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子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(2)
岡和田晃
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そもそも、なぜ『甲竜戦記ヴィルガストRPG』を選んだのでしょうか?
第一の理由は、私(岡和田)が『ヴィルガスト』直撃世代だったにもかかわらず、まだプレイしたことのないシステムだったからです。純然たる好奇心でルールブックを入手してみたかったのでした。
第二の理由は、明らかに低年齢層(小学校高学年〜中学生くらい)を意識した体裁で、子どもと遊ぶのに適しているのではないかと思ったため。そのことが親たる私の背中を押してくれたのです。
それまで子ども向けの『ラビットホール・ドロップス』や『ラビットホール・ドロップスG』、システムがシンプルな『ファイティング・ファンタジー』や『アドバンスト・ファイティング・ファンタジー第二版』というRPGは子どもと遊んできました。どれも1回遊んで終わりではなく、複数回プレイしてきたものでして、今後もプレイする予定はあります(それは今後触れられればと)。
しかし、いざ『ヴィルガストRPG』のルールブックを買ってみて、改めて思ったのです。
「これ、プレイする前に、どの程度まで原作を押えればよいのだろう?」と。
私個人について言えば、だいぶ忘れている部分も多いとはいえ、リアルタイムで触れてきた強み、強烈なインプレッションがアドバンテージになります。一方、予備知識がまったくない子どもの場合には……?
原作付きのRPGの多くは、ユーザーの間口を広げるため、「原作を知らなくても遊べるが、知っていたほうがいっそう楽しめる(知っていたほうが望ましい)」というスタンスをとっています。ゲームマスターはむろんのこと、プレイヤーもそう。そもそも、原作に関心がなければ、原作付きのRPGを手に取らないものの、個々の読者の知識には濃淡がある、という現実を反映しているのでしょう。
同じケイブンシャの『恐竜戦隊ジュウレンジャーRPG大百科』(1992年)は、行為判定はじゃんけんを使うシンプルなシステムで、登場人物や敵役の設定が細かに解説され、原作のTV番組を見ていなかった私でも、35話までのストーリーが紹介されているので、内容は理解できました。ただし、『恐竜戦隊ジュウレンジャーRPG大百科』は、基本的にはジュウレンジャーのメンバーの誰かを演じ、シナリオは原作をなぞったものにすることが推奨されています。
同時期に出ていた『フォーチュン・クエスト・コンパニオン』(角川書店、1991年)はオリジナルなシナリオですが、そもそも著者のジェローム・ブリリアントIII世というのが原作小説に登場するゲーム好きなマンチキン・ドラゴン。独りよがりのゲームはつまらないと、原作で盗賊のトラップに喝破され、その反省から初心者でも楽しめるカードRPGを考案したという触れ込みでした。なので、わかりやすさを重視し、演じるのは基本的にカード化されているキャラクターとなります(後のバージョンでは、オリジナルのキャラクターも作成できるようになりますが)。
対して『甲竜戦記ヴィルガストRPG』は、特に原作をなぞったり、原作のキャラクターを演じたりするのではなく、原作キャラクターがNPCとして登場したりするわけではありません。原作付きのRPGとはいっても、『ストームブリンガー』のように原作のキャラクターが超強力なNPCとして出張ってくるわけでもないのです(モンスターや装備については、原作に準拠していますが)。
まがりなりにも私はRPGで食べてきた身。特にゲームマスターをつとめる場合は、自分の紡ぎ出す物語が公式ストーリーとの間に大きな齟齬を生んでしまわないために、可能な限り関連資料を押さえるようにしてきました。そこで、ひとまずコミック版の第1巻を買い直しました。当時、「デラックスボンボン」で読んだことがあったので懐かしさを感じ、すみだひろゆき氏の画力に改めて唸らされました。
娘にも渡して読んでもらいましたが、喜んで読み耽っていたものの、もともと「漫画に夢中!」という感じの子でもないためか、読み終えてもルールブックのように二度、三度と読み返すことはなく……。RPGの根本衝動に、「自分が触れた漫画みたいなお話を、ゲームで体験してみたい!」というものがあるとよく言われますが、今回のケースでは該当しなかったのですね。
どちらかといえば『ゴブリンスレイヤーTRPG』のように、原作はゲームの大枠を提供するのみで、あとはユーザー主体でファンタジー世界の冒険を作っていく。それが不思議と、原作のスタイルに近づいていく……というスタンスに近いものでした。こうしたスタンスが具体的にどのようなものかを説明するのは紙幅がかかってしまいますので、ご興味のある方は、以前私が4Gamer.comに書いた『ゴブリンスレイヤーTRPG』の先行リプレイをご覧ください。
思い返せば『ヴィルガスト』じたい、ガシャポンのなかにキャラクター1体か、モンスターとアイテムのセットが入っているというもので、それを自分なりに組み合わせて遊ぶというものになっていました。『ヴィルガストRPG』もそうしたスタイルを踏襲しているんですよね。
