2021年11月20日

『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.17

 2021年11月18日配信の「FT新聞」No.3221に、「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.17」が掲載されています。今回は、英語の資料を使い、〈ウォーハンマー〉シリーズのあゆみを確認しています。

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『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.17

 岡和田晃
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 やはり怪しいのは、ヘルベルト・ハルツァートの"ひと味違う"チーズの店。
 けれども、あれだけ魔狩人が詰問したのに、しらを切り続けられているとは思えない。
 普通に考えればシロなんだけれども。
 ラッテンファンガーに正面からその疑問をぶつけてみた。
「そりゃあそうです。大きいネズ公ったって、好き好んで人目につきたくはないでしょう。昼日向から出歩いているわけはありゃしません」
 とすると、時間をずらしたほうがよさそうだ。
 −−魔女レジーナが書き遺した手記「ありえざる遭遇」の章より

●ここで歴史を振り返ろう

 『比類なく有益なスラサーラの呪文集』はもう入手されましたでしょうか。
 魔術師の専用サプリメントとしては、第2版の『魔術の書:レルム・オヴ・ソーサリー』(ホビージャパン、2007年)が邦訳されていますが、実は初版の頃から魔術師専用のサプリメントは存在しています。
 ちょうど、電子版登場で『ウォーハンマーRPG』第4版がいっそう活気づいてきたタイミングに合わせ、第4版登場までの歴史を振り返ってみたいと思います(これまでの連載で言及してきた情報と一部重複する部分もあることをお断りします)。
 本稿は完璧な通史ではなく、あくまでも各種資料を参考に、重要事項をまとめ直した叩き台にすぎません。メインの資料としては『Designers & Dragons: The '70s』(by Shannon Appelcline , Evil Hat Productions, 2014)を参照いたしました。
 他に岡和田晃がまとめたRPG史の「T&Tのあゆみ」(『トンネルズ&トロールズでTRPGをあそんでみる本』所収、冒険支援株式会社、2016年)、「〈ゴーストハンター〉シリーズのあゆみ」(「ナイトランド・クォータリー」Vol.10、アトリエサード、2017年)があり、それらと比べたらまだ粗いものではありますが、参考になる部分はあるかと思い、共有するものです。

●〈ウォーハンマー〉シリーズのあゆみ

■〈ウォーハンマー〉以前(1975〜83年)

 〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズで知られるスティーヴ・ジャクソン&イアン・リビングストンらが1975年に立ち上げた会社がゲームズ・ワークショップで、こちらから〈ウォーハンマー〉は出ている。創立時、すでにジャクソンは「ゲーム&パズル(Games and Puzzles)」誌のライターとして活躍中だったが、アメリカへ出かけた時にD&Dを知り、熱狂する。ゲームズ・ワークショップはイギリスにおけるTSR社の輸入代理店となってD&D製品を売り、それだけではなく『トラベラー』(GDW)や『ルーンクエスト』(ケイオシアム)等の他社製品も輸入していた。
 顧客向けペーパー「フクロウとイタチ(Owl and Weasel)」の後継誌「ホワイト・ドワーフ」誌を出すに至り(1977年創刊、リビングストンが編集長)、D&Dをはじめとした取り扱い作品のサポート記事を載せていた。ゲームズ・ワークショップと「ホワイト・ドワーフ」は、イギリスのRPGシーンの中心地となり、AD&Dのサプリメント『フィーンド・フォリオ』(1979年)にモンスターを提供するなど、イギリスにおけるRPGの一潮流を築く(後のTSR UKの流れ)。この頃から、『ウォーハンマーRPG』のメイン・ライターの一人、グレアム・デイヴィスが参加している。最近でもイギリスBBC(日本で言うNHK)や大手リベラル紙「ガーディアン」(日本で言う朝日新聞あたりに相当)でも、この頃のことが紹介されていた。
 1982年にパフィン・ブックス(日本で言う岩波少年文庫)から出した『火吹山の魔法使い』が大ブームとなり、ラジオ番組やテレフォン・アドベンチャー等でメディア・ミックスされる。もとはD&DをはじめとしたRPGの解説書の予定が、ジャクソン&リビングストンの意向から単体で遊べるゲームブックとなり、しかもパラグラフを選ぶだけではなく、簡単ながら練り込まれたルールシステムが付随していたのがヒットの理由だった。
 ただ、これでゲームズ・ワークショップが販路を拡大したわけではなく、1978年にファンタジー・ミニチュアを扱うラル・パーサ社(アメリカ)と契約し、ミニチュアについても力を入れていた。20世紀初頭のH・G・ウェルズの『リトル・ウォーズ』の時代から、ミニチュアはイギリスで人気だった。「ホワイト・ドワーフ」でラル・パーサのミニチュアをサポートすると同時に、自社ブランドとして子会社のシタデル社を設立し、オリジナルのミニチュアを製造・販売し始めた。
 ゲームズ・ワークショップはボードゲームやRPGにも力を入れており、『火吹山の魔法使い』のボードゲームはもとより、『ドクター・フー』(SFドラマ)や『ジャッジ・ドレッド』(SFコミック)をボードゲームやRPG化している。
 また、ゲームズ・ワークショップが直接・間接的に関わったRPGやゲームブック作品に『ドラゴン・ウォーリアーズ』(1984年〜)、『タイガー暗殺拳』(1985年)、『ローン・ウルフ』(1985年〜)等があり、いずれも日本でも訳されている。〈ファイティング・ファンタジー〉のサポート雑誌「ウォーロック」が創刊されたのも1983年(〜86年、ちなみに日本版「ウォーロック」は84年創刊)だ。
 
