2011年07月28日

ファイアウォールへようこそ:エクリプス・フェイズ紹介(その7)

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ファイアウォールへようこそ:エクリプス・フェイズ紹介(その7)

 朱鷺田祐介

Homepage | Eclipse Phase
当ブログAnalog Game Studies(AGS)は『エクリプス・フェイズ』(または『イクリプス・フェイズ』)公式サイト(Homepage | Eclipse Phase)で承認されているファンサイト(Fan Websites)の一つです( http://eclipsephase.com/resources )。

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第6回はこちらで読めます。

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 「エクリプス・フェイズ」の紹介その7は、ミューズの話。

 この連載は、7/30の「Eclipse Phase体験会@R&Rステーション」でGMするための、復習的なものです。未訳RPGの紹介ということで、手探りでやっている部分が多々ありますので、訳語の揺れはご容赦ください(編注:本稿は朱鷺田祐介氏のウェブログ「黒い森の祠」からの転載であるため、初出時の時事的内容については、再掲の際にずれが生じる場合があります。あらかじめご了承ください)。


●特異点で変わる世界

 「エクリプス・フェイズ」の舞台とする未来は、かなり現代と違う部分があります。これは、現代のSFでよく言われるシンギュラリティ(特異点)を意識したものです。シンギュラリティとは、ある技術発達上のブレイクスルー、あるいは、世界的なイベントで、世界観が大きく変わることを意味します。「エクリプス・フェイズ」の未来世界も、いくつかのブレイクスルーにより、我々の世界と極端に違っています。

 いわゆる、「魂(Ego)」と「身体(Morph)」の分離は、「エクリプス・フェイズ」の特徴のひとつですが、他にも色々な違いがあります。

 例えば、貨幣を基本とする資本主義経済である「旧経済」と、常時オンライン化し、行動のすべてを記録するような全世界オンライン状態で発生した贈与経済/人物評価(Rep)をベースにした「新経済」の概念は、ゲーム的にも面白いものです。(両方が入り交じった移行中の複合経済構造の地域もあり)


●ミューズ

 今回取り上げるミューズはほとんどすべてのキャラクターが保有する「人生のパートナー」である支援AIとして、数十年前から普及しているメディア・エージェントAIです。

 〈大破壊〉以前から、人類は広大な情報ネットワーク、メッシュを作り上げ、極端なアナクロ主義者をのぞけば、すべての人類が常時、メッシュと接続し、その支援を受けています。AR、VRなどのネットによる情報補助、通信だけでなく、必要に応じて、検索し、調査し、あるいは、ネット上に広報し、つぶやき、はりつけ、あるいは介入します。

 多彩なメッシュ活動および自分の情報活動を支援するのが、ミューズと呼ばれる個人専用の支援AIです。ミューズは人間の幼い頃から、個人の情報(ライフログ)を記録し、体調をモニターし、メッシュとの関係を補助し、設定に応じて情報を検索し、必要に応じて個人の秘書役を努めます。ミューズにキャラクター付けをする人もいますが、それは、ミューズが長い間のやりとりから個人の癖や体質を読み、必要な対応を取ってくれる最適な補助プログラムとして成長していくからです。ミューズを失うのは、現代人で言えば、便利な携帯と愛するペットを同時に失うような喪失感を発生させるでしょう。

 ミューズの存在はなぜ、特異点なのか?

・ミューズは通信、生活習慣など秘書役として管理してくれます。

 目覚ましや予定管理から、友人リストの検索、ニュース検索の取捨選択まで、生活の各方面で支援してくれます。新経済、旧経済のいずれでも財産は電子化されていますので、ミューズに問えば、いつでも、現在の収支や口座の残高、Repの蓄積具合を知ることができます。

・ミューズに指示すれば、必要な情報を瞬時に検索するようにできます。

 おかげで、キーワードを投げておけば、その情報がメッシュに上がるたびに知ることができますし、誰かとの会話中に分からない単語が出てきたら、それをミューズに検索させて調べつつ、会話できます。

 脳内Googleですね。

 問題はこのおかげで、むやみに、会話に、マニアックな引用を多用するおバカさんが現れたりもしますが、それも、ミューズで検索合戦をすれば、対応できないではありません。

・ミューズは、ライフログを取りますので、近々の生活に関する記録を簡単に残せます。

 ミューズに頼らずとも、記憶は大脳皮質記憶装置のチップに記録されますが、常に、自分の行動を見ている存在がおり、必要に応じて、検索したり、質問したりできるのはまた別の世界です。

 ミューズは、あなたの人生におけるプライヴァシーをすべて共有するものなのです。

 このような存在がいる社会はどういうものなのか?
 それはある意味、恐怖と希望の入り交じった世界かもしれません。

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朱鷺田祐介(ときた・ゆうすけ)
 TRPGデザイナー、ライター。スザク・ゲームズ代表。『シャドウラン4th Edition』の翻訳をシャドウランナーズとともに務める。代表作は『ブルーローズ・ネクサス』、『深淵 第二版』(ともにエンターブレイン)、『真・女神転生TRPG 魔都東京200X』(ジャイブ)など。TRPG以外の著作に『クトゥルフ神話ガイドブック』、『超古代文明』など(すべて新紀元社)。
 (『シャドウラン4th Editionリプレイ 旅する天使たち』新紀元社、2010より)
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※12/04/13編者付記:
 朱鷺田祐介さまによる『エクリプス・フェイズ』紹介はまだまだ続きますが、Analog Game Studiesに転載させていただく内容については、本記事で一段落とさせていただきます。続きは、朱鷺田祐介さまのブログ「黒い森の祠」の関連エントリをご覧ください。
http://suzakugames.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/eclipse-phasebl.html
posted by AGS at 00:28| エクリプス・フェイズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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