重要なデータはHPしかありません。これは当時のおまけシール(『ドキドキ学園』のギガロン、カードダスのHP等)を踏襲したものとなっています。一方で、装備はバラエティに富んでおり、モンスターのカタログはとても充実しています。
このあたりの「基本はシンプルだが、バリエーション豊かで、組み立てブロックのように遊べる」ところが、子どもにとって『ヴィルガストRPG』が魅力あるものに映った理由ではないかと分析しています。
■書誌情報
ケイブンシャの大百科別冊
『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む(4Gamer編集部:touge ライター:岡和田 晃 カメラマン:佐々木秀二)、「4Gamer.net」(2018年12月)
https://www.4gamer.net/games/436/G043667/20181224002/
初出:「FT新聞」No.4537(2025年6月25日)
2025年06月28日
2025年06月25日
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(1)
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子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(1)
岡和田晃
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私の娘は現在8歳で、4月から小学3年生になりました。思い返せば、保育園に入るか入らないかの3歳の頃から、子どもと接する際はコミュニケーションの一環として、アナログゲームを取り入れてきました。
最初はごく簡単で、ほぼ自動的に進むが「お母さんカード」の登場がほっこりと楽しい、カードゲームの『バルーン』から始めて、さまざまなボードゲームとカードゲームを愉しんできました。一人っ子なので、ママやいとこを交えてプレイすることもありますが、基本的にはパパ(私)と娘の2人で遊びます。
ただしアナログゲームの多くは、3人以上でプレイすることが想定されており、2人だと若干盛り上がりに欠ける。そこで娘が集めているお人形さんたちをプレイヤーに見立てて、4人以上で遊ぶこともしばしばです。もっとも、お人形さんたちも大半は私が動かすので、大忙しではありますが(笑)。ただ、子どもとのコミュニケーション以外にも、システムを研究する役に立ちます。
ゲームを用いた子どもとの関わり方には様々なやり方がありますが、対戦型のゲームの場合、特に年齢が低いうちは子どもに自己肯定感を育ててもらうため、私はわざと子どもを勝たせるようにしていました。
−−と申しますか、私が勝ちそうになったら、子どもの方が私からカードを奪って自分が上がったりすることも日常茶飯事(笑)。友だち同士で遊ぶときはそのようなズルはしないので、相手が親だから、ということでしょうか。
対戦型ゲームは、当たり前の話ですが、最後には勝ち負けが決まってしまいます。しかも、慣れている大人がプレイすると、とかく小さい子どもを相手なら簡単に勝ち筋が見えてしまいます。なので、圧倒してしまわないように、盛り上げて、最後は勝ってもらわねばなりません。このあたりは八百長というより、エンターテインメントとしての盛り上がりをどう演出していくか、ということになりましょうか。
しかし、協力型のゲームの場合、こうした「配慮」はほとんど必要がないのです。物語を紡ぎ上げること、相手に勝つのではなく一緒に楽しむことが目的になるのですから。
さて、私は4月から家族で海外にて暮らしているのですが、私と娘が一緒に過ごす時間は日本にいるときよりも飛躍的に増えました。そうしたなか、娘はRPGにいっそう強い興味を示し、私が促さなくても自分からルールブックをめくるようになっています。そんななかでもお気に入りが、日本から持参した『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(ケイブンシャ、1990年)です。もう10回以上(!)、キャンペーンゲームを遊んできましたし、暇さえあればルールブックを眺めていて、ゲームマスターの私よりも娘の方が、固有名詞やデータには詳しくなっている始末です。
『甲竜伝説ヴィルガスト』(1990〜1993年)とは、もともとガシャポンから始まり、背景を解説するケイブンシャの大百科との連動、「コミックボンボン」での連載コミック等、マルチに展開された作品です。特定の原作から派生しているのではなく、一種のシェアードワールドとして展開される形になっているのが大きな特徴でしょうか。
私は1981年生まれで、親に同行して買い物に出かけた先で『ヴィルガスト』のガシャポンを買ってもらう機会はありましたし、幼馴染の家で『大百科』に触れて、世界観に親しんでいました。導入こそ異世界往復ファンタジーのマナーを踏襲していますが、内容は本格ファンタジーRPGそのもの。私にとっては『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『トンネルズ&トロールズ』をはじめとする海外RPGに触れる前に接した作品の一つでした。世界観はD&D的なアーキタイプをふまえていますが、同時代の『聖珠伝説パールシード』ほか国産RPGとも共通する雰囲気をたたえています。