■ミニチュアとRPGが並走していた頃(1983〜88年)

 ただ、1980年代半ばからRPGブームが落ち着き始める。1983年に『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』初版が発売される。1984年に2版、87年に3版が出ている。ただ、初版から2版の間は、あくまでも中心はRPGで、「ホワイト・ドワーフ」誌でもサポートはされていたものの、『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』はメインの商品とは言い難かった。D&D用の『ダンジョン・フロア・プラン』や、ボードゲーム『タリスマン』(1983年)等と同じ扱い。ただ、1985年に、TSRとの契約が切れてしまうので、以降、TSR関連製品を展開する代わりに『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』がプッシュされるようになってくる。
 1986年に出た『ウォーハンマーRPG』は、ゲームズ・ワークショップでは3番目のオリジナルRPG。『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』との差別化として、当初からアーミーを組まず、個別のキャラクターを演じるのがポイント。
 システムのベースはD&Dに大きな影響を受けていたが、キャラクター・ステータスに1〜10の数値幅を用いる『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』に比べて、『ウォーハンマーRPG』は1〜100の能力値幅を有し、かつ、膨大なキャリアの転職を繰り返すユニークなシステムを採用していた。それでありながら、戦闘ルールは『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』とコンバート可能になっていた(『ファンタジー・バトル』も初版にはRPGとして遊ぶルールが付属していた)。
 魔法の拡張ルール集『レルム・オヴ・ソーサリー』が出す出すと言って果たせなかったものの(出たのは後述するホグズヘッド・パブリッシング時代の2001年)、『ウォーハンマーRPG』時代は評判上々で、リアル志向のキャンペーン・シナリオ〈内なる敵〉シリーズ(1986〜89年)が、AD&D小説『ドラゴンランス』(1984年)等大人っぽい冒険物語を好む層にヒットした。
 『ウォーハンマーRPG』の初版は社会思想社から1991年〜93年に出た。文庫3分冊のルールブックのほか、『さまよえる魂』、〈内なる敵〉二冊、友野詳のリプレイ2冊が出て、「ウォーロック」誌で92年までサポートされた。小説は角川文庫で『ドラッケンフェルズ』が出た。

■ミニチュアとRPGが分化していた頃(89年〜2002年)

 ゲームズ・ワークショップはその後、大手おもちゃ会社ミルトン・ブラドリーと組んでシタデル・ミニチュアを使った『ヒーロークエスト』(1989年、日本版はタカラから出た)から出すなどしていたが、徐々にミニチュアの方に比重を置き始める。
 『ウォーハンマー・アーミーズ』(1988年)、『レルム・オブ・ケイオス』シリーズ(1988年〜等)。そしていよいよ、1987年に『ウォーハンマー40000:ローグ・トレイダー』の初版が発売される。RPG、ミニチュア、SF、ファンタジー、コミックの要素すべてが入っているという点で大ヒットした。結果として、『ウォーハンマー40000』と『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』がゲームズ・ワークショップの製品の核となり、1988年の「ホワイト・ドワーフ」100号では、ほとんど全ページがミニチュアゲーム関連の記事で占められるようになった。結果として、第1号では4000部だった「ホワイト・ドワーフ」の部数は、この頃は50000部にまで伸びていた。
 とうとう1989年にゲーム・ワークショップはRPGラインを切ってしまい、サポートは子会社のフレイム・パブリケーション(Flame Publication)で行うようになり、『ウォーハンマーRPG』関係のクリエイターはそちらへ移籍して、〈ドゥームストーン(Doomstone)〉キャンペーンを製作した。これは『ウォーハンマーRPG』でもAD&Dのルールでも遊べるようになっているというキャンペーン・シナリオ。ただ、フレイム・パブリケーションも1992年には解散してしまい、1995年に『ウォーハンマーRPG』の権利はホグズヘッド・パブリッシング(Hogshead Publishing)へ移籍した。ホグズヘッド・パブリッシングでは『ウォーハンマーRPG』サポート誌「ワープストーン(Warpstone)」を創刊し、これは2版の時代も断続的ではあるが版元を変えて刊行されている。ホグズヘッド・パブリッシングが2002年に倒産すると、『ウォーハンマーRPG』の権利はゲームズ・ワークショップへ戻った。
 1990年代半ばからゲームズ・ワークショップ社は世界的な成長を遂げていくようになる。『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』は第4版(1992年)から第6版(2000年)、『ウォーハンマー40000』が第2版(1993年)から3版(1998年)、そして『ロード・オブ・ザ・リング』のミニチュア・ゲーム(2001年)が製品の核となっていた。
 日本でもシタデル・ミニチュアの輸入は新和・ORG等、複数のベンダーが出掛けていたが、『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』が1997年頃からゲームズ・ワークショップ・ジャパンによって紹介されるようになる。

