2010年12月08日

地方のアナログゲーム(RPG)事情:「沖縄」編

 Analog Game Studiesでは、アナログゲームを中心とした理論的な探究を志向しつつも、同時に理論では往々にして忘れられがちな“現場感覚”についても、同じくらい重視していきたいと考えています。
 アナログゲームを定期的に楽しんでいくためには、そのための環境を構築・維持していく努力が必要不可欠ですが、この点、苦労されている方も多いはず。
 仕事で取材を重ね、あるいは実際にコンベンションなどで数々のゲーマーとお話をさせていただく機会が増えてきますと、「政令指定都市レベルの大都市(とりわけ、関東圏)を離れると一気に環境構築のためのハードルが上がってしまう」という声をよく耳にすることに気づきました。
 もちろん地方でも充実したゲーム環境を構築されている方は多いのですが、地方ならではの独特の苦労があるのも、また事実。私自身、上京してからこそ悩む機会はなくなったものの北海道の人口11000の小さな町の出身ですので、(やむをえない部分があるにせよ)こうした状況には昔から悩まされてきたことを思い出した次第です。
 そのような折、沖縄県でアナログゲーム(特に会話型RPG)を遊ぶことための環境作りに尽力されている近藤誠さまに寄稿をお願いし、沖縄においてゲームサークルを立ち上げるまでの経緯と現在、今後に向けての意気込みをお話していただくことができました。(岡和田晃、文責は下記の解説部分を含む)

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地方のアナログゲーム(RPG)事情:「沖縄」編  
 近藤誠

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 Analog Game Studies 立ち上げおめでとうございます。

 私は現在、沖縄に在住していますが、地方のアナログゲーム事情を紹介することにより、都市圏の人には、地方の現状を知って頂き、地方の人とは、お互いに励ましあい、この趣味を継続されている人には、ライフワークとして誇りをもって続けて頂き、残念ながら一時離れている人には、再びこの楽しみを再開して頂くきっかけになれば幸いです。


● 1、沖縄以前

 私事ですが、私は、アナログゲームは、同級生と『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下D&D。この時に遊んだのは1985年に株式会社新和から日本語版が発売された『D&Dベーシックセット』、いわゆる“赤箱”ってやつです。)からはじめて、様々な会話型RPGを経験し、アナログゲーム(主に会話型RPG)に慣れ親しんできました。(多くの方々と同様?)しばらくは、身内のみで、小ぢんまりと遊んでいました。就職してからは、2〜3年毎の転勤で住まいを転々としたこともあり、年に数回、地元へ帰ったときしかプレイできませんでした。

 オープンにいろいろな人と交流を持ち始めたのは、関東に転勤してからです。きっかけは、とあるオープン・コンベンションに参加してから。そこでは、参加者が皆、楽しむことに貪欲だったのです。そして、はじめて参加した私も楽しめるよう気遣ってくれたのです。お互いが刺激をし合い、助け合い、それはそれは楽しいゲームでした。また、別のゲーム会へも誘って頂き、そこでも良い環境でゲームを楽しませていただきました。それからは、いろいろな人と一緒にプレイすることが楽しくて楽しくて。ほぼ毎週ゲームです。


●2、沖縄

 さて、この4月に沖縄へ転勤となりました。実は、沖縄への転勤は2回目でしたが、以前は、新たな人との出会いが億劫で、ゲームサークルへ参加していませんでした。でも今回は、新たな人となるべくたくさんゲームを楽しみたくて早速オープンなコンベンション、ゲームサークルを探してみました。

 幸い沖縄でも、「Worldwide D&D Game day」(ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社が、D&Dのアドベンチャー、マップ、ミニチュアやトークンを無料で提供し、全世界で開催される『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のイベント。日本語版提供はホビージャパン社)が、6ヵ所開催されており、全箇所に参加申込をして、なんとか1ヵ所で参加することができました。

 また、オープンなボードゲームサークルが3ヵ所ほどあり、そのうち1ヵ所は会話型RPGもプレイできました。残念ながらサークルの例会日が重なってしまい、参加できるのは月1〜2回。

 しかし、毎週ゲームをしていた私には、物足りないのです。そこで、新たにゲームをするメンバーを集めることにしました。もっと遊びたい人が、もっと楽しめるようにです。

 ウェブで掲示板を立ちあげ、Twitter、mixi、TRPG SNSなど様々な媒体で呼びかけを行ないます。興味ありそうな人へ、SNSで個別にメッセージを送ったりもしました。しかし、最初の1週間は、まるで反応がありませんでした。ゲーム人口が多い関東では考えられない事態だったので、かなり不安になりました。幸運にも1週間後に掲示板への最初の書き込みがありました。しかし、それから1週間は、またもや反応がありません。