もっとも、『パールシード』は基本的にはボックス1箱で完結した内容ですが(復刻後に有志によるサポートブックが出されていますが、ひとまず措くとします)、『甲竜伝説ヴィルガスト』は膨大な関連作品が出ており、今からそれをフォローし直すのは至難の業。しかも、ガシャポンはシリーズ2の途中で打ち切られており、そういった意味では未完の作品です(漫画版は完結していますが)。
それこそSNSで子どもとプレイするRPGは『甲竜伝説ヴィルガストRPG』がいいと実際に遊んでみる前に答えたら、もともとは児童を対象に発売されたとはいえ、「今日の初心者向きではない」というお叱りや反対の声を、少なからずいただいてしまいそうであります。
けれども、子どもが気に入ったのは、自分が生まれるよりも四半世紀以上前に発売された、本作なのでありました。
こうした意外な(?)現実に、今後のRPGを占うといったら大げさですが、何かしら私たちが学ぶべきことがあるのではないかと思いまして、覚え書きを兼ねて、思うところを文章化していければというのが、今回からの新連載の趣旨であります。これまでの私の連載は1回4000〜8000字程度の長いものが多かったのですが、本コラムはもう少しささやかに、2000字程度を1回としていければと思います。よろしくお付き合いください。
■書誌情報
ケイブンシャの大百科別冊
『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
初出:「FT新聞」No.4523(2025年6月12日)
子どもと遊ぶ『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(1)
岡和田晃
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私の娘は現在8歳で、4月から小学3年生になりました。思い返せば、保育園に入るか入らないかの3歳の頃から、子どもと接する際はコミュニケーションの一環として、アナログゲームを取り入れてきました。
最初はごく簡単で、ほぼ自動的に進むが「お母さんカード」の登場がほっこりと楽しい、カードゲームの『バルーン』から始めて、さまざまなボードゲームとカードゲームを愉しんできました。一人っ子なので、ママやいとこを交えてプレイすることもありますが、基本的にはパパ(私)と娘の2人で遊びます。
ただしアナログゲームの多くは、3人以上でプレイすることが想定されており、2人だと若干盛り上がりに欠ける。そこで娘が集めているお人形さんたちをプレイヤーに見立てて、4人以上で遊ぶこともしばしばです。もっとも、お人形さんたちも大半は私が動かすので、大忙しではありますが(笑)。ただ、子どもとのコミュニケーション以外にも、システムを研究する役に立ちます。
ゲームを用いた子どもとの関わり方には様々なやり方がありますが、対戦型のゲームの場合、特に年齢が低いうちは子どもに自己肯定感を育ててもらうため、私はわざと子どもを勝たせるようにしていました。
−−と申しますか、私が勝ちそうになったら、子どもの方が私からカードを奪って自分が上がったりすることも日常茶飯事(笑)。友だち同士で遊ぶときはそのようなズルはしないので、相手が親だから、ということでしょうか。
対戦型ゲームは、当たり前の話ですが、最後には勝ち負けが決まってしまいます。しかも、慣れている大人がプレイすると、とかく小さい子どもを相手なら簡単に勝ち筋が見えてしまいます。なので、圧倒してしまわないように、盛り上げて、最後は勝ってもらわねばなりません。このあたりは八百長というより、エンターテインメントとしての盛り上がりをどう演出していくか、ということになりましょうか。
しかし、協力型のゲームの場合、こうした「配慮」はほとんど必要がないのです。物語を紡ぎ上げること、相手に勝つのではなく一緒に楽しむことが目的になるのですから。
さて、私は4月から家族で海外にて暮らしているのですが、私と娘が一緒に過ごす時間は日本にいるときよりも飛躍的に増えました。そうしたなか、娘はRPGにいっそう強い興味を示し、私が促さなくても自分からルールブックをめくるようになっています。そんななかでもお気に入りが、日本から持参した『甲竜伝説ヴィルガストRPG』(ケイブンシャ、1990年)です。もう10回以上(!)、キャンペーンゲームを遊んできましたし、暇さえあればルールブックを眺めていて、ゲームマスターの私よりも娘の方が、固有名詞やデータには詳しくなっている始末です。
『甲竜伝説ヴィルガスト』(1990〜1993年)とは、もともとガシャポンから始まり、背景を解説するケイブンシャの大百科との連動、「コミックボンボン」での連載コミック等、マルチに展開された作品です。特定の原作から派生しているのではなく、一種のシェアードワールドとして展開される形になっているのが大きな特徴でしょうか。