■〈ウォーハンマー〉のコンピュータ・ゲーム化

 〈ウォーハンマー〉のデジタルゲームは意外と少なく、よく知られているのはマインドスケープ(Mindscape)社の『シャドーズ・オブ・ザ・ホーンド・ラット(Shadows of the Horned Rat)』(1995年)、『ダーク・オーメン(Dark Omen)』(1998年)、ブラックホール社の『マーク・オブ・ケイオス(Mark of Chaos)』(2006年)くらいだったが、実はブリザード社の『ウォークラフト:オーク&ヒューマン』(1994年)は『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』の影響を強く受けており、同様に『スタークラフト』(1998年)も『ウォーハンマー40000』にインスパイアされたものだった。
 ただ、ゲーム・ワークショップ謹製の製品ではなかったことから、〈ウォーハンマー〉展開にあたっては機会損失でもあった。そして、オンラインゲームについても版権交渉がこじれて、なかなか進展しなかった。
 ようやく、『ダーク・エイジ・オブ・キャメロット』で知られるミスティック・エンターテインメントが『ウォーハンマー・オンライン』を2008年からスタートさせた。ただ、ブリザード社の『ワールド・オブ・ウォークラフト』(2004年)は1000万人以上のプレイヤーを擁したのに比べ、『ウォーハンマー・オンライン』は成功したとは言い難く、後期には10万人程度のプレイヤーしか獲得できなかった。
 
■〈ウォーハンマー〉の小説化

 『ウォーハンマーRPG』は初版の時から、イギリスのSF誌「インターゾーン」の編集者デヴィッド・プリングルと組んで、「インターゾーン」の作家陣にノベライズを書かせていた。ジャック・ヨーヴィル〈ドラッケンフェルズ〉シリーズ、ブライアン・クレイグ〈吟遊詩人オルフィーオの物語〉シリーズなど。前者は『ドラキュラ紀元』シリーズが人気のキム・ニューマン、後者はベテランSF作家・評論家のブライアン・ステーブルフォードの筆名。
 小説は質が高かったため、アメリカにおける〈ドラゴンランス〉シリーズのように一大ブランドとなり、『ウォーハンマー・ファンタジー・バトル』が中心になった時代にもそれは続いた。アメリカのメタル・バンド「ボトルスロウアー」やパンク・バンド「スケイヴン」のように、音楽と連動する例もあった。
 1997年には〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズにも参加していたライター・編集者のマーク・ガスコインが、ブラック・ライブラリー社を設立する。ブライアン・クレイグの〈トロールスレイヤー〉シリーズや、ダン・アブネット(『ウォーハンマーRPG』2版の巻頭小説)の〈ファースト&オンリー〉シリーズなどが高く評価されている。並行してコミック化も進められ、〈ウォーハンマー・マンスリー〉(1998〜2004年)のような連載もあった。

■『ウォーハンマーRPG』2版(2005年〜2008年)

 2003年から『ウォーハンマーRPG』第2版の開発が始まり、2005年には、D&D3版系のサード・パーティであったグリーン・ローニン社から『ウォーハンマーRPG』第2版の展開が始まる。2008年には『ダーク・ヒアレシー』をはじめとした『ウォーハンマー40000』版のRPGが展開される。
 前者は日本語版も2006年から発売、『オールドワールドの武器庫』、『オールドワールドの生物誌』、『魔術の書:レルム・オヴ・ソーサリー』、『堕落の書:トゥーム:オヴ・コラプション』、『救済の書:トゥーム・オヴ・サルヴェイション』、『ウォーハンマー・コンパニオン』、『スケイブンの書:角ありし鼠の子ら』、キャンペーン〈呪われた道〉三部作、ショートシナリオ『略奪品の貯蔵庫』といった展開がなされ、2015年には『ウォーハンマーRPG』第2版の基本ルールブックは根強いファン活動によって増刷版が刊行になった。
 リプレイは「GAME JAPAN」誌掲載。ダウンロードシナリオは公式サイトで出た。小説は〈ドラッケンフェルズ〉シリーズが4冊と、『渾沌のエンパイア』が出た。また「ウォーハンマー・オンライン」が2009年から日本語版が展開、小説翻訳もウェブに載った。

■『ウォーハンマーRPG』3版以降(2009年〜)

