍するので、あまりにも差があり過ぎると「もう戦闘あいつだけでいいんじゃないか?」というような状態になりかねません。今回実際にそうなりました。もし3レベル以上の開きが出るようならば、低い方のキャラクターに冒険点を渡すなどし、全員が平等に活躍できるための措置はあっても良いかもしれません。

・場面の描写を詳細に行う。
『モンスター!モンスター!TRPG』の戦闘は抽象戦闘ですので、戦闘場面の描写は多少おざなりになるかもしれませんが、実際にはダイスの振りあい以外に出来る事は沢山あり、むしろ描写の重要性は高いと思っています。序盤の戦闘ではこの辺りが弱かったので、キャラクターの動かし方を掴みにくかったかもしれません。

■プレイヤーの方への提案
キャラクターを作ってセッションに参加したけれども、思ったように活躍できず手詰まりを感じた経験をされたことのある方はおられると思います。私自身今まで何度も経験しています。そういった時にプレイヤー側として、もしかしたら打開策になるかもしれない方法をひとつ、紹介したいと思います。

「ルールやキャラクターシートの内容を頭から一旦外して、場面のみを想像し、自分がキャラクターにさせたいことを見つけてGMに相談する」という方法です。
GMに「〇〇って出来ますか?」と質問する事じたいは別にルールやデータに沿っている必要はないですし、そもそもルールに沿っているかどうかのジャッジはGMの仕事です。
相談した内容が行動決定のヒントになりますから、なんでも思いついたことを口に出しておくに越したことはありませんし、多分この『モンスター!モンスター!TRPG』ではそういった思いつきが実際に通りやすいゲームだと思っています。
(とは言え、通るかどうかはあくまでGMの裁定次第。参加者全員が平等に楽しむというゲームの遊び方を逸脱しないようには心がけたいものです)

■おわりに
私個人としては今回のセッションでは不本意な結果になってしまいましたが、それならそれで何かこの経験を最大限、『モンスター!モンスター!TRPG』を遊ぶ方の役に立たせられないだろうか?と考えた結果、本記事を投稿致しました。
GMを行う際の参考として頂けたのならば、大変嬉しく思います。

(初出:「FT新聞」No.4272、2024年10月4日)
posted by AGS at 11:01| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。