私は1981年生まれで、親に同行して買い物に出かけた先で『ヴィルガスト』のガシャポンを買ってもらう機会はありましたし、幼馴染の家で『大百科』に触れて、世界観に親しんでいました。導入こそ異世界往復ファンタジーのマナーを踏襲していますが、内容は本格ファンタジーRPGそのもの。私にとっては『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『トンネルズ&トロールズ』をはじめとする海外RPGに触れる前に接した作品の一つでした。世界観はD&D的なアーキタイプをふまえていますが、同時代の『聖珠伝説パールシード』ほか国産RPGとも共通する雰囲気をたたえています。
もっとも、『パールシード』は基本的にはボックス1箱で完結した内容ですが(復刻後に有志によるサポートブックが出されていますが、ひとまず措くとします)、『甲竜伝説ヴィルガスト』は膨大な関連作品が出ており、今からそれをフォローし直すのは至難の業。しかも、ガシャポンはシリーズ2の途中で打ち切られており、そういった意味では未完の作品です(漫画版は完結していますが)。
それこそSNSで子どもとプレイするRPGは『甲竜伝説ヴィルガストRPG』がいいと実際に遊んでみる前に答えたら、もともとは児童を対象に発売されたとはいえ、「今日の初心者向きではない」というお叱りや反対の声を、少なからずいただいてしまいそうであります。
けれども、子どもが気に入ったのは、自分が生まれるよりも四半世紀以上前に発売された、本作なのでありました。
こうした意外な(?)現実に、今後のRPGを占うといったら大げさですが、何かしら私たちが学ぶべきことがあるのではないかと思いまして、覚え書きを兼ねて、思うところを文章化していければというのが、今回からの新連載の趣旨であります。これまでの私の連載は1回4000〜8000字程度の長いものが多かったのですが、本コラムはもう少しささやかに、2000字程度を1回としていければと思います。よろしくお付き合いください。
■書誌情報
ケイブンシャの大百科別冊
『甲竜伝説ヴィルガストRPG』
ゲームデザイン:佐藤俊之(怪兵隊)
出版社:勁文社
1992年5月15日・絶版
初出:「FT新聞」No.4523(2025年6月12日)
2024年11月28日
『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! 番外編Vol.1
2024年11月28日配信の「FT新聞No.4327」に、「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! 番外編1」が掲載されました。今回は、新サプリメント「ウォーハンマーRPG第4版へのコンバート案〜初版および第2版から」 の解説です。
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『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! 番外編Vol.1
岡和田晃
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昔の仲間に再会し、酒を酌み交わし、生き延びてきた秘訣を教えてもらったときほど嬉しいことはないね。
――ドワーフの洞窟戦士イーリ
本コラムは「FT新聞」で不定期連載されている『ウォーハンマーRPG』第4版を中心とするエッセイ「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう!」の番外編ミニコラムです。
『ウォーハンマーRPG』第4版の新作サプリメントが10月に発表されています。公式サイトより無料ダウンロードできる「ウォーハンマーRPG第4版へのコンバート案〜初版および第2版から」がそれになります。ほぼ全体がチャートから構成されるもので、私がメイン翻訳を担当し、確認にはかなりの手間がかかったのですが、幸い、翻訳チームの阿利浜秀明さんのご協力で完成できたものです。
きっかけは『ウォーハンマーRPG』オンリーコンが、主宰のリタさんのご尽力にて、7卓規模で開催されたこと。ホビージャパンとボードゲームプレイスペース駒の時間の協賛を得ているイベントになったのですが、私はゲストとしてお招きいただいたので、何かしらファンの方に「お土産」を持っていきたいな、と思って企画しました。
TRPGは版上げでがらりと内容が変わり、まったくの別ゲームとなってしまうことも珍しいものではありません。『ウォーハンマーRPG』の場合、背景設定を知るための資料としては、旧版のサプリメントも大いに役立つのですが、データに互換性がありませんでした。このため、日本語版の展開が始まった当初より、本作を紹介したいと考えてきたのです。このサプリメントさえあれば、旧版のサプリメントを死蔵せずに済むというわけですからね。
見落としを避けるため、翻訳にあたっては、いちいち各版のルールブックを引き直して参照していったのですが、このプロセスで私も、ルールへの理解を深めることができました。
では、現行の第4版と、過去に日本語版が出た初版と第2版の大きな違いは何なのでしょう。実はこれ、サプリメント本文にしっかりまとめられているのです。