 『ディセント』等のRPG風ボードゲームで知られるファンタジー・フライト・ゲームズ社が2009年に『ウォーハンマーRPG』の第3版を出し、豪華コンポーネントで話題を集めた。しかし、それまでのユーザー層は少なからず困惑した。システムは、より洗練させたうえで『スターウォーズ』のボードゲームに転用されたものの、『ウォーハンマーRPG』2版を支持する声は根強く、『ツヴァイヘンダー(Zweihander ※aはウムラウト)』(2017年〜)というクローンシステムも出ている。そんな折、D&D5版の『ロード・オブ・ザ・リング』サプリメントを出しているキュービクル7社から、2018年に『ウォーハンマーRPG』第4版が出た。『ツヴァイヘンダー』との差別化のためか、初版への回帰色が強く(メイン・デザイナーの一人アンディ・ローは初版のデザイナーでもある)、実際〈内なる敵〉シリーズが4版対応で復刻されている。

 −−and more…。

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『ウォーハンマーRPG』
・ルールブック ¥7,480(印刷版/電子書籍版共通)
・スターターセット ¥3,300(印刷版)/¥2,750(電子書籍版)
・ゲームマスター・スクリーン ¥3,850(印刷版)/¥3,300(電子書籍版)
・ライクランドの建築 ¥770(電子書籍のみ)
・比類なく有益なスラサーラの呪文集 ¥550(電子書籍のみ)

全て、通販サイト『コノス』にて発売中
https://conos.jp/products-tag/warhammer_rpg/

出版社:ホビージャパン(HobbyJAPAN)

2021年11月13日

『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.16


 2021年11月4日の「FT新聞」No.3207に、「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう!」のVol.16が配信されています。『比類なく有益なスラサーラの呪文集』の発売、ゲームマスター・スクリーンの起源、読者からお気に入りのスクリーンとその理由の紹介など。大ボリュームです。

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『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.16

 岡和田晃
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「まあいい、こんな奴を撃つのも弾の無駄遣いだ。ビーストマンを倒すのにとっておかないとな」
 嘆息し、魔狩人フレイザーは銃を仕舞った。
「そうです、旦那、そうこなくっちゃあ。物分りのいいお方には、ラッテンファンガーはいくらでもご協力いたしますよ」
 早口でまくし立てる。
「人間みたいに大きいネズ公ですよ! 本当にそういう奴がいるんです。しかも、あの店に出入りしてるんでさあ」
 堅砦のごときアルトドルフならともかく、ここユーベルスライクには、そういう連中がいくらでも徘徊してそうだ。
 そう思ってしまうのは、わたしが「魔女」だからかもしれない。
 −−魔女レジーナが書き遺した手記「ありえざる遭遇」の章より


●『比類なく有益なスラサーラの呪文集』が出たぞ〜!

 『ウォーハンマーRPG』の新作サプリメント『比類なく有益なスラサーラの呪文集』が発売となりました。これは魔術師向けの追加データで、八色の魔法の各呪文が追加され、またハイエルフのスラサーラによるコメントが随所に挟まれています。追加された呪文はカードになっており、厚紙に印刷するか、印刷して厚紙に貼れば、呪文カードが完成します。翻訳は伏見義行さんで、私は待兼音二郎さんと、翻訳監修という形で参加しています。
 電子版(PDFファイル形式)限定サプリメントで、オンライン/ショップのコノスのサイトから、なんとワンコイン、500円で買えます。こうした廉価なサプリメントを電子限定で提供するのは、まだまだ実験的なところがあり、ご支援いただければと思います。

●『スターターセット』と『ゲームマスター・スクリーン』も電子版が提供!

 『スラサーラの呪文集』にあわせ、先に発売された『ウォーハンマーRPG スターターセット』および『ウォーハンマーRPG ゲームマスター・スクリーン』も電子版が提供されています。
 これらは当然、印刷物は付属していないのですが、できるだけ忠実に『スターターセット』と『ゲームマスター・スクリーン』のコンポーネントを再現しようとする形になっています。
 ありがたいことに、『ウォーハンマーRPG』第4版関連製品はAmazon.co.jpのTRPGカテゴリーでランキング1位をいただくことが多く、『ゲームマスター・スクリーン』も例外ではありませんでした。
 前回、一般にゲームマスター・スクリーンとはGMしか買わないアイテムだとみなされがちな弱さがあると書きましたが、それを良い意味で裏切る結果となっており、ただ感謝しかありません。10月21〜27日のコノスにおけるランキングでは、なんと1位〜5位を『ウォーハンマーRPG』関連製品が独占。この結果には、私も驚かされました。
 スクリーンを電子版で買うというのは、とりわけオンライン・セッションにおけるチャート集としての利便性、あるいは付録の『ゲームマスター・ガイド』目当てだと言えるように思います。スクリーンは代表的なプレイエイドであるため、付録も実践的な内容のガイドやシナリオなど、具体的にゲームへ“使える”ものが多く、提供されるような印象があります。
 これは『ウォーハンマーRPG』に限った話ではありません。そもそも、スクリーンは分厚いルールブックとは違って「積ん読」状態になりづらく、これを使うと、いかにも「オフィシャル環境下でその作品をプレイしている」という雰囲気が出るため、とても見栄えがするのですね。コレクションしたくなる魅力があります。「ご趣味は?」と聞かれたら、「マスタースクリーンのコレクションです」と答えても、そう違和感を持たれない時代が近づいているのかもしれません(笑い)

●スクリーンはいつからあるの?