 ゲームサークルで話を聞くと実は、携帯電話以外でインターネットへアクセスする方法を持っていない人が結構多いようです。ならばと、掲示板はなるべく文章を短く、携帯電話でも閲覧しやすいように改良、携帯で閲覧可な旨を伝えて、興味をもってくれそうな人にアドレスを連絡するなど、地道な活動を続けます。

 この間に思ったのは、自分も同様なのであまり強くは言えないのですが、皆、結構、内向きで、過去の思い出にひたり、新たな出会いを求めていなくて、現状が最高だと思っているということです。私も、以前に新たな出会いと良い環境を体験していなければ、声も挙げず、転々と転勤していた頃のように年に数回遊べるだけで満足していたでしょうが……。

 次第に何らかの書き込みをしてくれる人が増え、幸運にも最初の立ちあげから約2ヵ月後、日曜日に第1回定例会が開催です。会場は何と病院!そう、入院されている人もメンバーです。その後は、毎月、順調に回を重ね、もっと遊びたいという人が出てきて、11月からは、土曜日の会もスタートしました。

 先日も都合がついたので一緒にプレイしてみたいという書き込みがあり、今度、単発のゲーム会も催します。

 最近の悩みは会場の確保です。

 オープンな会なのでなるべく公共施設で開催したいのですが、近くの公民館は、スケジュールが詰まっていたり、アナログゲームへの理解がなかったり、使用者の居住地域に関する制限が厳しかったりと、未だに使用できていません。カラオケボックスや誰かの自宅での開催となってしまい、仲間内で開催しているのとあまり変わらない状況。これは何とかしたいと思っています。


●3、今後に向けて

 地方と言っても、声を上げて2ヵ月後に新たな会を開催できた恵まれた奴が何言っているんだと思われるかも知れませんが、皆さん、一歩前に進んで、新たな楽しみを求めて声を上げてみませんか。

 そのきっかけとして最適なのが、今月、日本全国各地で開催される「D&D“赤箱”Game Day」です。
 これはかつての新和版の“赤箱”と同じ――小説『ドラゴンランス』シリーズのアートワークでも有名な――ラリー・エルモアのカバー・アートをそのまま活用しつつ、中身をD&Dの最新第4版対応にアップデートさせた入門ルールセットである『D&D第4版スターター・セット』、通称“新赤箱”に対応したWorldwide D&D Game Dayのことを意味します。

 私も沖縄県名護市で、「D&D“赤箱”Game Day」にいちプレイヤーとして参加します。楽しみにしているのは、新たなる出会いです。

 皆さんと一緒にプレイできる日を祈念して。



・D&D“赤箱”ゲームデイの案内
http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/news/dnd_gameday/201012.html

・D&D第4版Webリプレイ「竜(ドラゴン)の予言に選ばれし者たち」
http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay_eb/index.html

・D&D第4版Webリプレイ「妖侠デイン流離譚」http://www.hobbyjapan.co.jp/dd/article/web_replay/index.html


ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版スターター・セット [大型本] / ジェームズ ワイアット, ジュレミイ クロフォード, マイク ミアルス, ビル スラヴィクシェク, ロドニー トンプソン (著); 桂 令夫, 岡田 伸, 北島 靖巳, 楯野 恒雪, 塚田 与志也, 柳田 真坂樹 (翻訳); ホビージャパン (刊)



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近藤誠(こんどう・まこと)
 1973年名古屋生まれ。公務員。中学時代からアナログゲームに親しむ。
 好きなゲームは『D&D』と『指輪物語ロールプレイング(MERP)』。
 年齢を重ねて社会や個人が変化する中、どのようにアナログゲームを皆と共有し、続けていくか日々試行錯誤。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
地方のアナログゲーム事情(沖縄編) by 近藤誠(Makoto Kondou) is licensed

under a Creative Commons 表示 - 改変禁止 2.1 日本 License.

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 なお近日発売されるアナログゲーム総合情報誌「Role&Roll」Vol.75には、去る10〜11月に開催された「Worldwide D&D Game Day 『プレイヤーズ・ハンドブックIII』」についてのレポート記事(文:岡和田晃)が掲載される予定です。
 ここには近藤誠さまに情報提供をいただいた沖縄においてのWorldwide D&D Game Dayの模様をはじめ、東京、大阪、徳島といった全国各地でのGame Dayの様子が、参加者の声を交えて報告されています。
 今回の記事をお読みになられた方は、どうぞこちらもご覧いただけましたら幸いです。
posted by AGS at 08:57| レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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