●初版から第4版へのコンバート
・第4版の能力値は通常1から100の間をとるが、それでも例外的な状況においては、これを超えることもある。
・第4版のキャラクターの【耐久値】は、初版のキャラクターの【耐久度】のおよそ2倍である。
・第4版には【攻撃回数】の能力値はなく、代わりに最新の戦闘システムに依拠している。
・初版とは異なり、第4版には【敏捷力】の「能力値」がある。
・初版における【冷静度】の能力値の役割は、【意志力】の「能力値」と〈冷静さ〉の技能に統合された。
・初版における【統率度】の役割は、【協調力】の能力値と〈指揮〉の技能に統合された。
・第4版では、初版における技能が、技能と異能に分かれている。
●第2版から第4版へのコンバート
・第4版の能力値は例外的に100を超えることもある。
・第4版には【攻撃回数】の能力値はなく、代わりに最新の戦闘システムに依拠している。
・第4版は2版とは異なり、【敏捷力】に加えて【器用度】の能力値がある。
・第4版は第2版とは異なり、【知力】に加えて【機転】がある。
こう見るとけっこう異なりますね。GMがアドリブで直感的に変更できるようなレベルを超えています。そこで、本書を用いた数値のコンバートが役立つわけです。ただ、「運命点」と「執念点」に関する指針はないため、GM判断で決めるか、第4版P.33を参照して算出し直すのもよいでしょう。
本サプリメントを訳して、やはり強く印象に残るのは、キャリアの変更です。第4版は初版回帰の色調が強いとはいえ、催眠術師、ドルイド、咄家、労務者、偽金造り、弓使いといったキャリアはサポートされていません。第2版なら、キスバンド戦士、キスレヴ蛮人、ノーシャ狂戦士といったキャリアも同様です。これらを近似的にコンバートするやり方が掲載されているほか、原書刊行後、第4版のサプリメントで発表されたキャリア(『武器を掲げよ!』)でサポートされた「野営追行者」等は注釈でフォローしています。
おそらく読者の方のなかには、初版や2版はフォローしていたものの、第4版の『ウォーハンマーRPG』を追いきれていない、という方もいらっしゃると思います。そういった方は、基本ルールブックを購入し、お手持ちのキャラクターやシナリオのデータをコンバートしてみてください。そのうえで、第4版はシナリオがたくさん発売されているので、まずは単発で遊びやすいシナリオを集めた『ライクランド綺譚』に触れてみるのがオススメです。
なお、本書と同じタイミングで、『ウォーハンマーRPG アルトドルフマップ』と、『ウォーハンマーRPG ミドンヘイムマップ』が発売されました。こちらは有料販売となっていますが、美しい高精細マップを堪能できます。エンパイアの首都と北方にある“白狼の都”が壮麗かつ細部にわたって書き込まれています。
ここで用いられている各ロケーションの訳語は、アルトドルフが待兼音二郎さん、ミドンヘイムが私を中心に監修し、阿利浜秀明さんや見田航介さんのサポートもいただきました。第2版のシナリオ集『ミドンヘイムの灰燼』や『アルトドルフの尖塔』あわせにもしやすい作りにもなっていますし、中近世の都市の資料としても秀逸です。『ウォーハンマーRPG』第4版でのPDFサプリメントは、原書が無料のものは日本語版も無料、原書が有料のものは日本語版も有料、という形で提供されているのですが、まずは本書を通じて、『ウォーハンマーRPG』に出逢い直してみてください。
∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴・∴
『ウォーハンマーRPG第4版へのコンバート案〜初版および第2版から』
無料
公式サイトのダウンロードページ
(https://hobbyjapan.co.jp/whrpg/pdf/WHRPG_4th_Edition_Conversion.pdf)
『ウォーハンマーRPG アルトドルフマップ』
『ウォーハンマーRPG ミドンヘイムマップ』
発売日:2024年19月
価格:各700円(+税)
『ウォーハンマーRPG』ホビージャパン公式サイト
https://hobbyjapan.co.jp/whrpg/
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『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! 番外編Vol.1
岡和田晃
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昔の仲間に再会し、酒を酌み交わし、生き延びてきた秘訣を教えてもらったときほど嬉しいことはないね。
――ドワーフの洞窟戦士イーリ
本コラムは「FT新聞」で不定期連載されている『ウォーハンマーRPG』第4版を中心とするエッセイ「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう!」の番外編ミニコラムです。