 意外と知られていませんが、ローレンス・シックの研究書『ヒロイック・ワールズ(Heroic Worlds)』(Prometheus Books、1991年)によれば、マスタースクリーンの起源は1977年にジャッジズ・ギルドが出したD&D用の『ジャッジズ・シールド(Judge’s Shield)』とのことです。
 ジャッジズ・ギルドというのは、複数の会社のRPG製品のプレイエイドを手掛けた、サードパーティのはしりともいうべき会社で、私もT&Tの歴史とどう関わってくるかを、「トンネル・ザ・トロール・マガジン」Vol.3およびVol.4(書苑新社、2017年)の「T&Tによる遊戯史学のススメ」に書きましたので、そちらもお読みいただければと思うのですが、スクリーンというアイテムの発想が、サードパーティから生まれたというのは、なかなか興味深いところがありますね。
 同年、ジャッジズ・ギルドはデイヴ・アーネスンによるD&Dのワールド『世界初のファンタジー・キャンペーン(The First Fantasy Campaign)』(1977)を出版しているところでもあり、マスター目線に立った発想があったのかもしれません。
 『ジャッジズ・シールド』は変わったつくりで、三面開きなのですがマスターが顔を出しやすいように、真ん中の面は横、それ以外の面は縦になっています。イラストなどはなく、チャートで構成されています。
 これが1年も経たないうちに評判を呼び、1979年には『トラベラー』版、80年には『ルーンクエスト』版が発売されました。雑誌にも、シリアスなダンジョンマスターは必携との好評が出ています。
 『ジャッジズ・シールド』は初版が黄色、2版は紫だったようで、サイズも変わっているようです。ようです、と書くのはいかに好セールスを叩き出したといっても、さすがに45年近くも前のものをきちんと保管している人はそういないようで、今ではレア・アイテムとなり、海外のRPG系フォーラムにおいても、「知ってるか?」「持ってないよ」という議論が起きてもいるくらいだからです。
 私が現物を確認したことのある、日本で最も古いスクリーンは1983年の『スタークェスト』(ツクダホビー)のボックスに入っていた「マスター用ブラインド」です。こちらは打って変わって、チャートの記載はなく、黒一色のシンプルな作りながら頑丈です。『スタークェスト』に関しては、「ウォーロック・マガジン」Vol.5(書苑新社、2019年)の「FFによる遊戯史学のススメ」でも、日本ではあまり知られていない情報を紹介しています。
 ちなみに、デザイナーのエドワード・リプセットさんは、私が編集長をしている「ナイトランド・クォータリー」で選書協力をしてくださっているんですよ。

●極私的スクリーン史

 岡和田個人が最初に買ったスクリーンは、社会思想社から出ていたT&Tのスクリーン(社会思想社、1991年)でした。スクリーンはシュリンクされていて、中に何が入っているのか「立ち読み」することができないのに、価格は2000円近くしたので、文庫版RPGしか触れてこなかった身としては、購入までに一大決心が要りました。特に『ハイパーT&T』からT&Tへ、先祖返りしてプレイを深めていた時期だったから余計に、そうだったのです。
 ただ、スクリーンの武器チャートや呪文チャートが思いのほか使い勝手がよく、付録のキャラクターシートやシナリオ「ジャイアント・クエスト」も遊び倒しました。こいでたくさんの漫画『RPGなんてこわくない!』(ホビージャパン、1992年)で、防具としても使われているのも納得の頑丈さ、だったのです。
 買いたくて買えず、借りて感動したのが『クリスタニアRPG』のスクリーン(主婦の友社、1994年)。これを真似て、T&Tのスクリーンにクリップをつけ、書類を挟めるように改造したこともあります。『モンスター・ホラーショウ』(本田成二訳、社会思想社現代教養文庫、邦訳1991年)では、ウェアウィザード(ゲームマスター)は、「プレイヤーを楽しませてやること」とよく見える場所に貼っておけとあったので、実際にT&Tのスクリーンに貼ったりもしました。ジョシュ・キルビィ(カービィ)のアートがA4サイズにフィーチャーされたパッケージも捨てることなく、自作の下敷き加工にして学校でもアートが見られるようにしました(笑)。
 その後、AD&D第2版(新和、1991年?)や『ギア・アンティーク』のスクリーン(『アート・アルケミー』所収、1992年)も転居する知人から譲り受けたのですが、自前で購入した製品でとりわけ印象深かったのは、大学に入って買った『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』の美麗なスクリーン。これは『ヴァンパイア・ストーリーテラー・コンパニオン』(アトリエサード、2002年)に同梱されていたものです。非常にゴシックパンクでハイセンスなデザイン。
 プロになってからは、イベント仕事でマスターをする機会がたくさんあったため、視覚的アピールの意味も込めて、公式ダンジョンマスター用のD&D3.5版スクリーン、『ウォーハンマーRPG』2版の『ゲームマスターズ・パック(Gamemaster”s Pack)』(Black Industries、2版2007年)、『エクリプス・フェイズ』のスクリーン(Posthuman Studions、2010年)はよく使っておりました。これらは英語版ですが、できるだけ日本語化されたスクリーンは入手するようにしております。

●あなたのお気に入りのスクリーンは?

 それでは、本連載のVol.14で問いかけた「あなたのお気に入りのマスタースクリーンと、その理由は何ですか?」について、読者の方からいただいた回答を紹介しておきましょう。

(たまねぎ須永さん)
【マスタースクリーンの思い出】
 まず一番に思い出すのが、「ウォーロック」誌の特集で掲載されていたマスタースクリーン(の素になるチャート群)をコピーして、GMスクリーンに見立てやすい形の冊子小包に貼り付けたものです。
 これらと社会思想社さんから出ていたGMスクリーンはPL側にまでしっかりチャートが載っていて、TRPGの可能性を感じさせてくれてお気に入りでした。
 製品として思い出すのは、社会思想社版の『ウォーハンマー ファンタジーRPG ゲームマスター・スクリーン』、Fローズ(『ファー・ローズ・トゥ・ロード』のスクリーンです。
 ウォーハンマーのは、ランダム名前表、キャラクターの特徴表などが充実していて、ほかのファンタジーTRPGでも重用しました。Fローズのは、PL側には様々な生き物の大きさ相関が分かるシルエットがついているのが印象深いです。この世界にはあんなでっかい生き物がいるのか……とわかりやすいのです。
ゴブスレRPG(『ゴブリンスレイヤーTRPG』)の限定版のスクリーンや今回のウォーハンマーのスクリーンの4面なのは、最初見てびっくりでした。これならPLからチタンダイスが飛んできても安心そうです。
 そういえば、最近のスクリーンはPL側が美麗な絵になってることが多く、チャートはGM側だけという感じなのが個人的にはさみしいです。
番外編としては、『鋼鉄の虹』のミニ・スクリーン、夏のTRPG祭りの支給スクリーン、コミケで得た黒地にワイヤーフレーム調のスクリーンです。
 『鋼鉄の虹』のは小さい! 夏のTRPG祭りのは参加GMリストが載っていて、触れるたびにGM参加した思い出と自信が蘇ってきます。最後のは、『ウィザードリィ』の白黒画面調でダンジョン潜ってる気分に浸ってもらえます(笑)

(岡和田からの回答)
 スクリーンの自作からT&Tスクリーンとの出逢い、というのは一定の流れではあるのだなあ、と再確認できるコメントです。『ゴブリンスレイヤーTRPG』限定版(ソフトバンククリエイティブ、2019年)のスクリーンは、T&T完全版もそうでしたが、ボックス・タイプのRPGにスクリーンが入っていたワクワク感の再現を狙っていますよね。
 小さいスクリーンといえば、『ブルーフォレスト戦乱 リバイバル・エディション』(グランペール、2009年)に入っていたスクリーンも2面立ての小さいものでした。もっとも、こちらは小柄な女性でも顔が隠れないように、という配慮があったようでしたが。イベント限定のスクリーンも、確かにけっこうありますね。
 ちなみにFローズのスクリーンのクリーチャー比較図は、『クトゥルフの呼び声』のオマージュですが、それは次のおたよりにもつながります。

(ピピンさん)
 クトゥルフ・キーパースクリーン(HJ『クトゥルフ・コンパニオン』ボックス付属)が思い入れ深いです……マスタースクリーンには「ビジュアルによる雰囲気づくり」「手堅くまとまったサマリーの集合」の用途のほかに「手元を隠しつつマスターのコミュニケーションを阻害しない」という衝立本来の役目がありますが、とくに学生の頃は狭い下宿のちゃぶ台で胡座かいてRPGを遊ぶことが多く、スクリーンがA4タテだと座高的に高すぎることもあり、あれを横倒しにした高さがなんともいえずフィットして凄い重宝しました。

(岡和田からの回答)
 スクリーンは「高さ」が意外と重要な要素なんですよね。私は『クトゥルフ・コンパニオン』を入手したのがけっこう後で、先に『RPGスーパースクリーン』版のキーパースクリーンを入手していました。『RPGスーパースクリーン』とは、中身のチャートを取り替え可能にすることで複数のシステムに対応可能にしたスクリーン・シリーズのことですね。ただ、私が知った時は『スーパースクリーン』本体は入手困難な時期で、『クトゥルフ』や『ストームブリンガー』のチャートのみが手元にある状態でした(泣)。