『ウォーハンマーRPG』第4版の新作サプリメントが10月に発表されています。公式サイトより無料ダウンロードできる「ウォーハンマーRPG第4版へのコンバート案〜初版および第2版から」がそれになります。ほぼ全体がチャートから構成されるもので、私がメイン翻訳を担当し、確認にはかなりの手間がかかったのですが、幸い、翻訳チームの阿利浜秀明さんのご協力で完成できたものです。
きっかけは『ウォーハンマーRPG』オンリーコンが、主宰のリタさんのご尽力にて、7卓規模で開催されたこと。ホビージャパンとボードゲームプレイスペース駒の時間の協賛を得ているイベントになったのですが、私はゲストとしてお招きいただいたので、何かしらファンの方に「お土産」を持っていきたいな、と思って企画しました。
TRPGは版上げでがらりと内容が変わり、まったくの別ゲームとなってしまうことも珍しいものではありません。『ウォーハンマーRPG』の場合、背景設定を知るための資料としては、旧版のサプリメントも大いに役立つのですが、データに互換性がありませんでした。このため、日本語版の展開が始まった当初より、本作を紹介したいと考えてきたのです。このサプリメントさえあれば、旧版のサプリメントを死蔵せずに済むというわけですからね。
見落としを避けるため、翻訳にあたっては、いちいち各版のルールブックを引き直して参照していったのですが、このプロセスで私も、ルールへの理解を深めることができました。
では、現行の第4版と、過去に日本語版が出た初版と第2版の大きな違いは何なのでしょう。実はこれ、サプリメント本文にしっかりまとめられているのです。
●初版から第4版へのコンバート
・第4版の能力値は通常1から100の間をとるが、それでも例外的な状況においては、これを超えることもある。
・第4版のキャラクターの【耐久値】は、初版のキャラクターの【耐久度】のおよそ2倍である。
・第4版には【攻撃回数】の能力値はなく、代わりに最新の戦闘システムに依拠している。
・初版とは異なり、第4版には【敏捷力】の「能力値」がある。
・初版における【冷静度】の能力値の役割は、【意志力】の「能力値」と〈冷静さ〉の技能に統合された。
・初版における【統率度】の役割は、【協調力】の能力値と〈指揮〉の技能に統合された。
・第4版では、初版における技能が、技能と異能に分かれている。
●第2版から第4版へのコンバート
・第4版の能力値は例外的に100を超えることもある。
・第4版には【攻撃回数】の能力値はなく、代わりに最新の戦闘システムに依拠している。
・第4版は2版とは異なり、【敏捷力】に加えて【器用度】の能力値がある。
・第4版は第2版とは異なり、【知力】に加えて【機転】がある。
こう見るとけっこう異なりますね。GMがアドリブで直感的に変更できるようなレベルを超えています。そこで、本書を用いた数値のコンバートが役立つわけです。ただ、「運命点」と「執念点」に関する指針はないため、GM判断で決めるか、第4版P.33を参照して算出し直すのもよいでしょう。
本サプリメントを訳して、やはり強く印象に残るのは、キャリアの変更です。第4版は初版回帰の色調が強いとはいえ、催眠術師、ドルイド、咄家、労務者、偽金造り、弓使いといったキャリアはサポートされていません。第2版なら、キスバンド戦士、キスレヴ蛮人、ノーシャ狂戦士といったキャリアも同様です。これらを近似的にコンバートするやり方が掲載されているほか、原書刊行後、第4版のサプリメントで発表されたキャリア(『武器を掲げよ!』)でサポートされた「野営追行者」等は注釈でフォローしています。
おそらく読者の方のなかには、初版や2版はフォローしていたものの、第4版の『ウォーハンマーRPG』を追いきれていない、という方もいらっしゃると思います。そういった方は、基本ルールブックを購入し、お手持ちのキャラクターやシナリオのデータをコンバートしてみてください。そのうえで、第4版はシナリオがたくさん発売されているので、まずは単発で遊びやすいシナリオを集めた『ライクランド綺譚』に触れてみるのがオススメです。
なお、本書と同じタイミングで、『ウォーハンマーRPG アルトドルフマップ』と、『ウォーハンマーRPG ミドンヘイムマップ』が発売されました。こちらは有料販売となっていますが、美しい高精細マップを堪能できます。エンパイアの首都と北方にある“白狼の都”が壮麗かつ細部にわたって書き込まれています。
ここで用いられている各ロケーションの訳語は、アルトドルフが待兼音二郎さん、ミドンヘイムが私を中心に監修し、阿利浜秀明さんや見田航介さんのサポートもいただきました。第2版のシナリオ集『ミドンヘイムの灰燼』や『アルトドルフの尖塔』あわせにもしやすい作りにもなっていますし、中近世の都市の資料としても秀逸です。『ウォーハンマーRPG』第4版でのPDFサプリメントは、原書が無料のものは日本語版も無料、原書が有料のものは日本語版も有料、という形で提供されているのですが、まずは本書を通じて、『ウォーハンマーRPG』に出逢い直してみてください。
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『ウォーハンマーRPG第4版へのコンバート案〜初版および第2版から』
無料
公式サイトのダウンロードページ
(https://hobbyjapan.co.jp/whrpg/pdf/WHRPG_4th_Edition_Conversion.pdf)