(吉里川べおさん)
 私はあまりスクリーンを使わないスタイルなのですが、T&Tではシンタックス・エラー版にお世話になりました。あとは思い入れがあるといえば、新和の『D&DマスタースクリーンII』でしょうか。プレイヤーでクラシックD&Dのキャンペーンをやってたとき、DMがずっと使ってたもので、黒箱(『マスタールールセット』)の表紙の絵がでかでかと描かれてるんですね。当時既にマスターレベルまで行くのは無理やな、と、どこかで達観はしてたんですが、夢はありました。

(岡和田からの回答)
 シンタックス・エラー版は社会思想社版のプロトタイプですが、色が違いますし、付属シナリオ「巨人の剣」は先述した「ジャイアント・クエスト」の前日譚ですね。こちら、なかなか本格的な作りだったので、2021年度春学期に私が受け持っていた東海大学のゲームデザイン論でプレイしてみました。
 黒箱のラリー・エルモアのカバーアートは比類なくクールなデザインですよね。「FT新聞」No.3044でも、マスターレベルの冒険を紹介したことがあります(https://analoggamestudies.seesaa.net/article/481698487.html)。
 クラシックD&Dのスクリーンだと、メディアワークス版のスクリーン(1996年)についていたキャラクターシートとシナリオがよく練られていました。1レベルセッションを「不条理な死」で終わらせないための工夫があります。あのシナリオ、シート&データの取り回しの良さは、もっと評価されていいと思います。

(水波流さん)
 マスタースクリーンに関して、オールドゲーマーとして所持しているものから、便利なところと不便なところをあげてみたい。
 というのは、思い出深いマスタースクリーンはいくつもあるのですが、実は私はこれがナンバーワン!というものに巡り会えていないのです。

・T&T5版(2種類あるうち、社会思想社の緑版)
・ソードワールド(旧版・青)
便利な点:内面はGMがよく使うチャート類、外面にはプレイヤーがよく使うチャート類が書かれており、プレイヤーの利便性も高い。付録で魔法がA4サイズ1枚にまとめられており、GMもプレイヤーも便利。
不便な点:A4サイズ3面ものですが、背が高く横幅が狭いので、シナリオなどが手元からはみ出してしまう。あと両面が全てチャートなので、ビジュアル的に期待すると地味。

・『ジークジオン』(『ガンダムマスタースクリーン』/ツクダホビー)
便利な点:外面にプレイヤーがよく使う、射界図や損害決定表、歩行移動力表などが書かれており、プレイヤーの利便性が高い。
不便な点:ほぼ戦術級シミュレーションゲームなTRPGなので、GMも外面の表を多用するため、結局、GMもプレイヤー側に回って同じ表を眺めるという、奇妙な光景になることが多い。

・『クリスタニアRPG』(完全版用)
便利な点:内側上部にクリップが付いており、GMのメモを挟むことができる。リングファイルでルールサマリーがあり、このシステムのウリでもある膨大な部族ごとのタレント(特殊技能)がすぐに調べられる。
不便な点:サマリーがあるせいか、外内どちらにもチャート類は未掲載で、結局よく使うチャート類はコピーして手元に置く必要あり

・T&T完全版(BOXセット同梱)
便利な点:内面にランダム宝石表やワンダリングモンスター表など、プレイ中にGMがほしそうな表がいくつも記載されている。
不便な点:外面がビジュアルなので、プレイヤーの利便性向上にはならない。A4サイズ3面ものかつやや薄く不安定なため、結構倒れがち。

・D&D5e(ダンジョンマスターズスクリーン)
便利な点:4面ものでハードカバー材質なので、手元が広く取れて、倒れない。背も低めなのでお互いの顔が見えてコミュニケーションも阻害しない。
不便な点:内面に肝心のチャート類が少ない。外面がビジュアルなので、プレイヤーの利便性向上にはならない。

 T&T5版や『ソードワールド』のを買った頃は、文庫ルールブックを買うにも悩むような小中学生だったため、文庫本の2倍以上の金額がするマスタースクリーンを買うのはまさに清水の舞台から飛び降りるほどの決心が必要でした。
 T&Tにはシンタックスエラー製の青版というのがあり、なんとそれと緑版は同梱のシナリオが違うというのを後になって知りました。(しかも関連性のあるシナリオ!)でも当時知っても買えなかったろうなぁ。
 いまやD&D5eではキャンペーンシナリオ毎に専用マスタースクリーンが出るような状況ですが、キャンペーンを遊ぶ回数で考えると、1回あたり数百円ならプレイアビリティ向上には買って損はないか……と考えれるくらいは大人になってしまいました(笑)
 それとグループSNEさんでは雑誌の付録に自社製品のマスタースクリーンを付けてくれる太っ腹対応で、そちらもかなり便利に使わせてもらっています。(『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー』第2版、『ロードス島戦記RPG』、『ソード・ワールド2.5』、『トレイル・オブ・クトゥルー』などなど)

最後に「ぼくのかんがえたさいきょうのマスタースクリーン」の要素を書いてみます。
・4面ものでGMの手元を広く取れる。
・分厚めで、倒れない。背は低いほうが良い。
・外面にもプレイヤー用チャート類が掲載。
・クリップが付いている(いやこれは、自分でつけても良いのですが……笑)。
・配布用チャート類がA4サイズでついてくる。

いかがでしょうか。

(岡和田からの回答)
 おみそれしました。まさしくスクリーン・ソムリエともいうべきこだわりです。D&D5版がキャンペーン、というかセッティングごとにスクリーンを出しているのは実用性とともにコレクター・アイテムとしての性格もあるのではないかと思います。日本語版が出なかった『ウォーハンマーRPG』第2版のスクリーンは英語版で二種類あって、私は片方しか持っていないんです。初期の版はプレミア価格になってしまっています。
 私は究極のスクリーンよりも、その日のコーディネートを決めるように、スクリーンをチョイスしていきたいタイプです。同じスクリーンを使い倒していた子ども時代に比べると、なんだか邪道な気がしてしまいますが。
 アートワークとしては、『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー』第2版のカバーアートが好きなので、あれがスクリーンになったときは嬉しかったなあ。『ウォーハンマーRPG』の場合、第4版のプレイヤー側はアートでしたが、日本オリジナルの初版はチャート。第2版はエンパイアの地図+アートといった構成でしたね。

(これくら!さん)
 はじめまして、「鋼の旅団」というウォーハンマーRPGファンサイトを運営しております"これくら!"と申します。
 私「これくら!」のお気に入りマスタースクリーンは、自作のオリジナルマスタースクリーンです。
 レストラン等のメニューブックに使われているA4サイズ3つ折りの淵ありクリアケースに、エクセルで作った表やデータ集などを挟み込んで使用しています。
 お気に入りの理由は、
・表面の絵柄を好みによって変えられる…光沢紙にカラー印刷して出力すると本格的に。
・水に強い…オフセ中のドリンクがこぼれても心配いりません(他の紙類は被害を受けますが)。
・内側のデータを自由にカスタマイズできる…その反面、手間はかかりますが。
 しかしながら、今回発売される『ウォーハンマーRPGゲームマスター・スクリーン』は、表面にはすばらしいアートワークが施され、裏面には、一番『ウォーハンマーRPG』を熟知するゲームデザイナーが、必要だと思うデータなどを選りすぐって掲載しているわけですから、セッションを行う際の基本的なデータについては心配する必要がなくなるわけです。
 それが数千円で手に入るというのは、オリジナルのマスタースクリーンをカスタマイズする労力と比べると破格です。
 当然、予約済みです。
 もう一点、私が中学生の頃(30年以上昔)、T&TのGMをしていましたが、マスタースクリーンは『ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード』のあの美しい女性の描かれているバインダーでした。
 理由は完全にあの美しいアートワークに惚れ込んだというものです。
 内側にルーズリーフを挟んで、そのルーズリーフにコピーしたルルブのデータを糊で貼り付けて使っていました。
 これは、高校生になって初代ウォーハンマーのGMでもこのスタイルでした。
 肝心の『ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード』は、残念ながら一度もプレイする機会はありませんでしたが(笑)。
 以上、私の昔話になりましたが、他の方々のマスタースクリーン話も楽しみです。
 次回の『ウォーハンマーRPG』を愉しもう!の配信を楽しみにまっています。

(岡和田からの回答)
 早くからおたよりをいただいていたのですが、紹介が遅くなって申し訳ありません。これらくら!さんは、このおたよりの後、実際に『ゲームマスター・スクリーン』を購入してくださった模様ですが、水波さんとはまた違ったマイスターですね。
 マスタースクリーンは自作ができるので、最初は買えないから自作。後に究極のスクリーンを求めて自作、となるパターンが多いような気がします(笑)。私的利用の範疇であれば、飾るアートもさほど気にせずに済むというのも大きいかもしれません。
 『ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード』(遊演体、1989年)も、初版のバインダー方式のスクリーンは立派ですが収録されたルールが破れやすいので、複数のバージョンが出ましたね。Bローズの加藤直之さんのジャケット・アートは、フェルメールやレンブラントを彷彿させますが、『ローズ・トゥ・ロード』が復刻した時のスクリーン『忘却の呪縛、近づく頃』(アークライト、2004年)はまた別格のイメージになっており、こうしたアートを比較していくのも楽しいですね。

 最後に、読者の皆さんへ。Twitterで好評だった(?)金言を贈って、この項を締めましょう。
「マスタースクリーンって、何を隠すためのついたてなの?」
「にじみ出てしまうゲームマスターのロマンを、だよ」

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『ウォーハンマーRPG』
・ルールブック ¥7,480(印刷版/電子書籍版共通)
・スターターセット ¥3,300(印刷版)/¥2,750(電子書籍版)
・ゲームマスター・スクリーン ¥3,850(印刷版)/¥3,300(電子書籍版)
・ライクランドの建築 ¥770(電子書籍のみ)
・比類なく有益なスラサーラの呪文集 ¥550(電子書籍のみ)

全て、通販サイト『コノス』にて発売中
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出版社:ホビージャパン(HobbyJAPAN)