『ウォーハンマーRPG アルトドルフマップ』
『ウォーハンマーRPG ミドンヘイムマップ』
発売日:2024年19月
価格:各700円(+税)
『ウォーハンマーRPG』ホビージャパン公式サイト
https://hobbyjapan.co.jp/whrpg/
2024年10月17日
M!M!オフラインセッション・レポート
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M!M!オフラインセッション・レポート
けいねむ
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はじめまして。モンスター!モンスター!TRPGファンのけいねむです。
先日9月21日、地元の図書館で『モンスター!モンスター!TRPG(M!M!)』のオフラインセッションを開催し、GMを行いました。
楽しいセッションをさせて頂きましたが、今回はそのセッションの反省点を共有して、私の考える改善点をご紹介し、今後モンスター!モンスター!TRPGのセッションGMを行われる方への参考となれば幸いと思い投稿致しました。内容の都合上一部ネガティブな表現もありますので、そういった表現が苦手な方はご注意頂きたく思います。
■レギュレーションとパーティ構成
今回のセッションのレギュレーションとしては
・ベースは『猫の女神の冒険』簡易ルール
・能力値係数など一部はM!M!2.7e(未訳)準拠。
・追加特殊能力、魔法などハウスルールあり。
という条件でごく短いダンジョン探索シナリオを行いました
プレイヤーキャラクターはジャングル・トロール、ズィム、ドウォン、人間の魔法使いの4名というパーティでした。
GMの私も含めて『モンスター!モンスター!TRPG』は未経験で、TRPG経験も比較的浅い方が中心の卓でした。
■何が良くなかったか。
端的に言えば、バランスが悪く、活躍機会の少ないPCを出してしまったことがGMとして良くない点でした。
『モンスター!モンスター!TRPG」は種族によってキャラクター作成時の能力値に修正が入り、また能力値によりキャラクターレベルが決定されるシステムです。
つまり、キャラクター作成時のキャラクターレベルは種族によって差があります。
今回はこの差が大きく、セッション中に活躍機会の少ないキャラクターを出してしまったことがGMとしての反省点となります。
具体的には、人間の魔法使いの方は次のような形になりました。
レベルは1、覚えている魔法は最も初級の物を3つのみ、武器は無く素手のみ。
対してズィムとジャングル・トロールの方はレベル9以上、個人修正100近く、トロール用棍棒で武装しています。ドウォンの方はレベル4、知性度と器用度と幸運度が人間の方より高く、弓矢で武装しています。
キャラクターシートの内容だけを見れば、人間の魔法使いの方は戦闘では殆ど効果的な行動が出来ず、探索でもドウォンの方に劣る、と言った状況が予想されました。
また、このゲームでは「カオスファクター」というルールがあり、魔法を使えないキャラクターは1通常ターンに一度のみ、キャラクターレベルの数字の分だけダイスロールの出目の合計を上下させることができます。汎用性が高く、かなり有用な要素ですが魔法を使えるキャラクターにはこれもありません。
あまりにも他PCに比べて行動の材料が少なく、カオスファクターによるロールの修正も出来ず、キャラクター作成時点で詰み、と言っても過言では無いほどの差がありました。戦闘や探索ではどうしても充分な活躍が出来ず、プレイヤーの方曰く「戦闘では完全に居ないも同然(なんなら倒されたら困るお荷物)」だったと自PCを評しておられました。
その一方で、単身で包囲網から脱出する(他の人は助ける側)という盛り上がるパートなどもあり、戦闘シーンだけが活躍の場ではないというTRPGの楽しみ方を感じて頂けたようです。
結果的にはプレイヤーの方の巧みなロールプレイにより、要所要所で適切な行動を行って頂き、シナリオ進行への貢献もされてパーティメンバーの役割としては充分に果たされたように思えます。
総じてGMが平等にプレイヤーに活躍機会を与えきれなかった部分をロールプレイでカバーを頂き、シナリオは成功、セッションも楽しく行えたという結果を頂けたと深く感謝していますし、同時に強く悔いも残りました。
キャラクターデータ・シナリオデータだけが活躍出来るか出来ないかの基準ではないことを改めて教えて頂けたように感じました。
■GM側の改善案&注意事項
いずれも、TRPG経験の浅い方が卓におられる場合、特に気を付けたいポイントです。
・使用ルールの吟味を行う。
今回のセッションでは簡易ルールをベースに一部、未訳のM!M!2.7eの要素を入れましたが、これは悪手でした。シナリオ的には簡易ルールのみで充分間に合い、特にカオスファクターと二者択一の魔法の要素を入れたことが結果的にプレイの幅を狭めてしまうことになりました。
特に現段階では未訳の魔法要素をハウスルールとして入れてしまうことは少なくともM!M!のプレイ経験の無いメンバーしかいない今回は不適切であったといえますし、お勧めしません。和訳ルールブックを待ちたいところです。
・カオスファクターの調整を行う。
カオスファクターは大変強力な要素で、特にセービングロールに使用した際には殆どの場合成功させることが出来ると言っても過言ではないくらい有用でした。
場合によっては1セッション辺りに使える回数を制限するなどの要素を入れても良いかもしれません。
・キャラクターレベルの差を考慮する。
キャラクターレベルの差はそのままカオスファクターで動かせる値の差ですし、戦闘では能力値の高いキャラクターの方が活躍するので、あまりにも差があり過ぎると「もう戦闘あいつだけでいいんじゃないか?」というような状態になりかねません。今回実際にそうなりました。もし3レベル以上の開きが出るようならば、低い方のキャラクターに冒険点を渡すなどし、全員が平等に活躍できるための措置はあっても良いかもしれません。
・場面の描写を詳細に行う。
『モンスター!モンスター!TRPG』の戦闘は抽象戦闘ですので、戦闘場面の描写は多少おざなりになるかもしれませんが、実際にはダイスの振りあい以外に出来る事は沢山あり、むしろ描写の重要性は高いと思っています。序盤の戦闘ではこの辺りが弱かったので、キャラクターの動かし方を掴みにくかったかもしれません。
■プレイヤーの方への提案
キャラクターを作ってセッションに参加したけれども、思ったように活躍できず手詰まりを感じた経験をされたことのある方はおられると思います。私自身今まで何度も経験しています。そういった時にプレイヤー側として、もしかしたら打開策になるかもしれない方法をひとつ、紹介したいと思います。
「ルールやキャラクターシートの内容を頭から一旦外して、場面のみを想像し、自分がキャラクターにさせたいことを見つけてGMに相談する」という方法です。
GMに「〇〇って出来ますか?」と質問する事じたいは別にルールやデータに沿っている必要はないですし、そもそもルールに沿っているかどうかのジャッジはGMの仕事です。
相談した内容が行動決定のヒントになりますから、なんでも思いついたことを口に出しておくに越したことはありませんし、多分この『モンスター!モンスター!TRPG』ではそういった思いつきが実際に通りやすいゲームだと思っています。
(とは言え、通るかどうかはあくまでGMの裁定次第。参加者全員が平等に楽しむというゲームの遊び方を逸脱しないようには心がけたいものです)
■おわりに
私個人としては今回のセッションでは不本意な結果になってしまいましたが、それならそれで何かこの経験を最大限、『モンスター!モンスター!TRPG』を遊ぶ方の役に立たせられないだろうか?と考えた結果、本記事を投稿致しました。
GMを行う際の参考として頂けたのならば、大変嬉しく思います。
(初出:「FT新聞」No.4272、2024年10月4日)
2024年06月27日
ファンタジーRPG汎用“逆転の発想”シナリオ featuring 『モンスター!モンスター!TRPG』『新・裏伝説』
2024年5月30日配信の「FT新聞 」No.4145に、「ファンタジーRPG汎用“逆転の発想”シナリオfeaturing 『モンスター!モンスター!TRPG』『新・裏伝説』」(作:紙谷早歩、監修:岡和田晃、水波流)が掲載されました。PDFで23ページの力作です!
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ファンタジーRPG汎用“逆転の発想”シナリオ
featuring 『モンスター!モンスター!TRPG』
『新・裏伝説』
作:紙谷早歩
監修:岡和田晃、水波流
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【はじめに】(岡和田晃)
あなたは孤島で仲間たちと暮らしている鬼だ。
そこでは穏やかな時間が流れ、あなたはいつも洞窟の秘密基地で遊んでいる。
どこからか、声が聞こえる……。
「生きろ」と。
さあ、「新・裏伝説」の幕開けです!
「FT新聞」No.4082でお届けした矢合彩樹『ソロモンの指輪』と同じく、『モンスター!モンスター!TRPG』にフィーチャーした汎用シナリオの第2弾なのですが、今回はPDFで20頁を超える力作。
プレイに時間がかかるわけではありません。1 on 1のセッションで2時間程度で遊べます。
読みやすさを重視し、慣れない人でもそのままプレイできるよう、「作品」として丁寧に作り込まれている、ということなのです。
作者の紙谷早歩さんは、RPGシナリオを執筆・発表するのは今回が初めて。とてもそうは見えない美麗な扉頁のデザインに、SNSでのプレイヤー公募に便利な各種トレイラー、さらにはココフォリア用のチャットパレットまで完備されており、至れり尽くせりの1作です。
百聞は一見に如かず。ぜひ現物をご覧になり、試してみてください!
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↓【シナリオ本編】はこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/Shin_Ura_Legend.pdf
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